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2005年09月06日
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カテゴリ:記憶の宝箱


いよいよ、ジャムシェドプールの町を離れる夜が来た。


代表は、仕事先で知り合った彼の部下を呼んで、我々の送別パーティを開いてくれたのであった。



ワシのインド紀行・その8

中盤のクライマックス



そこは、公民館みたいな場所。


といっても、大きな施設ではなく言わばでかい掘建て小屋みたいなところ。

その部屋に大きなテーブルを用意して、タンドリーチキンや、得体の知れないインド料理をたくさん用意してくれていた。

インドのビールとタンドリーチキンはよく似合う。

インドのビールは、栓をあけていないのに、中にフワフワと酵母みたいなのが漂っていて、そのせいか、こくがある。

物足りないのは「冷えていない」こと。

まあ、日本人は、ビールを冷やし過ぎなところもある。

本場、ドイツで飲んだビールもギンギンに冷やしているのはあまりなかった。

むしろギンギンに冷たいビールを飲みたい時はいっとき日本でも出た「アイス・ビール」を飲めばよい。

普通のビールのアルコール度の倍くらい強く、氷を入れればちょうどよくなるくらいの飲み物なのである。

しかし、インドでは、それも片田舎の町では、氷を作る設備など持っていないのがほとんど。

冷蔵庫だって、そんなにぎんぎん冷えるものでもない。

ま、そんなある程度、ひんやりしている程度のビールで乾杯し、今回の仕事をお互いねぎらいあう。


ところで、私が、その場所で気になっていたのが、別のテントみたいな場所で、映画を上映していたことである。

インド人は、映画が大好きである。


ご存知の通り、

インドは、世界で最も映画製作本数が多い。


それは、ひとつにはカースト制度がもたらしたもので、身分を超えることは出来ないという必然を破ってくれるのが「映画」なのである。

映画に、彼らは夢を託しているのだ。

日本でも大ヒットした「ムトゥ--踊るマハラジャ」を見た方なら、お分かりだろうが、身分を超えた恋物語がひとつの軸となっている。

そういう映画が多いらしい。

そして、結構普通の奴らが、映画に詳しい。

向こうの現場で世話になった人たちが、その晩は、一緒の席にやってきて、ある程度、会話が出来た。

前にも書いたが、こっちも向こうも英語は下手なので、ちょうど良い会話が出来る。

話題も、よくわかる映画の話・・

「クロサワ」


「オオ!!ユーノウクロサワ!!」

「ドゥーユーライククロサワムービー?」

「イエス!」

「ホワットムービードゥーユーライク?」

「ウエール・・マイベストムービーオブクロサワイズ・・

セブン・サムライズ!!」

「オオ!セブン・サムライズ!!アイノウアイノウ!!」



ま、通訳すると、インド人も怪獣映画が大好きで、一番好きな怪獣映画は「宇宙大怪獣ドゴラ」である・・ということのようだ。

「マイ、モストフェイバリットSFムービーイズ・・トゥーサウザンズワン・スペースオディッセイ」

「オオ!ユーアーラッキー!!」

「??」

「ザットムービー、プレイアトネクストルーム」


「ハア?」



おおおおおお!!!


そうだったのか!!



その公民館では、今夜映画上映会が行われていて、

何と、私の好きな映画のひとつ「フレッシュゴードン」が、今まさに隣の部屋で上映されているというのである!!

しかし、実は、私たちは、夜9時半の列車に乗って、カルカッタに帰ることになっていた。

「アイムソーリー!ヒゲソーリー・・アイキャントウオッチザムービー」



入り口をのぞくと、人々はみんな一心になってスクリーンに見入っていた。

何か、小学生の時、夏休みに校庭で映画上映会があって、怪獣映画とかアニメ映画を毎年見たことが思い出された。

銭湯に行くと、予告のポスターが張り出されていて、結構大人もたくさん来て、盛り上がったものである。

そんな、みんなで楽しむ空気が、そこにはあった。

昔の日本人が持っていたあこがれみたいな小さな希望が、インドの人たちにもあった!

映画に夢を託す。


でも、次の日には、また仕事だ。


工場で働く人もいれば、何でもひとつ10円で洗濯する女たちもいる。

牛を引っ張って、荷物を運ぶ子供もいれば、道ばたですわってお経みたいな歌を唱えてお金を集める老人もいた。

カルカッタだけではない、人々の生き様が、何にも覆われずにむき出しで営まれている国がインドなのだ。


そこには、得体の知れないパワーがあった。

たとえ、見つからなくても、3時間の道のりをジープを駆って野生の象を見に行こうとする馬力。

川縁の地面に住んでいても屈託のない笑顔の子供たち。

やはり、インドには何かしらパワーがあるのだろう。


やはり、神の力が宿っているのだろうか・・




・・・



「サヨナラ・・arkyサン・・」

「シーユーサムデイ」


代表と、他の連中と、固い握手をしながら、夜なのに暑い駅からカルカッタ行きの寝台列車に乗り、

私たちは、二度と訪れることもないだろう、ジャムシェドプールの町を後にしたのである。


そして、ふたたび、カルカッタで、更なるインドを体験することになる・・


(必然的に、つづくぅーーーーーっ!!!!)


次回から、「カルカッタ追撃篇」




※一部、字幕翻訳家の戸田奈津子みたいに誤訳があったようです。お詫びして、訂正はしません・・(^_^;






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Last updated  2005年09月07日 00時39分01秒
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