いだてん 東京オリムピック噺と銀の海 金の大地
長い間放置してあったこのブログを久しぶりに更新する気になったのは、NHK「いだてん 東京オリムピック噺」の最終回を見たことと嵯峨景子さんの『氷室冴子とその時代』を読み終わったからである。氷室先生の「銀の海 金の大地」は登場人物を丁寧に描いている小説で、宮藤官九郎さんの「いだてん 東京オリムピック噺」にも同じ匂いを感じた。時代の流れの中でたくさんの登場人物が絶妙に絡み合い、皆がそれぞれの人生を生きているし、生きていいのだと教えてくれる。両作品で中心にいるのが、オリジナルのキャラクターなのも絶妙で、記録に残る歴史と歴史の隙間を埋めて結び、時間を前に進めていく。私は宮藤さんと同じ年なので、彼も氷室先生の作品に少なからず触れたことがあるのだろうか?などと、想像してしまったのだが、違っていたらすみません。1964年の東京オリンピックとそこにつながるドラマは、私が生まれる前の歴史で、だからこそ、冷静に、いろいろな視点で描くことが、見ることができるのかもしれない。しかしながら、きっと尺、足んなかったよね、とも思う。もっと様々な裏方のドラマがあって、描ききれない物語もあって、でも、この腹8分目てきな方が余韻があっていいのかもとも思った。最後に、私の心にぐっときた科白を抜粋して、今日は寝ます。「…日本人は、面白いことやんなきゃいけないんだよ!」