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カテゴリ:イタリアのお役所仕事
滞在許可書の手続きで郵便局で書類を送ってから約2ヶ月後のこの前、クエストゥーラから手紙で日時を指定して召喚された。持っていくものは、先に送った書類でコピーを送ったものの原本、写真4枚、書類を送ったときの領収書、に加え、住んでいる家が住んでいる人数にふさわしいという証明書、ということだ。この最後のやつは今までなかった新しい条件だ。移民がちゃんとしたすみかを持っているか調べたいらしい。スラム的な居住環境をイタリアに持ち込むな、ということか。 この証明書はまず大家からもらった委任状を持ってCatasto(土地台帳管理局)に行って家の見取り図を手に入れ、それをurbanistica(市役所の都市計画課)に持っていく。何日か後に視察員が家に来て実寸を図りそのまた何日か後にurbanisticaで「この家に(私たちの場合)二人が住むのはふさわしいです」という感じでようやく発行される。 ちょっと複雑かつ無駄すぎないか。 なぜクエストゥーラが直接見取り図を見て判断できないのか?なぜ見取り図が寸法もすべて証明するのにかかわらず実寸を図る必要があるのか?広さだけで水道、電気、下水は気にしないのか?などいろんな疑問がわくが、いちいち突っ込んでもきりがないのでここは従うしかない。 この一連の手続きは最初から教えられていたわけではない。 クエストゥーラからの手紙にはこの証明を取るにはurbanisticaに行くこと、としか書いていなかった。相方がurbanisticaですぐにもらえると思って早速出向くと、Catastoで家の見取り図をもらってこいという。Catastoに行くと家の持ち主である大家の委任状が必要だという。大家から委任状をもらって出直すと今度は大家のIDのコピーも必要だという。相方切れるその1だ。大家を仕事先から呼び出してIDをコピーさせてもらい、晴れて見取り図を手に入れてurbanisticaにもどる。すると調査員が今度実際家に行くというので、携帯の番号を置いていく。 次の日の朝9時ごろ、相方と私が家にいるときに携帯が鳴った。10時ごろに来るという。相方は今仕事で出るところなんだから今すぐ来てほしいと希望を言ったが、聞き入れられず、しかも実際来たのは10時40分ごろだった。電話があってからわれわれはざっと簡単に家をかたづけたりしていた。私は、友人や親戚が来るのとは違うんだし、この家が二人住居可能とわかればそれでいいんでしょ、とあまり念を入れなかった。 10時15分、そろそろレストランのシャッターを開けないと近所の人が見て、あ、今日は下準備もしないで寝てるな、とチェックされてしまう。相方がそう心配するので私が先に行って開けて、相方が調査員の用事を済まさせてからレストランに来るのを待つことにした。 11時ごろやっと来た相方、怒り心頭に達していた。一人でイタリア語の悪い言葉をぽんぽん吐き出して、ちょっと怖かった。 来るといった時間より大幅に遅れてやってきた3人の調査隊(?)に、そんなに待たなければいけないのかとちょっと文句を言ったら「ええ待たなければいけませんよ。12時になっても待たなければいけませんよ」と言われて早速むっとした相方。それはおいといて この調査隊、市警2人と都市計画課(urbanistica)の人1人という構成で、実際は都市計画の人が家の中を測量して、警察は付き添いみたいに立ち会うだけのものだったらしいが、 なんと、この警察二人は家に入ったとたん、いろいろと遠まわしに我が家に関するコメントを言い始めたそうな。 ちなみにわれわれの住んでいる家は我が家というほどでもない、洞穴のような、真っ暗の、イタリアの旧市街によくある何百年モノの住みにくい家である。(フリーページの今住んでいる家に写真つきで説明している) 劣悪な住居だということは百も承知だ。私たちだってましな家を探している。しかしレストランから徒歩3分圏内で探すとやはり暗かったり、ベランダがなかったり、家具や建具が古くて汚かったり、家賃が2倍に膨れたり、戸別で暖房の入り切りができなかったり、と、これがあればあれがない状態である。住居兼レストランを作るのにいい土地がもし今見つかって買えたら、1年前後には引っ越すので、ちょっとだけ日当たりがいいからといって同じような家に移っても面倒なだけなのだ。 しかしそんなことは、二人が住めるかどうかの調査では問題にならないと思って、気にもかけていなかった。この家にはもう慣れているので、他人の目にどう映るかなど忘れてしまっていたし、どう映っても広さを調べる調査員だから口に出して言われるとは思っていなかったのだ。 しかしここはイタリアで、調査員はイタリア人(で役人・警察)であることを忘れるべきではなかった。 この新しく始まった制度のせいで、いろいろな家を見て回るという仕事を始めて、ちょっとはしゃいだ気分だったのだろうか? 「こういう家でなあ、昔は20人は一緒に住んでたもんだ」(←今は誰も住まない、と言いたい?) 「ここカビが生えてるぞ」(イタリアで壁にカビが生えるのはよくあること) 「職業は?」(こんなボロ家に住む人はいったいどんな職業なのか知りたいらしい) 「家賃いくら?」(こんなボロ家に住むのにいったいいくら払うのかと興味しんしんらしい) ここで相方はかなり切れたらしい。広さを調べる調査で、家賃がどう関係あるのか?調査に必要なことなのだったら答えたことを記録しないのか?(まったく記録せず、世間話のような感じでなれなれしく聞いてきたらしい)などなど問い詰めてやったそうだ。相方はあまりに腹が立って、体が震えるほどだったそうだ。 すると、都市計画が口を開いた。 「この人たちは警察ですぞ」 さっぱり意味不明の対抗に相方はあきれて、ヤレヤレと言う感じで肩をすくめたきり黙って対応したらしい。 用事は結局、都市計画の男が測量して終わりだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.21 00:03:14
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