box 159 ~慶介~
「美莉が、幸せになるため、なら、いいよ。・・・分かった」・・・分かった。そう。俺は、はっきりとそう言った。自分でも信じられないことだけれど。だが、決して、自分を失って、のことじゃない。『・・・私と、・・・・別れて?』ミリの言葉の与えた衝撃に、俺は、その場にしゃがみこみそうになった。だけど。それよりも、どうしても、そんな言葉を口にした、ミリの方が気になって。案の定、言い終えた後、目を閉じてしまった美莉。そしてそのまま、小さな手を拳に握り締めて必死で耐えている美莉。その、辛そうな美莉が、カワイソウで。・・・辛そうな美莉。何度も迷って迷って、その上で決めた別れのはずなのに、それでも、それを俺に告げることが辛いんだな、美莉?辛い。俺と別れることが?いや、俺に別れを告げることが?・・・それとも、きっと、俺を傷つけることが?どちらにしても、、そんな風に思ってくれるだけでも、もう十分だ。なんて思ってしまう自分がそこにいたことは確かで。別れたくなどない。そんなこと、あるはずがない。言いたいことなら、いっぱいある。愛してる。美莉を愛してる。美莉だけを愛してる。別れたくなんてない。離したくなんてない。ずっとずっとそばにいたい。そして、何より、・・・一体理由は、なんなんだって。俺に話さずに別れなくちゃならない理由って、なんなんだって。だけど、俺と別れなくてはならない、その理由。そんな大切なことに気づいてやれない、この期に及んでも、美莉に聞かなくちゃならない、俺。美莉が一番悩んでいることすら、話せない、相談したいとも思えないような俺。紛れもないその事実が、俺を打ちのめしたんだ。分かったよ、美莉。俺は負けたんだ。何かも分からないものに。この1週間を離れて過ごしても、美莉の心は変わっていなかった。俺から離れたいという気持ちは。だったら、せめて、もう俺とのコトで悩むことからだけでも、美莉を解放してやりたくなった。俺が手を離してやることで、美莉がラクになれるなら。俺と別れることで、美莉が・・・幸せになれるなら。「美莉は、、本当に、それで、幸せになれるのか?」俺の問いかけに、俺の目をしっかりと見つめて、うなずいた美莉。・・・そっか。だったらもう、俺には、美莉を引き止めることは。。。だから、自分に何度も言い聞かせるように、うなずいてから、「美莉が、幸せになるため、なら、いいよ。・・・分かった」って、言ったんだ。←2コクリでよろしくお願いします。いつもありがとうございます。今日のゆる日記の方は、こちらです。バカップルにご注意ください