カテゴリ:小説
『蛇にピアス』(金原ひとみ)を読了。
出だしはカンベンしてくれって感じで、これで芥川賞かい? と頭をひねったが、読み進むうちに、いまどきのメールのようなスカスカの文章も、むしろ簡潔・的確な描写のように思えてきて、読み終ったときには、たしかに良い小説を読んだという満足感を感じていた。 道具立ては派手だが、むしろ古風な小説の印象が強いのは若い書き手特有のピュアな部分が立ち昇っているということなのだろう。 感心したのは「チンコ」「マンコ」という表現で、ふつうは(まして若い女の書き手なら)ペニスとかヴァギナとか、あるいはディックだのプッシーだのと書くところで、それをチンコ・マンコとすらっと書くのはもちろん考えなしにはできないことで、文章というものに対する強い意志と鋭敏な感性がなくてはこうは書けない。そうなると「キャッチする」などという表現も、ふつうならカンベンしてくれなのだが、この文体の中では輝いて見えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月05日 13時55分02秒
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