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影男の屋根裏部屋

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Nov 14, 2006
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カテゴリ:DVD雑感


意味不明の邦題もさることながら、スティーブン・セガール主演ということで駄作率が90%
くらい上がるのですが、予想に違わずまったくの駄作です。

シルベスター・スタローン、ジャン・クロード・ヴァンダムと並んで、ハリウッド三大
アクション馬鹿俳優と呼ばれているかどうかは知りませんが、私の中の評価は概ね似たような
ものであり、この三名が主演している作品はスタローンの『ロッキー』と『ランボー』
(いずれも第一作)を除いてすべて駄作と言い切ってしまっても過言ではないと思います。

このように最初から駄作であるという運命を背負った業の深い作品でありますが、その駄作
をネタにこんな下らない文章を書いているのであるから偉そうなことは言えません。

それにしても商業作品として全く価値がないものをあえて採り上げるのには一応理由があり
ます。

2001年制作と比較的最近の作品でありながら、本作は”規則無用のはみだしコップ物”に
ありがちなお約束の悉くが、まるでテンプレートのように多用されているのが最大の特徴です。


■はみ出しコップは人間関係が苦手

 作品冒頭、バカでかい車で悠々登場する我らがセガール。会場は副大統領の銃規制に関する
 演説の真っ最中。警察関係のお偉いさんも列席する中、何事もなかったように着席する我ら
 がセガール。苦虫を噛み潰した顔の上司が一言「癇に障るやつだ」

 そう、はみ出しコップは必ず”上司に疎まれている”

■はみ出しコップの勘は冴えている

 無事副大統領の演説が終わり、物々しい警備の元帰路につく。それにしても我らがセガール
 は何しにここに来たのだろうか?警備の任に就いてる風もなく、普通に会場の椅子に座って
 いたが?

 副大統領を取り巻く様子に”何故か”不穏なものを感じた我らがセガール。別のルートで
 先回りをすると、今まさに謎のテロリストに副大統領が襲撃されている!

 あり得ない偶然で 一瞬の機知でたったひとりで敵を退ける我らがセガール。緊急事態と
 称してあろうことか副大統領を橋から川に突き飛ばしてしまう。

 はみ出しコップはたとえ相手がどんな大物であろうとも物怖じしない。

 因みにこの副大統領襲撃事件は、本編とは何の関係もありませんw

■はみ出しコップは左遷される

 副大統領の命は救えたものの、それは結果論でありやり方が無茶苦茶すぎると直属の上司
 に怒鳴られる我らがセガール。

 直属の上司は友人でもあり理解者でもあるのだが、上からの命令には逆らえない典型的な
 官僚。「文句があるなら直接署長に言え」と言い放たれて、すぐにそうするのがセガール流。

 黒人の署長は先ほどの演説会で「癇に障る」と吐き捨てた当の人物。抗弁も叶わず、21
 分署を追い出されることになる。

 そんな大問題を起こしているのにクビにならないのもセガール流。

■はみ出しコップの左遷先はハキダメ、そして同僚はステレオタイプ

 左遷先の15分署は典型的な犯罪都市の管轄であり、昼日中、警察署の前で警官がゴロツキ
 を警棒で打ち据えているのも日常茶飯事である。

 署長に挨拶をするため、乗ったエレベーターにその本人と乗り合わせ、席に着くまでは身分
 を明かさないのもお約束。

 15分署の署長はエキゾチックな雰囲気漂う黒髪の美女。なんとなくイイ感じになりそう
 な含みを持たせるが、この署長は終盤、セガールと共に敵に車で追われ、事故を起こして
 あっさり死にますwエアバッグの大切さがこのシーンから伝わってくるはず。

 新しい相棒は家庭もちの真面目な警察官。最後に死ぬなと思っていたら、予想に反して
 生き延びた。美人の署長がいなければ間違いなく彼が死んでいたはず。


前半部分だけでもこれだけのお約束が散りばめられており、何も考えず、何も疑問に思わな
ければ普通に楽しめるのではないでしょうか。

最初に麻薬の大物売人風に登場し、セガールが目を付けていたラトレルを演じるのはアメリカ
ヒップホップ界の第一人者DMX(と言われてもラップなんかまったく興味がないので実際
は知らない)が実は警官の不正を暴く正義の人で、弟の冤罪を晴らすために独自に証拠集め
をしていたとか、何も考えずに見ているといきなりわけのわからない展開になっているので、
常に眠気と戦わなければならないハードな内容にしては非常に厳しい仕様であります。

追う者・追われる者の関係から一転、共に手を組んで身内の不正を暴こうとしますが、中盤
であっさりネタばらししてしまっているので緊張感の欠片もありません。

更に、自分を左遷した友人であり上司に何故か作戦前に報告し、実はそいつが黒幕だった
という伏線ゼロの最高にご都合主義な展開を見せ、最後に21分署の黒人署長が防弾チョッキ
とショットガン片手に応援に乗り込んでくるあたりまでくると心底どうでもいい気持ちに
なってきます。

かの『マトリックス』を制作したジョエル・シルバーの制作ということで、セガールにワイヤー
アクションという、悪趣味な食い合わせみたいなコラボレーションは正直成功しているとは
言い難く、セガール自身ももう結構なお年故かアクションにもまったくキレがありません
でした。何か上半身だけって感じなんですよね。

作品が終わり、エンドロールに差し掛かっている間、劇中のバイプレイヤーがTVのワイド
ショーよろしく一対一でトークをしているシーンが流れるのですが、これが字幕だけで判断
するしかないのですが、とんでもない下品な下ネタが延々と続くのが非常にシュールな感じ
です。唯一面白かったのがここかも知れませんw

CG全盛の昨今、上記の三大アクション馬鹿俳優のみならず肉体派の役者は冬の時代に入って
いると言えますが、若くてイケメンとかの付加価値があれば別ですがお年を召せば召すほど
ますます需要がなくなってくるのはいた仕方ないところ。

そういえば最近ではセガールもあまり見かけませんし、ついでに娘の藤谷文子も見かけませんね。

余談ですが、藤谷文子がケンコバと出演していた関西ローカルの深夜に「見参!アルチュン」
という番組があって、それが関西圏の何の変哲もない駅周辺を半日以上かけてただだらだら
歩いては見かけた事物に対して妄想タップリのコメントをつけるという斬新というか面白すぎた
のですが、それ以来ですね。

あの番組、いまだに似たような企画でパクることすらできないくらいのオリジナリティと異様な
テンションで、深夜番組独特のチープさと相まって非常にツボにハマってお気に入りでした。
セレクションでいいからDVD化されないかなぁ。

全然関係ない話でしめるのも何なのですがこれにて。






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Last updated  Apr 16, 2012 11:00:36 AM
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