BGM選手権、今回のお題は夏目漱石「草枕」の冒頭部分でした。お題は番組ホームページ、「お題はこちら」に載っています。
有名な文章ですね。しかし「情に棹させば流される」の句は耳にしていたものの、その意味は良くわからず、今回の出題を機に調べてわかりました。「とかくこの世は住みにくい」のあとに、芸術を志向する思いが語られている文章だったということも、初めて知りました。
今日の放送、1枠目は、「シベリウス大好き」さん改め「高速タンギング」さんでした!おめでとうございます。アレンスキー作曲「チャイコフスキーの主題による変奏曲」で、静かな悲しみをたたえた弦楽合奏の響きが美しく、テンポ感も山道を思索しながらゆっくり登るイメージにぴったりでした! 3枠目は、アメデオンさんの、グールドの弾くゴールドベルク変奏曲からアリア。放送されたのは1981年の録音の方でした。グールドは漱石の草枕が好きだったそうで、そこからつながった選曲ということでした。グールドと漱石が通じあう世界の深みを垣間見せてくれる、バッハの響き。究極のBGMですね。ため息がでます。これがベストに選ばれました。
これらお二方の間に挟まれた2枠目に、僕の投稿がなんとか滑り込みました。ありがたいことです。僕の投稿は、以下になります。
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真理さんふかわさんこだまっちさんこんにちは。BGM選手権、夏目漱石「草枕」に応募します。ポール・リードの「ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン」組曲から第5曲「夏」はいかがでしょうか。クラリネットとピアノのさわやかな歌は、芸術を志す主人公の足取りのように聴こえます。そこには時々、短調の部分が顔を出し、人の世の住みにくさを、じわりと伝えてきます。漱石のメッセージは、住みにくくなるばかりのこの現代社会で、ますます重い意味を持っているように思います。これからも芸術が、人々の癒しとなり、心の支えになり続けることを、願わずにはいられません。
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この曲は、だいぶ以前にNHK-FMで時々流れていたのを聴いて、好きになりました。
ポール・リードは1943年生まれのイギリスの作曲家だそうで、BBCの「ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン」という人気テレビ番組のために作った音楽を、のちに5曲からなる組曲に編曲した、ということです。
僕の持っているCDは、マイケル・コリンズのクラリネットと、ピアノ伴奏による演奏です。ちょっと陰影を含みつつも前向きであたたかい音楽が、お題にあうように思いました。ただ投稿のときに多少気になっていたのは、「山を登りながら考える」にしてはテンポが速めで、平地をすたすたと歩いているようなテンポ感だったことです。もっと遅い曲にしようかなと思いながらも、他に思い浮かばず、これにしました。テンポの点でボツになるかなぁ、と心配していましたが、幸運にも放送されました。
放送ではクラリネットとハープの演奏が流れました。その演奏は、僕のレファランスとなっているマイケル・コリンズの演奏よりもテンポがさらに速く、平地どころか、下りの道を速足でぐんぐん降りていくような感がありましたので、ともかくも採用されてありがたかったです。
マイケル・コリンズのCDです。歌心あふれ、微妙なニュアンスに富んだ演奏です。
動画サイトには、子供から大人、アマからプロまで、沢山の方々の演奏がアップされていて、この組曲の人気の高さがうかがえます。第5曲「夏」のお勧めがこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=ptegrl3TiGI&list=PLZGOzpBiveetsgh7WKzT5Q7loxg_ksQFl&index=5
音楽とともに、素敵な木や花や庭の絵も楽しめます。
それから、こちらはほほえましいダンス付きです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZYo14tBMM8s
です。(こちらは組曲の全5曲です。)