今回のきらクラドンの正解曲は、メンデルスゾーンの真夏の夜の夢からノクターンでした。ちょうど6月22日月曜日が夏至なので、この時期にふさわしいお題でしたね。ホルンと弦楽の響きが美しかったです。何年か前の7月7日のお題が、マーラーの交響曲第5番からアダージェットで、これもマーラーの誕生日7月7日にちなんだ、さりげなくも素敵な出題で、特に番組ではコメントはありませんでしたが、うれしく思ったものです。
メンデルスゾーンの真夏の夜の夢の「序曲」を結婚式の再入場に使ったというお便りがありました。そのあと、舘野泉さんの奏するクーラの結婚行進曲のリクエストもありました。この曲の入った舘野泉さんの2枚組のCDは僕も愛聴盤で、以前にこのアルバムからパルムグレンの曲をBGM選手権に投稿したことがあります。
そらみみクラシックは、BWV1000番さんの、ブルックナーのテ・デウムです。よもやブルックナーがこのコーナーに登場するとは思いませんでした。BWV1000番さんおめでとうございます!
さてさて今回のBGM選手権は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」でした。没後の遺品の中のメモ帳の中に書きつけられていたのが発見され、タイトルもついていないということ、初めて知りました。今回は投稿が極めて多数ということで、増枠して4枠の採用でした。
1枠目は、でくのぼうずさんの、グラズノフの吟遊詩人の歌
2枠目は、がうさんの、フォーレのパヴァーヌ
3枠目は、ひーまんうららさんの、山田耕筰の交響曲「かちどきと平和」の第一楽章冒頭
4枠目は、うどんくれめるさんの、カッチーニのアヴェマリア
最初のグラズノフの、賢治にちなんだチェロが、悲しくも芯のある歌を奏で、心に響きました。次のフォーレのパヴァーヌは、ふかわさんがおっしゃっていたように、朗読中のピチカートと、朗読後のアルコの両方が胸に沁みて、じーんと感動しました!これがベストに選ばれました。3枠目は前向きさに、4枠目は祈りに重点を置いた選曲でした。ベストを選ぶ時のおふたりのやりとりから、ふかわさんはフォーレをベストとしたことがわかりました。真理さんのベストは、多分チェロのグラズノフだったのかなぁと推測します。
続いて番組では、富田勲のイーハトーブ交響曲から第五楽章「銀河鉄道の夜」、第六楽章「雨ニモマケズ」が放送されました。第五楽章の途中にはラフマニノフの交響曲第2番第三楽章のあの美しいメロディーが引用されていました。初音ミクも参加した曲で、美しく、重く、心に残りました。BGM選手権とあわせて、賢治の世界にどっぷりつかったひとときでした。
今回、内容的にも、ボリューム的にも、宮沢賢治の回と言っても良いような濃さがありました。そうだ、いつか宮沢賢治スペシャルをやっていただいたら、素敵ではないかと思います!
BGM選手権への僕の投稿曲を書いておきます。ヴォーン=ウィリアムズ作曲「ウェールズの賛美歌による3つの前奏曲」から第2曲「ロージメードル」です。原曲はオルガン曲で、それを作曲者の親友アーノルド・フォスターが編曲した弦楽合奏版で応募しました。穏やかな弦楽の響きが、病床の苦しみの中での、前向きさと祈りとが合わさった気持ちを、伝えてくれるように感じました。
この曲に僕が出会ったのは30数年前で、マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団のレコードでした。イギリスの弦楽合奏の数々の名品とともに、この曲がB面の最初に収められていました。(このレコードのA面には、今回「勝手に名付け親」のお題となったディーリアスの2つの水彩画も、入っています。)
マリナーによるイギリス弦楽合奏曲集のレコードジャケットです。
滅多にかけないので愛聴盤とは言えず、家族からは死蔵盤といわれている、僕の愛蔵盤です。
マリナー演奏の弦楽合奏版ロージメードルは、のちにCD化もされたようですが、僕はCDを持っていません。調べたところ弦楽合奏版は現在、マリナーと、ヒコックスの二つの演奏のCDが存在しています。今回この曲を思いつき、それでふかわさんの朗読と合わせて聴くために数年ぶりにレコードプレーヤーの電源をいれ、レコードを引っ張りだして、3回ほど聴いたときです、ふいにレコードの音が出なくなってしまいました!ターンテーブルは回っているのに、音が出ないのです。どうもアンプがこわれてしまったようです。さあ困りました。この曲は以前カセットテープに録音しておいたので、古いカセットを詰め込んでしまってある数個の箱を、押入れの奥の方から相当な労力をかけて引っ張り出し、しばらく探して、なんとかそのカセットを見つけ出しました。そして使わなくなっていたカセットデッキも引っ張りだして、数年ぶりにコンポに接続してみました。カセットデッキは動くのだろうか。テープはちゃんと回ってくれるのだろうか、いささか心配しながらもスイッチをいれたら、ちゃんと動いて、この曲をふたたびじっくりと聴くことができました。
なお、原曲のオルガン曲は、より讃美歌に近い宗教的な祈りの雰囲気があって、それもとても味わい深いです。オルガンのCDは結構沢山出ているようです。僕の親しんでいるNaxos盤はこれです。
ところで、曲のもととなった讃美歌「ロージメードル」を、今回ネットで調べたところ、ウェールズ地方の牧師で作曲家のJohn David Edwardという方が1840年に作ったということでした。その楽譜も見ることができました。
http://www.hymnary.org/media/fetch/96165
です。タイトルは、「Our World Belongs to God」となっています。この讃美歌のメロディーを知ったうえで改めてヴォーン=ウィリアムズの曲を聴くと、最初の楽節でヴァイオリンが奏でる旋律は作曲者のオリジナルであることがわかります。他の声部との微妙な絡み合いが素晴らしいです。続く楽節で、最初はヴィオラにより、次にヴァイオリンにより、讃美歌のメロディーが2回歌われます。このとき、最初に出てきた旋律が、対旋律として讃美歌の旋律と調和して響き、妙なる音楽が歌われます。その後、また最初の楽節が歌われ、静かに曲が終わります。ヴォーン=ウィリアムズの豊かな楽才がなしえた、本当に美しい音楽です。この弦楽の響きは、風にそよぐ緑の輝きや穏やかな陽ざしを伝えてくれて、聴くたびにじんわりとした感動に包まれます。
動画サイトにはアマチュアの演奏も含めて多数アップされています。
シンプルに音楽だけ聴くには
https://www.youtube.com/watch?v=ie1nvYkdyig
がお勧めです。弦楽合奏版です。
オルガン曲も複数アップされていて、
https://www.youtube.com/watch?v=auJz2LmD-9k
がお勧めです。