乗務。 ああ、日本が恋しい!
今日の起床はゆっくりと午後のはずだったのに、時差の関係かなんだかしらないけれど朝10時には目が覚めてしまった。 テレビをみながらゆっくりと過ごしているうちにまた眠気がしてきたので、11時間睡眠をとったはずなのにまた1時間程熟睡。 そこで電話がかかってきた。 『あ、私だけど、出発が遅れるので夕方5時に集合ね。』とパーサー。 とにかく中途半端な休憩とディレイなので、空港に先にいくことを伝えてから支度に取り掛かった。 空港に向かう前には日本食をあつかう大きなスーパーマーケットの2階にある日本書店に行き、そこで前から欲しかった本を大量に購入。 やっぱり日本語の活字が懐かしいのでここに来るたびに本を買っている。 で、ホテルにいったん戻ってから今度はフライトに出る準備をして皆より早く空港に出発。 というのも夕方5時にホテルを出発してしまうと、この都市の国際線ターミナルにある免税店が閉まってしまうので早めに出た。 ここからの国際線は大抵午後4時までには出てしまうので、よほどのことが無い限り免税店も早くに店を閉めてしまう。 で、免税店で友達に頼まれていたものを数点購入。 搭乗口で他のクルーが到着するまで先ほど買ってきた本とスタバのコーヒーで時間をつぶす。 お客さんも近くで待っているのに、日本語の本を読んでいると何故だか質問攻めにあうことがない。 いつもなら、『何故遅れているんだ』とか、『乗り継ぎに間に合わないじゃないか、どうしてくれる』とか言ってくるような人(中年男性に多し)も遠くから私をみているのが気配と妖気でわかる。 しばらくしてクルーの到着。 ディレイの詳細は聞いていなかったので、気になったけれども本に熱中してしまった。 だって、ディレイの詳細を聞いた所で出発が予定通りになるわけでもないし、ほんとにその情報が信用できるのかもわからないし。 とにかく機体が到着して、清掃、整備、と進んでいき、いざ出発。 お客さんは何だかのんびりしているというか、それほど切羽つまったような人もいないし、文句をたらたら言ってくる人もいないし、なーんか不思議な感じ。 サービスにも熱がはいるし、何といっても乗客数が少ないので1人1人を丁寧に受け入れられるのが心地よかった。 でもフライトも終りに近づき、着陸体勢にはいるかはいらないかのところで、いきなりスペイン語で『%#%^&*&%$@”@#%!%^$?』と話し掛けられる。 でもなぜかスペイン語を理解しない私にも『ああ、乗り継ぎがあってチェックインが間に合わない』って言ってるんだなとわかってしまった。 確かにフランス語とはちょっと近いかもしれないけど。 とにかく機体の前方に座席を移動してもらって、入国審査を早く終らせられるようにしてあげるけど、荷物は絶対に時間がかかるだろうと頭の中にあった。 でも要らない事は言わない。 後はグランドさんにまかせるしかないし、私がカーゴを空中で開けてその人の荷物を他の中から探し出してお届けするという特技はあいにく持ち合わせていないし(そんな特技なんて今後50年必要もないだろうし)、祈るのみ。 座席を移動してもらった後は何が起きたのかしらないけど(エコの後方で働いたので)、無事に乗り継げるだろうかとかしか考えられなかった。 私ならできる限りのことをするけど、今回ばかりはしようがないし、天候も問題で遅れた事を『あんたの会社のせいだ』とか言われても困る。 天気をコントロールする能力があるのなら、私の住んでいる街を常に摂氏30度位にたもって庭にはパームツリーとかパイナップルでも植えて農園を作るだろうし。 ま、どうせ寝たら忘れるからゴタゴタがあってもいっこうに気にしない。 そして飛行機は無事に到着。 この飛行機を持って帰るクルーが既に待機していたので近況報告なんかをして、さっさとホテルに入るのでした。 【終】