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イタリアいなかまち暮らし

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2009.05.13
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カテゴリ:イタリアの食べ物
いまさらイースターの話もなんだが。

夫の郷里ではイースターの時だけ焼く、伝統のお菓子とかスナックがある。塩味のものは、塩味のチーズの入ったfiadone(夫の村の方言の発音でヒヤドーネ)、お菓子はパリパリした生地に甘いリコッタの入ったsfogliatinaスフォリアティーナと、カステラのようなpignaピンニャがある。

スフォリアティーナはナポリではスフォリアテッレと呼ばれ、イースターだけでなく年中食べられている。
ナポリでは大麦の粒粒が入った卵たっぷりのカスタードクリームが詰ったタルト、pastieraパスティエラもよく家庭で作られる。わりと好きなんだけど夫の村では作らないようだ。

ヒヤドーネはかなりパサパサしてあまり好みではない。このパサパサ感がワインにあうらしいんだけど。イタリアの食べ物ってワインに合わせてるから水分が少ないものが多いのか・・・?
スフォリアティーナはリコッタがほんのり甘くてミルキーで、私のお気に入りだ。
2009-photo 286.jpg
義母のスフォリアティーナ

義母は去年までは毎年ヒヤドーネとスフォリアティーナの2種類を作っていた。夫はヒャドーネが、私はスフォリアティーナが好きなのでいつも余分に作って分けてくれていた。
私は年に一度イースターの楽しみとしておいしい義母のこれを食べるのがいいんだと思ってレシピは聞いていない。

しかし去年のこと、突然義母はピンニャを作った。私ははじめて食べるもので、出されたこのカステラのような菓子を食べてみた。
・・・パサパサとか通り越して、ごわごわしてるんですけど。レモンピールの味しかしないんですけど。

2009-photo 288.jpg
↑ピンニャ

もちろん義母が下手なんではなくて、こういうものなのだ。イタリアのケーキ・クッキーというのはたいてい日本のそれより水分が少なく出来ているし、すべての菓子の味のベースとでも言うように、必ずレモンかオレンジの皮で味付けされている。
義母の作るものはなんでもこういうイタリア式をしっかり守っていて、野菜はクタクタ、お肉はパサパサ、パスタは(モチモチは全くなく)シコシコという感じで、違う食文化で培った味覚に越えられない壁があるなぁとは思っているんだが。それでもパサパサのお肉と苦くて酸っぱいサラダを除いたらまあこんなもんだと思えて結構おいしい。なにより化学的な添加物とか一切使わないし。

まあそれはおいといて、初めて食べたこのピンニャという菓子がちょっとびっくりするほどまずかったんですよ、とにかく。
で、そのあと私のとった反応が、今でも何であんなことしたのかわからないんだけど、「レシピを聞く」ってこと。
なんか、変なごわごわの食感だから、あ、これはなんか普通のケーキじゃないな、と思って聞いてしまった。そこまではいいんだけど聞き方がにっこりして「どうやって作るの?」なんてやってしまった・・・ああばか。

結局ジャガイモが入ってるからなんか変わってるんだなということは分かったからいいんだけど、気に入ったふりをしてレシピを聞くなんて大間違いをしたおかげであとから変なことに・・・。
私、伝統料理とかあまり興味がないし、上記のように義母の味覚とはかなりの隔たりがあるため、よっぽど気に入ったものじゃなきゃレシピは聞かない。それでお義母さん、私がめったにレシピを聞かないのにこのときだけ聞くなんて、よっぽど気に入ったと思ったみたい・・・当然なんだけど。

今年のイースター、実家で食事して帰るときにピンニャ一個丸ごとくれたよ。トホホ(T_T)

これが結構でかい。30cmくらいのケーキ型。
何個も作ったらしく食後に出てきて、一口食べてみてやっぱり今年もまずいなと再確認していたので、慌てて「いらないよ!こんなに沢山食べないから半分でいい!」と言ったんだけど、「冷凍したらいつでも食べれるから」と丸め込まれてしまった。

帰りの車の中、自分の失敗は棚に上げて「どーすんのよこれ!なんでもっと強く断れなかったのよ」などと夫に八つ当たりしてかなり不機嫌だった。このとき去年レシピを聞いたことなどすっかり忘れていたので、夫もなぜ母親がいきなりピンニャを大量にくれたのかわからずとまどっていた。(後から思い出して言ったら怒られた。)

もちろん夫を責めるのはお門違いだし、義母が私が気に入ったと思い込んでしまうのも当然。私は何が入ってるのかと探索するにも、義母が喜ぶと思ってこういう聞き方をしたのに・・・もっと自分の言動は思慮深く行わないと、と思った。

夫はこういう場合とりあえず親からもらえるものは何でももらっておく主義。食べるかもしれないし、食べ切れなくて捨てることになってもそのときは食べると思ってもらったのでしょうがないってこと。でも私はエスカレートしたらと思うと怖いのでぴしゃりと断るほう。

今年義母は、偶然なのか、手が回らなかったのか、結構手がかかるほうの「スフォリアティーナ」は作らなかった。私はこっちのほうが好物なのに。そこで夫に言ってみた。

来年またおかあさんがピンニャを作るって言ったら、嫁はスフォリアティーナのほうが好きみたいだよって言っといてね

しかしなんと、チャンスは来年を待つまでもなく到来した。イースターから1ヶ月ほどたった先週、母の日にご飯食べに来てと電話があって夫がしゃべっていたら、「そうそう、またあの子のためにピンニャを作ろうか?」と言われたそうな。
ま、またかー(^_^;)

それで夫はここぞとばかりに私が吹き込んでおいたせりふを言った。

そんなことも忘れてたら母の日当日、予期せず出てきましたよ。スフォリアティーナ!\(^O^)/
またまたお土産に何個ももらっちゃったよ。手間がかかるのに、ありがとう~!!
母の日のプレゼントなんてバラ1本ともらい物のコーヒー一袋だったのに(爆)

うっうっ・・・私みたいな手伝いもしない嫁で、イタリア語もいつまでたっても下手でろくに会話もしようとしない嫁で、夫の実家で朝11時まで寝る嫁ですんません~(爆)
こんな出来の悪い嫁の私に対して義母は全く姑的な干渉をしたことも言った事もないし、孫を催促したことだって1度もない、すばらしく「出来のいい姑」なのだ。

なんでこんなに大事にしてもらえるんだろう、と夫に言ったら

「本人は19の時に結婚して夫の移民先のカナダに連れていかれて、全く英語もわからないまま親とも離れて海外で結婚生活を始めた。ずっと前だけど『あの子の気持ちが分かるのは私だけ』って言ってたから、自分と重ねて見てるんじゃないか」って。

なんかじーんとくるなぁ。でも当時は海外も船で行く時代。私はインターネットでこうやって日本語で知らない人とも知ってる人とも普通のようにコミュニケーションをとって、いつも日本とつながっている感じがするのでホームシックもない。重ねて私が結婚した歳は義母のそれより10歳も上で、海外経験は多少あったからなぁ。彼女の経験した寂しさや苦労とは比較にもならないだろう。
だからそんなに気を使ってくれなくてもいいのにね。

こんなに大事にしてもらっても、こんなだらしない嫁で・・・せめてもっと明るく積極的に話して喜ばせてあげようと思う。(え?孫作れって?そ、それだけはご勘弁を~(汗)

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Last updated  2009.05.14 02:46:01
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