大山鳴動して鼠一匹。機械仕掛けの神 Deus ex machina
大山鳴動して鼠一匹。機械仕掛けの神 Deus ex machina大山鳴動して鼠一匹parturient montes, nascetur ridiculus mus (Horatius,Ars poetica,139) むかしむかし、柳沼重剛館長が、筑波大学附属図書館報『つくばね』の巻頭言として、「大山鳴動してねずみ一匹 : 図書館での遊びかたの一例」という記事をご執筆になりました(『つくばね』14(4), p.1-3 (1989.3))。 これは、のちに増補改訂され、柳沼重剛『語学者の散歩道』研究社, 1991 [804-Y16], p.70-79に、「大山鳴動してねずみ一匹」として収録されています。 出典は、ホラーティウスの『詩論』です:’Α ριστοτεληs. Περι ποιητικηs . Horatius. Ars poetica. アリストテレース, ホラーティウス (松本仁助, 岡道男訳)『詩学, 詩論』1997(岩波文庫, 青 604-9), p.268[訳注]:「 この有名な句は、ギリシアの諺「山が産気づいた。そして鼠一匹を生み落とした」にもとづく。この諺はパエドルス(Gaius Julius Phaedrus, ca. 15 B.C.-ca. A.D. 50)の『アエソープス(イソップ)風寓話』四・二四にも取りあげられ、短い寓話として語られている。 もともとイソップの寓話として伝えられた話の一つであり、これにもとづいてホラーティウスがこの句を書いたことも考えられる。... 。なおわが国でよく知られている「大山鳴動して鼠一匹」という句は、一六世紀にキリスト教の伝来とともにわが国に伝えられたイソップの寓話(またはこれに類似した話)にもとづくものと推定される(中国古典に由来する諺ではない)。」Phaedrus,. Fabulae Aesopiae, 4.24: Mons parturiens.「 Mons parturibat, gemitus immanes ciens, eratque in terris maxima expectatio. at ille murem peperit. Hoc scriptum est tibi, qui, magna cum minaris, extricas nihil. 」cf. 大山鳴動して鼠一匹(ねこまたや) --------------------------------------------------------------------------------機械仕掛けの神 Deus ex machina’Α ριστοτεληs. Περι ποιητικηs . Horatius. Ars poetica. アリストテレース, ホラーティウス (松本仁助, 岡道男訳)『詩学, 詩論』1997 (岩波文庫, 青 604-9), p.179-180[訳注]:「 「機械仕掛け」はメーカネー(mechane)の訳。テオス・アポ・メーカネース(theos apo mechanes)、すなわち「機械仕掛けの神」ともいわれる(一般にはラテン語でデウス・エクス・マーキナー deus ex machina と呼ばれる)。メーカネーは神(または神に擬せられた人物)に扮した俳優を舞台の上方に出現させる一種のクレーン(起重機)のような装置であったと考えられるが、詳しい仕組みは分からない。しばしば劇の終わりで神が登場して筋の「行き詰まり」を強引な仕方で解決するところから、このような筋の解決そのものが「機械仕掛けの神」または「機械仕掛け」(による解決)と呼ばれた。三大悲劇詩人のなかでも、とくにエウリーピデースはこの「機械仕掛け」を好んで用いた。」 --------------------------------------------------------------------------------Last updated: 2004/10/11 [林哲也] http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/memb/hayashi/horatius.html大山鳴動 大騒ぎした割には、大山鳴動して鼠一匹ということになったようだね。 ● Everybody was so up in arms, but it seems they got all panicky about nothing. be so up in armsで「(自分たちのことを守るために)大騒ぎをする」の意味。get all panicky about nothing「何でもないことで大騒ぎする」が「大山鳴動して鼠一匹」に当たる表現になります。 ■A lie can go round the world and back again while the truth is lacing up its boots.嘘は真実がブーツのひもを結んでいる間に世界を一周して戻ってくる。Everybody's business is nobody's business. 共同責任は無責任。It is an ill wind that blows nobody good. 甲の損は乙の得。He who hesitates is lost. ためらう者は負け。Nothing is certain but death and taxes. 死と税金以外は、確かなものは何もない。来年のことを言うと鬼が笑う。The grass is greener on the other side of the fence. 隣の芝生はよく見える。If you want something done well, do it yourself. 自分でするのがいちばん。A drowning man will catch at a straw. 溺れるものはわらをもつかむ。■All proverbs contradict each other. 全ての諺は矛盾している。The golden rule of life: make a beginning. 人生の黄金律: 始めよ。He who begins many things finishes but few. たくさんのことを始める者は終わらせるものは少ない。