続いては、今週放送されたきらクラ!のボツ投稿の二つ目です。
夏休みの宿題として出されたアウトロどんのニアピン狙いで投稿しました。
正解曲はシベリウスの交響曲第五番のエンディングでしたね。短い和音が、長い総休止をはさんで繰り返される印象的なエンディングです。
僕の愛好するウォルトンの交響曲第一番のエンディングが、これと似て、短い和音が長い総休止をはさんで繰り返されます。かねてから僕は、これはウォルトンがシベリウスの5番を意識して、それを引用したのだろうと個人的に思っていました。それでニアピン狙いで投稿したわけです。ともかくはボツ投稿を、以下にそのまま載せておきます。
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真理さんふかわさんスタッフの皆様こんにちは、いつも楽しく聴いています。
アウトロの、ニアピン狙いで投稿します。
正解曲のアウトロがあまりに偉大な個性を放っているので、それほどピンの近くには近づけないけれど、グリーンに乗ったらうれしいです。
ウォルトンの交響曲第一番の終楽章のエンディング部分です。
この曲の全曲初演は1935年です。この時代、世界は大恐慌に苛まれ、強まるファシズムの勢い、迫りくる戦争への不安がどんどん高まっていく時期です。この曲の第一楽章は、そうした時代の不安が激しく現れた凄絶な音楽です。しかし終楽章は、一転した輝かしい勝利の音楽として、力強く締めくくられます。そのエンディングが、正解曲と似ているのです。
一方正解曲は、第一稿による初演が第一次世界大戦の只中の1915年です。そして作曲者の祖国フィンランドがロシアからの独立宣言をしたのが1917年で、翌年には内戦になります。作曲者はこの不安と困難な状況の中でこの曲の改訂をすすめ、ついに改訂稿が完成します。その初演は、フィンランド共和国が成立した1919年でした。すでに第一次大戦も終わっていました。
ですのでウォルトンは、正解曲へのオマージュとしての意味はもちろんとして、それだけでなく、この不安の時代の中で、今度こそ本当に平和と安定がもたらされるように願って、似たエンディングで締めくくったのではないかと、個人的に勝手に思っています。
口上が長くなりました。最後に一番重要なことです、ご自愛ステッカーをよろしくお願いいたします。
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という投稿でした。番組ではシベリウスの5番の第一稿と改訂稿のエンディングの聴き比べもありましたので、それをもうちょっと延長すれば上の投稿につながる話だったので、ボツになり残念でした。
ご参考までに、ウォルトンの交響曲第一番のエンディングを、YouTubeで聴けますので、聴いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=hS1hzEscDmI
これの45分すぎから聴いていただくと、壮大な勝利の音楽が延々と続きます。そしていよいよ大団円の46分20秒すぎからが、短い和音と総休止の繰り返しになります。
いかがでしょうか、それほど似てないと言われればそれまでですけど(^^;)、シベリウスの5番を意識して作られていると思っていただけたら嬉しいです。いずれにせよ、僕の渾身のショットは、グリーンに乗るどころか、池の底に深く沈んだわけでした。。。。
ウォルトンの交響曲第一番は大好きな曲で、このブログにも以前、保有するディスクのことを3回にわけて書いたことがありますので、よろしければご参照ください。
ウォルトンの交響曲第一番:その1
ウォルトンの交響曲第一番:その2
ウォルトンの交響曲第一番:その3
です。
それから、先ほどYouTubeで紹介した演奏は、2013年の尾高忠明指揮・NHK交響楽団の定期演奏会で、僕もこの演奏会を聴きました。感想はこちらです。