また周回遅れになってしまいました。きらクラ！第202回です。朝のサイクリングをしているというふかわさん、周りを飛び交う虫たちが、秋の虫たちにだいぶ様変わりしてきたという話題で始まりました。
きらクラDONは、サティのジュトゥブ（おまえが欲しい）でした。子供が昼寝するのを待っているうちに自分が先に寝てしまい、なかなかこの番組を聞けなかったが、この頃子供が大きくなり昼寝しなくなり、ようやく聴けるようになったというお便りがありました。フランスで仕事していて職場に溶け込めずに悩んで3か月ほどしたある日、フランス人の同僚から「俺たちのことはブではなくテュと呼んでくれ」と言われ、その日から急に打ち解けることができたというお便りもありました。27年前にプロポーズにカセットテープを編集して、1曲目にこの曲、2曲目に結婚行進曲、3曲目に長渕剛の乾杯として、これをデートの帰りに車でかけて、大成功したというお便りもありました。カセットテープに反応したふかわさん、文字レタリングに凝った話、favoriteにuがあるかどうか良く間違えたという話をしていました。確かついこの前も、まったく同じ話をしていましたね（＾＾）。第二外国語でフランス語を学んだふかわさんが唯一しゃべれるというフランス語の一文を素敵な雰囲気で披露していました。その意味は「お子さんいらっしゃいますか？」だそうです。
さてニアピンがありました。映画「ロッキー」より最終ラウンド。これは久々に見事なスーパーニアピンで、ステッカーをゲットしました。これに引き続いて、この曲の歌曲版に関するお便りがあり、いきなりそらみみクラシックになりました！アメリングさんの歌で、納豆くれぃというもので、鮮やかなそらみみで、お便りも洒落ていて、こちらも続けてステッカーをゲットしていました。
リクエストで、今年は没後20年の武満徹の「波の盆」がかかりました。
はじクラで、グリーグのペールギュントから「山の王の宮殿」を原曲とする、フィンランドのヘヴィメタのグループ、アポカリプティカのホール・オブ・ザ・マウンテンキングがかかりました。真理さんの留学時代、友人のチェロ弾き3人が、このグループの真似をして、頭を激しく振りながら弾いていたということでした。頭の振りを見たい方はこちらです。
ApocalypticaのHall of The Mountain King。
https://www.youtube.com/watch?v=zf2aIVKp1OY&spfreload=10
秋の気配の漂うこの季節に、秋の訪れを感じてほしいというリクエストで、フランク・ブリッジのチェロソナタから第一楽章がかかりました。ほどよいロマンと程よい渋さがブレンドされた、美しい曲でした。ロストロポーヴィチのチェロ、ブリテンのピアノによる演奏でした。
ブリッジとブリテンの関係については、山尾敦史さんの解説を引用しておきます。
“ブリッジといえばベンジャミン・ブリテンの先生としても有名である。ブリテン少年の才能をいち早く見抜いた彼は、無料・住み込みでレッスンをしていたようだが、期待通りに作曲家ブリテンの華々しいキャリアは若くしてスタートした。おかげで一時期は、「ブリッジの最高傑作は、ベンジャミン・ブリテンさ」などと意地悪い評判がたったほど。いや、世間は厳しいですね。ただブリテンが師に寄せた信頼は相当なものだったらしく、《フランク・ブリッジの主題による変奏曲》なんていう曲も書いているほどである。”（山尾敦史著「ビートルズに負けない近代・現代英国音楽入門」1998年 ON BOOKS 音楽之友社 85-86頁）
ところでふかわさんは、このお便りの「秋の気配」に触発されて、秋は気配、春は足音、夏は香り、冬にはどんな言葉が良いのか、と考えていました。(次回にその成果が語られましたね。)
続いてメンバー紹介では、ショパンのノクターンに先行する先輩作品として、ジョン・フィールドのノクターンをかけてほしいというリクエストがありました。アイルランドの作曲家で、ノクターンの創始者として知られているそうです。ノクターン第7番、第12番がかかりました。（番組の最後に、ふかわさんが慎重に言葉を選びながら、「あの天才ショパンでさえもやはり模倣から生まれるのだなぁ」と仰っていました。僕としては、模倣というよりもショパンの天才性をあらためて強く感じました。）
30年ほど前のシュワルツネッガーの出演した栄養ドリンクのCMで使われた「ちちんぶいぶい」の原曲を教えてほしいというお便りがありました。ひょっこりクラシックのヴァリエーションですね。ショスタコーヴィッチの交響曲第7番の第一楽章の途中、ボレロのパロディーのところでした。この栄養ドリンク（アリ○ミンＶ）のCMはこちらで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=nH-iIYtrnVk&spfreload=10
このCMの音楽セレクトの感覚は当時非常に斬新で、よく覚えています。この動画をあらためて見ると、ちゃんと曲名が最初に画面で紹介されてますね！
これに関連して、友人の結婚式のスピーチを始めた途端に、このメロディーが突然頭のなかに流れ出して止まらず、耳について非常に困った、というお便りがありました。「耳につクラシック」のコーナーの提案でした。
さて第100回のBGM選手権、今回のお題は江戸川乱歩の「人間椅子」でした。4枠採用。
ヴィラ=ロボスの ブラジル風バッハ第2番、第一楽章（播州亭れおなるどさん）
プーランクの オルガン、弦楽、ティンパニーのための協奏曲の冒頭（ジャック天野さん）
ストラヴィンスキーの ペトルーシュカの途中部分（熱帯凸柑さん）
ショパンの ノクターン作品9の1変ロ短調（秋の夜空のペガススさん）
播州亭れおなるどさんと熱帯凸柑さんはブロ友さんです。ジャック天野さんは以前当ブログにコメントをくださった方です。みなさまおめでとうございます！
サックスが圧倒的な官能性をもって迫るヴィラ=ロボス、衝撃的に響くオルガンが懺悔シーンにぴったりのプーランク、反目しあう感情をひとつに詰め込んで同時進行させたお手本というストラヴィンスキー、これらとまた違った方向からのショパン。ベストを決めるのにふかわさんはかなり悩みながら、ヴィラ=ロボスが特に気に入ったようでした。しかし真理さんがプーランクにぞっこん惚れ込み感動したということで、ベストはプーランクに決まりました。ジャック天野さん、またしても傑作のベスト、おめでとうございます！
○真理さんの好きな曲：グノー作曲「あやつり人形の葬送行進曲」。以前何かのBGM選手権で採用された曲でした。今回は、ユーバンクス編曲による、ザ・バスーン・ブラザーズの演奏。バスーンの合奏がユーモラスでした。
○ふかわさんの好きな曲：アイルランド民謡「ダニー・ボーイ」、ナイト編曲による、ハノーヴァー・ハーモニスツの合唱。この曲は以前にも、この季節に時々かかったように思います。
曲をかける前に「この曲を聴いて夏に蓋をします」といったふかわさんですが、曲が終わった後に、「夏にピリオドを打ちます」と言えば良かった、と仰っていました。コーヒーのCMで出会った曲というお話でした。
今回最後の音楽は、ポール・リードの組曲「ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン」から第1曲、プレリュード。マイケル・コリンズのクラリネットでした。僕はこの組曲の第5曲を夏目漱石の「草枕」に、そして第2曲を先日の芥川龍之介の「河童」に、それぞれBGMとして投稿しました。コリンズのCDは愛聴盤です。僕がこの曲を知ったのは、かなり以前にNHK-FMで繰り返し放送されたのを聴いてでした。この番組を通じて、この曲を愛する方がさらに広まっていったらいいなぁと思います。
番組の最後、「秋の空の色とさわやかな風にクラシック音楽のマリアージュを提供してくれる番組」という素敵なお便りで、秋の気配をたっぷり感じながら、お開きとなりました。
○おまけ：毎週土曜日の朝、NHK-AM(第一放送)で、「ラジオ文芸館」という番組があります。短編小説をアナウンサーが朗読するという番組で、通勤しながらいつも聴いています。この番組の9月10日の放送で、なんと江戸川乱歩の「人間椅子」が読まれました！NHK-FMのクラシックカフェなど他番組で、曲がきらクラと重なることは時々あるようですが、なんとAM放送とまで関連するとは驚きました！ちなみに、BGMはかぶってませんでした（＾＾）。
