テーマ:癒しの風景(25)
カテゴリ:癒しの風景
先日夕方、田んぼの脇に建っている賃貸アパートにこれから結婚する若いカップルを案内した。
とても気に入ってくれたけれど、その若いカップルの男性がぽつりと言った。 「しかし…蛙の声がうるさくね?」 でもつれの女性がすぐにこう言った。 「平気平気、あたしが育ったとこも田んぼの側だったし」 その言葉になんとなくボクらは声を潜め耳を済ませると思わず誰かがクスッと笑い出した。 「 春のうた 」 草野心平 ほっ まぶしいな ほっ うれしいな みずは つるつる がぜは そよそよ ケルルン クック ああいいにおいだ ケルルン クック ほっ いぬのふぐりがさいている。 ほっ おおきなくもがうごいてくる。 ケルルン クック ケルルン クック 以前、田舎暮らしがしたいお客さんに郊外の中古物件をお世話した事がある。 しかし一年後、お客さんはせっかく購入したその物件を手放したいと言った。 蛙の声がうるさ過ぎてノイローゼになりそうだというのだ。 その人たちには「 ほっ まぶしいいな ほっ うれしいな ケルルン クック 」とはならなかったらしい。 とにかくボクにはケルルン クックだ。 たまらなく蛙の声が好きなのである。 ボクには永遠の音楽の愛聴盤が何枚か存在する。 その一枚にカヌーイストでエッセイストの野田知佑さんの「ハーモニカの夏」というCDがある。 これはまさしく究極の聴くアウトドアなのだ。 四万十川の河原、焚き火の音、蛙の声、川のせせらぎが野田さんの優しいハーモニカが共鳴するのだ。 焚き火の音といえば、ニール・ヤングのアメリカン・スターズン・バースのB面に焚き木がパチパチ燃えるトロケルほどロマンチックな歌も大好きだ。 しかし蛙といえばやっぱり少年時代の残酷な遊びを思い出してしまう。 厚紙で作った紙飛行機に蛙を括りつけてジャングルジムの上から何度も飛ばしたっけ。 空中でケルルン クックは紙飛行機から外れてまっさか様に地面に落下していくんだよね。 仲間たちを代表してこの場を借りて謝罪するよ。ごめんね。ケルルン クック…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月09日 02時55分24秒
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