ホスピタリズム
いつもより1時間早く起きて出勤。例のフライングディスク大会へ患者を連れて参加させるためである。ところがイザ出発しようとバスの待つ駐車場へ行こうとしたら昨日の何度投げ方を教えてもわかってくれないバさまが病院の敷地から出ようとしない。どうやら道路との間にある溝にかけられた金網(?)を自力で渡ることができないのだ。そのまま踏んで歩けば大丈夫だと言っても『怖い・・』と進もうとしない。そう。彼らにとって病院の外とは非日常の世界なのだ。なので会場へ行ってもユニフォームを揃え、職員と一体になって大きなかけ声を上げてバレーボールに励む他の病院を目の前にしてか病棟にいるときよりも遙かに発語が少ない。というより緊張している。まさしく”借りてきた猫”状態。外出を時々している患者も中にはいるが、それでも慣れない状況に戸惑っているようだ。フライングディスクの競技に参加しても1投1投を集中して投げることなく渡されたディスクをひたすら早く投げることしかしない。おかげで円盤拾いをしていた主任は右へ左へと振られて大汗かいてた。聞けば『面白かった。』『また参加したい。』という返答は聞かれるがその表情は固いまま・・。結局僕らにとって彼らにできることとは何なのだろう?本来ならば社会復帰へ向けて本人が前向きに取り組めるよう援助しなければならない。しかし、長すぎる入院生活によって彼らはそんなこと望んではいない。とにかく疲れた1日だった。病棟での勤務よりは遙かにマシだろうけど・・・。