|
カテゴリ:帝国
春ひさぐ山田のカカシ窓は雪
富士と桜を背中に背負い夜行に乗って上京した、満月の夜に。まるで泥棒…か。午前二時過ぎ、都市銀行脇の路地をまがったところで事件は起こった。ふとたちどまり、月を見ていると自転車に乗った警察官が追ってきた。落とし物だった。全財産の入った馬皮の財布。お礼にと英世を一枚出したら片手をはげしく振ってけっこうです、という。そうだろうな、もらうわけにはいかないよな。知っててやっているこちらもワルだが、もしも、ここで職務遂行中の警察官が、「はい」と頂いてしまったらどうなるのだろう。まだ入庁したばかりらしい若い警官は、かるく敬礼して自転車をこいで路地の闇へ消えた。 太陽の季節の知事のおかげで警視庁の警察官の総数はだいぶ増えている。帝都の夜は白い自転車にまたがったお巡りさんたちがぞろりと大挙出動して月光のもとオマワリしている。でも、「お手!」はなかなかしてくれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.18 21:07:46
コメント(0) | コメントを書く |