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Dec 21, 2006
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カテゴリ:DVD雑感


原作である「いかずちの音」の作者、レイ・ブラッドベリは、齢90に近いお年であり
ながら、現在も執筆活動をされています。

アメリカSF小説の草分けとして草創期から活躍され、現在も活動されているということ
には驚きを禁じえませんが、その実績とは比さず、映像化された作品はそう多くありません。

マイケル・ムーア監督の「華氏911」の元ネタである「華氏451」あたりが最も有名
なところであると思われますが、これにしても40年も前の映画です。

近年のCG技術の向上により、作品発表当時は”映像化不可能”と言われていた名作が、
最近になって映画化されるケースはままあり、本作もそれに準じたものと思います。

これは私の主観ですが、日本ではガチのSF作品はあまり流行らない傾向にあるようです。
ようですと言うのは一部には例外もあるからです。

10年ほど前に、SFというジャンルを巡るクズ論争がごくごく狭い業界の中だけで盛り
上がったりしましたが、そういった意味でも、関係者が危機感を募らせているのは
あながち間違いでもないと言ったところでしょうか。

私は上っ面だけのSFファンでありまして、表層部分でしか窺い知ることはできないの
ですが、SFがマニア限定のモノと成り果てているのは、やはり世間一般から見ると敷居
が高いように思われるからではないかと推測します。

”文学”としてのSF文化の盛衰についてはまた別の機会に譲るとして、全国公開の
ロードショーともなれば、少なくとも文字だけよりも多くの方の目に触れる機会も増え
ますし、また興味を持っていただけるチャンスなのですが、本作がそのムーブメントを
起こすことはありませんでした。


本作のテーマはずばり「タイムパラドックス」
古典SFのみならずSFが扱うネタとしては定番中の定番であります。

そもそも原作の「いかずちの音」(最近の新版では「雷のとどろくような声」に改題)
は文庫本にして30ページ程度の小品であり、そのオチも他愛のないものでありました。

本作ではプロットこそ共通ですが、これを生命の進化に関るパニックムービーに仕立て
ようとしていますから大変。SFを良く知らずとも、そのタイムパラドックスにかかる
描写は突っ込みどころが満載であり、加えてCG技術もPS2のゲーム並みと、およそ
誉められたものではありません。

具体的に申し上げますと、

”恐竜狩りツアー”において、同じ時間の同じ場所に案内しているにもかかわらず、別の
客と何故鉢合わせしないのか、とか。

でも最後の主人公だけは何故遭遇できたのか、とか。

過去から何も持ち帰ってはいけない、というルールであるが、帰ってからそれを検査して
もまったく意味がないだろう、とか。

その”持ち帰ったもの”が何かというのを、かなりの危険を賭して調査することがそんな
に重要なのか、とか。

6千万年前の歴史の改変が、何故現代の、しかも段階的に”時間の波”という形で訪れる
のか、とか。


本作では、過去において例えば昆虫一匹殺してしまったとしても、その後に続く食物連鎖
や進化の環に甚大な影響を与えると説明しています。
時代を遡れば遡るほど、この影響も大きくなるというわけですね。

では何故過去の世界で”恐竜狩り”が可能なのかと言えば、いずれにしても対象となる
恐竜自身が自然死する直前であればOKということで片付けています。

弾も窒素を固めた弾丸で、後には何も残らないという理屈であります。


これを大作として扱うと非常に後悔することになりますが、B~C級SFとして肩の力を
抜いて観賞すれば、意外と楽しめることに気付きます。

何と言ってもテンポがいいし、意外性はなくとも余計な演出もないので最後までダレる
ことなく観賞できます。

アクションやCG技術は確かにショボいですが、最初からそういうものだと思っていれば
大した問題ではありません。

地球規模の危機でありながらこじんまりしているのも、変に話が壮大になりすぎて収拾
がつかなくなることに比べれば全然マシです。


出演している俳優陣も地味目ですが、私は元より期待もしていませんでしたので、純粋に
内容だけで楽しめましたものであります。

突っ込みどころは多々ありますが、それでもSFファンなら間違いなく楽しめるでしょう。

上記にもあるようにSF映画自体が観る機会にあまり恵まれていない状況とくれば、
殊更本作を忌避しなければならない理由などどこにもありません。


あと、本編とはあまり関係ない話ですが、本作のDVDには特典映像として試写会のイベント
の様子が収録されています。

そのゲストが何と先日初防衛を飾った浪速の逃犬…もとい闘拳の亀田興毅と弟の大毅。
そもそも映画自体にも全く関心がないように見え、映画についての質問やトークが盛り上が
らないことwそれでもかなりの時間をかけており、司会のお姉さんのご苦労が偲ばれます。

「もしタイムマシンが使えたら」というありきたりかつ真面目に答えようもない質問に対し、

「未来は自分で切り開いていくもんやから見とうないなぁ~、過去に戻れるんやったら
小学校ぐらいまで戻ってもっと練習したい」

と、口調は相変わらずですが言っている事は至極まともです。

ところでこのイベントが収録されたのは今年の3月ですから、勿論前回の疑惑の判定前
であり、TBSを中心としたマスコミも必要以上にこの一家を持ち上げていた時期であります。

今、同じ質問の答えを本音で聞いてみたいものですねw






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Last updated  Apr 7, 2012 09:41:15 AM
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