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じゃくの音楽日記帳

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2018.04.15
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大野和士&都響のマーラー3番を聴きました。大野さんのマーラー3番を聴くのは、1998年の東京フィル、2011年の京響に次いで3回目です。京響との3番は、「大野&京響のマーラー3番を聴く」 の記事に書きました。

今回は二日連続で、東京文化会館とサントリーホールの2回公演です。まずは初日です。
当日、少し早く上野に到着したので、上野公園を少し散策することにしました。


春の夕暮れのひととき、公園そばのカフェでまったりと過ごしました。いろいろなハーブのブレンド具合が絶妙で、すごく香りが良く、美味しいハーブティーでした。


昼間はいい天気で温かでしたが、陽が落ちるころから急に風が肌寒くなってきました。カフェを出て文化会館に向かい、ホールに入りました。

メゾソプラノ:リリ・パーシキヴィ
女声合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊
管弦楽:東京都交響楽団
指揮:大野和士

マーラー 交響曲第3番

4月9日 
東京文化会館

配置です。
弦は、ヴァイオリンだけ対抗にして、下手から第1Vn,Va,Vc,第2Vn,Cbでした。ハープは舞台の一番下手の客席より。合唱は舞台後部の雛壇に普通に横に並びました。並び方は、児童合唱が前方のセンターよりで、女声合唱がそれを囲むようにその横と後方に位置しました。チューブラーベルは特に高い位置ではなく、ほかの打楽器と同じ高さで舞台の下手寄りに置かれていました。独唱者用の椅子は指揮者のすぐ左前に置かれていました。要するにごく普通の配置です。

第1楽章のホルン主題は、かっちりとした感じで始まりました。ギアダウンはなし。シンバルの人数は見逃しましたが、翌日二日目は一人だったので、おそらく一人だったと思います。
トロンボーンのソロは今ひとつ本調子でありませんでした。
途中の夏の行進の弦半分のところ(練習番号21~25と、63~65)は、京響のときは珍しく後方半分のプルトに弾かせていました。今回は、普通に前方のプルトに弾かせているようでした。(ただし二日目に良く見ていたところ、僕が今まで思い違いをしていたことに気が付きましたし、さらに細かい工夫がされていることがわかりました。初日はそれを見逃したのかと思います。詳しくは二日目の記事に書きます。)
ホルン主題再現の前の小太鼓は、普通に舞台裏できちんと叩かせ、そのあと二人の打楽器奏者が速足で再入場し、ホルン主題再現頂点のシンバルはしっかり3人が雛壇上で盛大に叩いていました。

第1楽章全体としては、力が入った勇ましさが目立つ反面、喜びというか楽しい感じはちょっと乏しく、聴いていて多少肩が凝るような窮屈さを感じました。テンポはやや速めで、大きなテンポ変化なく進み、楽章最後近くだけはかなりテンポを落として大きな盛り上がりを作っていました。

第1楽章が終わると、全合唱団が入場しました。(合唱団の人数はこの日には数えられませんでしたが、翌二日目に人数を数えたところ、児童合唱29人、女声合唱38人でした。)
合唱団入場のあいだにオケは念入りにチューニングをしました。ハープもかなり一生懸命チューニングしていました。(第一楽章のハープは音が小さく何だか冴えませんでしたが、第2楽章以後は、綺麗に聞こえてきました。)

合唱団の入場やチューニングが完全に終わって舞台上の雰囲気が落ち着いてから、大野さんの合図で独唱者が下手から入場してきました。大野さんも独唱者を招き入れますので、当然のように拍手が少し沸き起こり、独唱者は指揮者のそばに来てから聴衆に一礼し、着席しました。オールドファッションというか、拍手前提の入場方式でした。

そうして始まった第2楽章は、柔らかで優しくチャーミングでした。続く第3楽章も良い感じでした。ポストホルンは、文化会館という比較的デッドなホールにも拘らず、程よい距離感で美しく響いてきました。

第4楽章は、歌そのものは普通でしたが、表情や身振りから、歌の意味を真摯に伝えようとする気持ちが伝わってきて、とても素敵でした。楽章中間のヴァイオリンソロが入る少し前の管楽器群の和音で、ホルンが早いタイミングで入ってしまう小事故がありました。

第4、第5、第6の三つの楽章のアタッカについては、BB方式でした。(マーラー3番のアタッカの○○方式は、僕の勝手な命名です。意味内容については、​「関西グスタフ・マーラー響の3番を聴く(その3 第四楽章以降のこと & まとめ)」​をご参照ください。)
すなわち第4楽章が終わると、指揮者はタクトを挙げたままですぐ合図し、まず児童合唱のみが素早く立ち上がり、第5楽章のビムーバムーを歌い始めました。少し遅れて女声合唱が立ち上がり、歌い始めました。緊張感はかなり保たれたアタッカで、B方式ではありましたが、A方式に近い方のBで、まずまずのアタッカでした。それから第5楽章が終わったときは、指揮者はタクトはあげたまま、合唱団に合図し、全合唱団が着席し、その後にそのまま第6楽章が開始されました。このときは楽章間の間合いが少し長めになり、緊張感はちょっと失われ、客先からも少し咳払いなどが発せられました。咳払いが出るのもある意味無理ないような、多少の雰囲気の弛緩がありました。タクトはあげたままなので一応B方式と言えますが、C方式に近い、ちょっと残念なアタッカでした。

(ちなみに京響とのときは、AB方式でした。すなわち第四楽章の始まるときにあらかじめ合唱団を立たせておくという入念な準備をして第4第5楽章のアタッカを行っていました。第5第6楽章のアタッカも、B方式ではありましたがもっと緊張感が保たれていました。)

なお第5楽章半ば、独唱者は、自分の出番が終わって少しすると、着席しました。楽章半ばではありましたが、心得た所作で、雰囲気を壊さない、良い着席でした。

そして最終楽章は、良かったです。第2主題は少し速く、途中のホルンの強奏を主とする部分も少し速くするという、オーソドックスなスタイルでした。最後の金管コラール(練習番号26~)は完璧に決まり、そこからの盛り上がり(同28)はかなり良かったです。それに続く主題の高らかな歌(同29)は少し速くし、最後のティンパニーの大いなる歩み(同32)もやや速めのテンポ設定でした。危なげのない、均整のとれた、立派な終楽章でした。

最後の和音の余韻が消えていったあと、大野さんの指揮棒が高く上げられている間は拍手が起こらず静寂が保たれました。素晴らしいことです。

そしてカーテンコールが続きました。やがてポストホルンパートを吹いた方が登場し、盛大な拍手を浴びました。手にはトランペットを持っていらっしゃいました。2010年のインバル&都響3番で残念な想いを抱いた僕ですが、今度は大丈夫でした(^^)。ご自分の吹いた楽器を持ってきてくださったわけです。ありがとうございます。僕は心からの拍手を贈りました。(以前のことについては、​「ところでポストホルン?(インバル/都響のマーラー3番追記)」​をご参照ください。)

今日の3番は、楽章が進むにつれてしなやかさが増していく感じでした。大野さんの3番を聴いた個人的な感想は、以前の京響との3番と基本的に同じです。全体の構成の見通しが良く、安定した音楽で、そこが魅力でもあり限界でもある、想定内のいい演奏、と思いました。

このところいろいろと忙しく、それなりにしんどさも感ずる日々ですが、そんな中で今年もまた3番を聴けたこと、終楽章から感動をいただいたこと、ともかくもありがたいことです。

今日はトロンボーン、ホルンともやや精彩をかきましたが、明日の3番はどうなるのか、また楽しみに思いながら、帰路に着きました。





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Last updated  2018.04.17 17:05:10
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