今年もチッコリーニが来日してくださいました。87歳。
2010年のベートーヴェンの協奏曲は、とてつもない名演でした。
今回はリサイタルのみです。
12月1日 すみだトリフォニーホール
今回はセヴラックとドビュッシーのプログラムです。セヴラックが大変楽しみでした。
セヴラックの音楽は、館野泉さんのCDで初めて知りました。館野さんが病気を患う前、デビュー40周年を迎えた2001年に、フィンランドで録音した2枚組 みのCD「ひまわりの海」です。館野さんは昔からセブラックを愛好していたということで、レコード会社に録音の話を持ち替えたがどこも乗ってくれなくて、 しかたがなくて自分で録音したところ、さいわいFinlandiaレーベルが話しに乗ってくれたということで、同レーベルから出たものです。当時のレコー ド芸術に、濱田滋郎さんのインタビュー記事が、きれいな写真とともにのっていました。このCDで聴いたセヴラックの音楽があまりに素敵なので、他の録音も あるのかと調べたら、チッコリーニの演奏で3枚組みのCDが出ていることを知って、早速買い求めたものでした。チッコリーニは70年代にセヴラックの主要 ピアノ曲をすべて録音しているわけですから、セヴラックへの愛着は相当なものでしょう。そのチッコリーニのセヴラックが聴けるというのですから、夢のよう です。
プログラムの前半がセヴラックで、
組曲「ランドック地方にて」の第四曲、「春の墓地の片隅」 「休暇の日々から」 第一集 (全8曲)
「セルダーニャ」から第四曲、「リヴィアのキリスト像の前のラバ引きたち」
演奏会用の華麗なワルツ「ペパーミント・ジェット」
というものでした。
プログラム後半が、ドビュッシーの前奏曲集第一巻でした。
チッコリーニのセヴラック3枚組みのCDから、コンサートのプログラム順どおりに曲を抜粋してカーステレオに録音し、あまり予習しすぎないように注意し、ほどほどに予習して、当日にそなえました。
コンサート当日、配布されていたプログラムには上記の濱田滋郎氏の解説が乗っていました。
登場したチッコリーニは、杖をついていました。去年までは杖は使っていませんでした。
セヴラックの珠玉の作品を奏でるチッコリーニの音は、澄みきって美しいことこのうえありませんでした。
後半のドビュッシーは、近くの聴衆に不心得者がいて、かなり邪魔になったのがつらいところでした。しかし前半だけでもじっくり体験できて、幸せなことだと思います。アンコールはスカルラッティとグラナドスでした。アンコールが終わって最後は客席総立ちで、チッコリーニに感謝の拍手を送りました。