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影男の屋根裏部屋

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Dec 1, 2006
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カテゴリ:特撮趣味


ようやく最終巻に辿り着きました。

東映特撮史上に残る名作エピソード#43「再会」の内容については以下の本編を参照
いただくとして、実は本作にはもうひとつ画期的な事柄があります。

それは、”世界観の完全なる継承”であります。

遡れば『人造人間キカイダー』と『キカイダー01』、『アクマイザー3』と『超神ビビューン』
など、続編と時間系列を同じくする作品は少なくありませんが、いずれも後付の設定であり、
物語の進行にともなって矛盾を生じたり、そもそも設定そのものがなかったことになって
いる例も多いものであります。

TVアニメの世界では『マジンガーZ』『グレートマジンガー』等、本作より随分前に実現
しているのでありますが、特撮作品では意外と少ないというのが現状でした。

前にも何処かで書きましたが、私はヒーローが共闘するというシチュエーションに異様に
萌える性質なので、ギャバン→シャリバンへの移行は当時大変ツボに入りました。

更に本シリーズでは、続編のヒーローがヒーローになる前の出自も表現しているという珍しい
ケースです。私の知る限りそのような作品は他にありませんが、近作ではどうか知りません。

本編に収録されているラスト3話の盛り上がりに匹敵するのは、続編である『宇宙刑事
シャリバン』くらいであろうと思われ、実質上のシリーズ最終作である『宇宙刑事シャイダー』
はまったく及ばないというのが私の感想です。

あ、でも『宇宙刑事シャイダー』が駄作だと言っているわけではありませんから念のため。

では以下、各エピソードのご紹介です。


#40「死の谷の大決戦 君も宇宙刑事だ!」

→何故か河原で愛車ジムニーの整備に勤しむ烈。そこへ小次郎が現れ、自分の甥に「宇宙刑事
 ギャバンと親友だ」と吹かしてしまい、真に受けた甥が上京してくるから何とかしてくれ
 と言う。

 完全に確信犯ですが、どういう話の流れで大人気なく小学生相手に自慢したのかの経緯が
 理解できません。
 結局、否も応もなく押し付けられてしまった烈。宇宙刑事志願を公言して憚らないシロー
 少年は、今だったら内山君クラスの百貫デブであります。

 そんな最中、マリーン嬢からデビルニウムという鉱石の権威、中川博士が鬼ヶ山で行方不明
 になったとの連絡が入る。

 デビルニウムとは、ウランの含有度が非常に高い幻の鉱石で、この事件の背景にマクーの
 存在を察知した烈は早速現地に向かう。

 そこに何と小次郎の甥、シロー少年が現れた。
 宇宙刑事の秘書並みの情報をリアルタイムにキャッチできるとはただのデブではないなw
 
 案の定、鬼ヶ山にはサン・ドルバがデビルニウムを採掘していたのであった。

 ”宇宙を破壊できるほどの水爆”の力がいかほどなのかは想像もつかないのですが、
 とにかく凄いというのは何となく理解できます。

 そのデビルニウムの第一人者である中川博士も何故か採掘作業に駆り出され、強制労働を
 させられています。

 結局ギャバンの活躍で事なきを得ますが、その際、コンバットスーツ姿のギャバンが自分
 の名前を知っていたことから、デブは烈がギャバンであることに気付きます。

 上野駅でシロー少年を見送る烈と小次郎のシーンが何とはなしに時代を感じます。


#41「魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計」

→本編屈指の異色作である#15「幻? 影? 魔空都市」を彷彿とさせる大葉健二氏と
 JACのメンバーによる生身のアクション中心のエピソードです。

 構成は非常に似ており、シナリオ自体はあってなきが如しでありますが、最後の最後に
 なって唐突に、次回以降のエピソードの伏線である父、ボイサーについて非常にわざと
 らしく言及されます。

 本編のアクションも二番煎じで新鮮味はないし、アクションの舞台も歩行者天国でのロケ
 などはそれなりに見ごたえがあるのですがそれも一瞬。

 多くは他の映像に使用したと思しきセットの使いまわしで、いかにもお手軽に作った観は
 否めません。

 ラスト3話の気合いの入れ方はわかりますが、少々手を抜きすぎです。


#42「烈よ急げ! 父よ」

→大人の事情から バード星にいる母の病気見舞いからドルギランにミミーが帰ってきました。
 ミミーはバード星から、気になる情報をもたらします。

 それは、マクーを追放されて暗黒銀河をさまよっていたハンターキラーが、銀河連邦警察
 に保護されたというものであります。

 ハンターキラーへの尋問から、ギャバンの父、ボイサーが剣山に囚われていることを聞き
 出したコム長官は、ホシノスペースカノンにまつわる秘密とボイサーが密接な関係にある
 ことを示唆します。

 急ぎ剣山に向かう烈。何度も見た採石場っぽいのは多分気のせいです。

 早速調査を開始する烈だったが、森の中から何者かに襲われる。
 
 烈を襲ったのは森林パトロール隊員の若者、伊賀電。最近剣山に出没するという密猟者と
 烈を勘違いしたのだ。烈は心中密かに若者の身体能力に舌を巻く。

 再び森のパトロールに戻った伊賀電は、今度は間違いなく密猟者達を発見するも、それは
 マクーであった。果敢に戦いを挑む伊賀電であったが、バッファローダブラーによって
 重症を負わされる。瀕死の状態で倒れていたところを烈に救われ、地球の医学では助ける
 ことができないと判断。バード星へと搬送される。

 一方サン・ドルバは、ホシノスペースカノンの秘密を中々ボイサーから聞き出すことが
 できない。ギャバンが剣山に探索に来ているのを知り、一計を案ずる。
 
 監禁しているボイサーを密かに別の場所に運び、ギャバンを誘き寄せる作戦だ。

 辛くも窮地を脱したギャバン。バッファローダブラーを倒すも、父、ボイサーの姿は何処
 にもない…。

 後の宇宙刑事シャリバンとなる伊賀電であるが、冒頭でも書いたように、一般人から宇宙
 刑事になる経緯の描写は極めて珍しいと言える。

 本作と続編「宇宙刑事シャリバン」との密接な世界観の繋がりは、シャリバンの母船、
 グランドバースの主砲にホシノスペースカノンが搭載されているなど、細部に亘っている。

 勿論瀕死の状態であったものからたった2週間で宇宙刑事になれるのはどうかといった
 突っ込みどころもあるのだが、後に「伊賀電はイガ星人の末裔」「野生動物のような身体
 能力(ギャバン談)」という設定で、苦しいながらも説明はつけられると思われる。

 いよいよ次回、サニー千葉ことボイサーが登場する感動のエピソードです。


#43「再会」

→本編は東映特撮史上において屈指の名作であるということは繰り返し述べてきたもので
 あります。
 
 ギャバンとボイサーの感動の再会シーン。つかの間の安堵と涙なくして観られない永遠
 の別れのシーン。

 これらをすべて効果的に演出するために30分という放送枠をめいいっぱい使った英断。
 実は私が本編を最も評価したい点がそこであります。

 本編では、スポンサーに叶う戦闘シーンはほとんどありません。
 剣山から移送されたマクーの基地、鬼首島に降下する際に、ドルギランとギャビオンが
 少々、コンバットスーツ姿に至ってはものの何分も登場しません。勿論蒸着シーンもなし。

 通常ならば考えられない時間配分を実現したことこそが、本編を名作たらしめている最大
 要因だと思われます。

 とは言え、大葉健二氏と千葉真一氏の迫真の演技も素晴らしいものであります。
 …っつーか今観ても充分泣けます。

 これだけの時間を使ったからこそ次なる最終決戦へのボルテージの高まりと、否応なし
 の説得力が生れたと断言できるでしょう。

 夕焼けの港に佇み、すべての想いと決意を背中で表現したエンディングの名場面も必見。
 …ということでこの流れのまま最終回へと続きます。


#44「ドンホラーの首」

→前話で最高潮に盛り上がった最終回へのカウントダウンとは裏腹に、何とも見たまんま
 のショボいサブタイトルは如何なものかと思うのですが、内容は決して裏切りません。

 ボイサーを奪われてホシノスペースカノンの計画もぶち壊されたサン・ドルバは、
 星野月子以下、アバロン乗馬クラブの面々と大山小次郎の烈に近しい人たちをまとめて
 人質に拉致し、ギャバンを大岩山に誘き寄せる。

 この手の作戦が成功したためしはないのだが、案の定失敗に終わる。

 魔空城に帰ってきたサン・ドルバに対し、怒り心頭に発するドンホラー。
 サン・ドルバに勘当を言い渡す。

 失意の内に出て行こうとするサン・ドルバに魔女キバは
 「お前が皆からチヤホヤされたのはドンホラーの息子だからだ」と、的確に立場を弁えた
 忠告をする。そこで魔女キバは、ドンホラーとギャバンを直接対決させ、漁夫の利を狙う
 というセコすぎる策を提案し、情けないことにサン・ドルバは二つ返事で乗ってしまう。

 富士山麓に停泊しているドルギランに対し、本拠地である魔空城で突撃をかけ、蒸着する
 間もなく未来兵器を破壊する作戦をドンホラーに提案するサン・ドルバ。

 異論もなくそれに乗るドンホラーであったが、これは魔女キバの考えた姑息な作戦で
 あった。それにしても現存するものを未来兵器ってなぁ…w

 突然の敵本拠地出現で動揺するギャバンであったが、冷静に反撃を行い、これを退ける。

 この隙に魔空城を抜け出そうとする魔女キバとサン・ドルバの企みをドンホラーは最初
 から見抜いており、ギャバンを倒すことしかお前らの生きる道はないと言い放つ。

 ようやく意を決したサン・ドルバ&魔女キバ対ギャバンの最終決戦。

 ミミーをはじめ、陽一やわかばに化ける魔女キバに対し、分かっていても手を出すこと
 ができないギャバンは大ピンチに陥る。止めを刺すべく高々とジャンプするサン・ドルバ。

 そこへ間一髪赤い光が…。光の正体は宇宙刑事シャリバンであった!

 ピンチを脱したギャバンはサン・ドルバと魔女キバを同時に粉砕し、いよいよ敵の本拠地
 魔空城へ乗り込む。

 首だけになっても執拗にギャバンを襲うドンホラー相手に、さすがのギャバンも大苦戦
 を強いられるが、辛くもこれに勝利し、ここに宇宙犯罪組織マクーは完全に滅びること
 となった。

 戦いを終えたギャバンのもとへ駆け寄るミミー、マリーン嬢、コム長官、そして伊賀電
 こと宇宙刑事シャリバンの姿もあった。

 瀕死の状態からギャバンに助けられ、バード星で宇宙刑事の訓練を積んで戻ってきた
 伊賀電は、地球担当の宇宙刑事としてコム長官に紹介されるギャバン。
 同時に、全太陽系を管轄する銀河パトロール隊隊長の命を受けるギャバンであった…。

  アバロン乗馬クラブの面々+小次郎との絡みがほとんどないのが少々残念ですが、所詮
 通常エピソードの狂言廻し的な役割は本筋に関る余地はありません。

 小次郎はともかく、シャリバンにおけるアバロン乗馬クラブの面々にあたる方々はもっと
 悲惨な扱いなんで、最後に顔出しだけでもさせてもらってありがたいと思うべきなので
 しょうかね。
 
※『宇宙刑事ギャバン』完 
 次回『宇宙刑事シャリバンVol.1』(DISC-1 #1~#5)に続く






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Last updated  Apr 6, 2012 04:11:24 AM
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