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蚤と爆弾 吉村昭 1970年 細菌の改題
優秀な科学者が兵器の開発にその能力をいかんなく発揮すると極悪非道な事柄を成果として出現させてしまう。人間とは、能力を制約なしに発揮できてしまうものなのだという事実が突きつけられた。
軍事的勝利を至上として目的を合理的に実現する兵器の開発を課せられると、平時には躊躇して出来なかったことも、科学的に組織的に行ってしまう、人間はそういう特質を持ち合わせているということを明らかにしている。
勝利が人道に優先される時、手段の合理性があればいかなることをも許してしまう人間がいる。戦争は、国家が認めた人道を超えた殺人・破壊行為であるから、その極悪非道は無限となってしまうわけだ。
細菌兵器開発の実績は、米ソも捜し求め、排除・消去するのではなく、我が物にしようとした。米軍は、対価を払って入手した。開発し使用した者の罪は隠蔽され、非道な科学的成果は米軍に秘匿された。
極悪非道でない戦争などは、人間はできないのだろう。極悪非道を科学して勝利を目指してしまうのだ。歴史を知るとはそういう人間であることをわかることなのかもしれない。
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Last updated
Jan 20, 2016 04:34:04 PM
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