今回のきらクラ!、聴かれた方いらっしゃるでしょうか。
BGM選手権で放送された僕の投稿を書いておきます。
8月31日のお題は室生犀星 著「愛の詩集」から「よく見るゆめ」でした。これにあうBGMをクラシック音楽の中から選ぶわけです。
お題は、NHK-FM きらクラ!ホームページの「お題はこちら」に載っています。
http://www4.nhk.or.jp/kira/48/
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奇妙な夢ですね。
さて僕の投稿をそのまま全部のせておきます。
(放送では投稿のごく一部が割愛されていました。)
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真理さんふかわさんこだまっちさんこんにちは、いつも楽しい番組をありがとうございます。BGM選手権の「よく見るゆめ」に応募します。シュニトケの交響曲第2番の第4楽章冒頭からはいかがでしょうか。静かに不気味にじりじりと迫ってくる音楽が、裸で街の路上にいるという、不条理な心象風景に相応しいかと思います。セーゲルスタム指揮ロイヤルストックホルムフィルのCDだと、曲が始まって12秒で朗読開始していただくと、「何といふ恥かしいことだ」の直前に弦楽合奏の弱音のトレモロがはいり、それが主人公の心が恥ずかしさ恐ろしさにうち震えるさまにとてもあいます。その後、音の厚みがゆっくりじわじわと増していくのが、主人公の緊張が次第に高まるさまを良く現します。やがて大胆に歩きはじめた主人公を人々は咎めず、握手さえ求められます。しかし、この先またどんな不条理な展開になるのか、まだまだ安心できませんよ、と音楽は語っています。
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今回も、前回のモンクのボツ投稿と同様に、お題に合うBGMを積極的に考えてひらめいた、などということは全然ありません。入院中にシュニトケの交響曲全集を聴いたということを先日の記事で書きましたが、その途中で、お題に合っている音楽がたまたま流れてきたという、まったく偶然・幸運の産物にすぎません。ひと夏を入院で過ごしたことへの、神様からのねぎらいのプレゼントかと思います。ありがたいことです。
シュニトケの交響曲第2番は、YouTubeでも聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=TZFjSbvwnU0
第四楽章は、これの24分37秒から始まります。御用とお急ぎでない方、お試しください。ちょっと不気味すぎるかもしれませんので、ご用心。
それにしてもベストBGM賞の曲は凄かったと思います。BGMの果たすべきもっとも重要な役割は、文章の持つ真の意味を明らかに照らし出すことだと思います。その意味で、「素の自分」を出すことを肯定的にとらえようとする志向性を読み取った文学的洞察力と、そこにモーツァルトをあてはめた音楽的感性には脱帽です。選んだ方にも、ふかわさんにも。