せっかく、遠き地の果てインドに仕事に来たのに、
こっちの希望は、全て、首を横に振られるだけだった!!
果たして!!!???
ワシのインド紀行・その4
「これは?」
「じゃあ、こっちは?」
「それでは、ここでは??」
私の希望は、すべて首を横に振られた。
「おいおい、全部、ダメなのーー??」
「ははは・・arkyさん、大丈夫ですよ」
そばで、カルカッタからつきあってた、現地の日本人担当者が、ニコニコしながら言った。
「インドでは、イエスは、首を横に振るんですよ」
!!!!!!!
おおおおーーっ!!
そういわれてみれば、こっちに来る前に、インドの風習とか読んでて、肯定はクビを横に振るということが書かれていた!!
ああ、そういえば、そうだった!!
実際、目の前で、クビを横に振られると、やっぱり、ついつい否定ととらえてしまうんだ。
「オオ、エクスキューズミー。アイ、シンク、ユー、セイ、ノー、ノー、ノー。オール、インポッシブル」
「オオ!!ハハハハァーッ。アイ、セイ、イエス!!」
(こんな英語で通じちゃうわけ)
私たちと打ち合わせをしていた代表は、思わず、私の肩を叩き、立ち上がって握手した。
そして、何度も何度も、クビを横に振って、おどけてみせた。
正確に表現すると、クビを横にかしげると言った方が近いんだが、横にかしげながら、ふらふら首を振るんである。
では、否定は??
実は、否定は、首を縦に振るのだ。
これも、正確には、クビを後ろにかしげるような動作である。
我々の肯定の「首を縦に振る」は、前に傾げるが、インドの否定の「首を縦に振る」は、後ろにかしげる感じである。あごを前に突き出す感じ。
なかなか、ボディランゲージだと、通じにくい場合がある。
特に、こんな風に動作が違う国では、ほとんど役に立たない。
気をつけないと、何気ない仕草が、その国ではとんでもない意味を持つことがあるようだ。
さて、ということで,こちらの希望はほとんど受け入れられたわけなので,仕事も順調に進み,週末がやってきた。
インドも土・日はお休みである。
毎日毎日,暑くて,汚い瓶に入っているジュースなんか飲まないようにしなくちゃ,と心に決めていたくせに,もう汗だくのところに冷たい汚い瓶入りジュースを差し出されちゃえば,ごくごく飲みまくってしまった。
まあ,べつに何ともなかったんだけど、実は,私がインドに出張する1年前に,会社の人間はインドで赤痢になって帰ってきて,社内消毒とか,社員全員検便とか,大変な騒ぎになったことがある。
だから、インドでは生水は飲まない,汚い容器に入ったものは飲まない食わない,生水で洗ってあるような適当な食器は避ける,とかいろいろ注意点をおさらいしてきたんだが,やっぱり,暑くてそれどころじゃない。
で,汗だくのTシャツとか,靴下パンツがたまってきた。
週末は洗濯だな,と思っていたが,ゲストハウスのボーイが,
「クリーニング,何かありますか?」
と聞いてきた。
ああ,そういえば,毎日朝早く,夜遅いので,ろくにゲストハウスのボーイとかメイドとかとは会っていなかった。
「どーしよーかなー・・みんな自分で洗えるし・・
ハウマッチ?」
「ワン・ルピー」
インドの通貨の単位はルピーである。
しかし,1ルピーというと,10円だ。
「ワン・ルピー?ホワットカインド?」
「オール・・ワン・ルピー、OK」
おいおい,何でも,10円だよ。
こりゃ頼むしか無いでしょ。
Tシャツも靴下もシャツも,うーん,パンツはどうしよう・・
で,同行の仲間が聞いたらしく,
「彼らの稼ぎになるから,何でも出してあげた方がいいみたいですよ」
という。
なるほど、ということで、パンツも出してしまう。
それでも,全部で、180円位である。
あとで,ゲストハウスの近所をぶらぶらすると,現地の女性とかが,たくさん服を洗濯している姿を見かけた。
ああ,あれが,クリーニングか。
と思いつつ,なんか、ほのぼのとした風景を感じたのである。
日曜日,向こうの会社の代表が,
「野生の象を見に行かないか?」
と,誘ってきた。
「象!?」
(まだまだまだつづくーーっ!)