BGM選手権、今回のお題は中谷宇吉郎の「黒い月の世界」からの一節でした。お題の文章は、番組ホームページの「お題はこちら」に載っています。
今回は3曲採用でした。
1曲目はシベリウスの6つの即興曲から第5番、作品5-5。舘野泉さんのピアノに心惹かれたという、なよこぶたさんの投稿です。きらめく星々の流れの美しいイメージが喚起されました。
2曲目は、悪魔の胃袋さんの、ストラヴィンスキーの「火の鳥」から終曲。壮大な広がりと盛り上がりで魅せました。
3曲目は、ブロ友の出入飛鳥(ディーリアスか)さんの投稿で、バッハのチェンバロ協奏曲(ピアノ協奏曲)第5番BWV1056から、第二楽章ラルゴ。出入飛鳥さんおめでとうございます!
そしてなんと、ふかわさんのご英断で3曲全部ベストに決定、という前代未聞のすごいことになりました!
個人的には、3曲目のバッハに圧倒的な感銘を受けました。知性とロマン性を兼ね備えた科学者の文章に、知性とロマン性が高次元で融合したバッハの音楽が淡々と流れゆくさまは、絶妙な調和がとれていて、そこには宇宙の広がりと、それに向き合う人間存在との対比も感じられました。これはすごいです!出入飛鳥さんは「ピアノで、かつゆっくりした演奏を」というご指定でしたから、グールドの演奏が念頭にあっての投稿だったのかなぁと想像しました。
この曲を聴くと、かつてこの曲がカート・ヴォネガット・JrのSF小説の名作「スローターハウス5」の映画に使われ、非常に印象深かったことが思い起こされます。記憶が間違っていたらいけないと思って、先ほど手持ちのDVDを引っ張り出してちょっと確認してみました。始まって3分ほどしたところで、雪景色の中のタイトルバックに、静かに流れ始めたのは、確かにこの曲でした。しかも今回初めて気が付きましたが、この映画、単にバッハの曲を使っているというだけではなく、そもそも音楽担当がグレン・グールドなのでした!時の流れを超越して淡々と流れるバッハの音楽が、映画に良くマッチして、心に沁みます。
バッハの音楽は、永遠の時を刻む時計のように感じます。その時計はいつまでも止まることなく、いずれ人類が滅びたとしても、きっとそのまま時を刻み続けるだろう・・・。そんなことをたまにとりとめもなく考えます。今回のBGM選手権を聴いて、久しぶりにそのような想いを巡らせたひとときでした。