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テーマ:ゲーム日記(30976)
カテゴリ:社会人のゲーム事情
「安かろう悪かろう」は、このシリーズ通してのコンセプトですし、しかも私は本作を 中古で、煙草よりも安い値段で購入しているものですから、デキが悪いことに対して文句を 言うつもりは毛頭ないということをあらかじめお断りしておきます。 さて、本稿を書き始めるにあたり、ネット上ではいかなる感想があるかと思ってググって みたのですが、もうまったくと言っていいほど見当たりませんでした。 そんな数少ない意見の中、yahooだかamazonだか忘れましたが非常に簡潔かつ的確に本作 を評する言葉がありましたので、ここに引用させていただきたいと思います。 「フロントミッションのファンが作った同人ゲーム」 もうまさに見事なぐらいその通りなのですが、もう少し詳しくご説明いたします。 ◆余りにも適当な背景設定 「ヒトゲノムの完全解析から半世紀・・・ 「最後の大戦」と呼ばれる戦争で、人類は総人口の半数以上を失った。 国家は消滅し、混沌とする世界・・・ そして今、平和のために革命の狼煙をあげる1人の若者がいた・・・ ドラマティックなストーリーが君を襲う!」 (公式HPより引用 URL:http://www.d3p.co.jp/s_15/s15_070.html) たったこれだけの文章でもう何処から突っ込んでいいのか迷うところですが、ヒトゲノム の完全解析と「最後の大戦」を繋ぐファクターが一切言及されていないので、非常な唐突 感に襲われます。 しかもその後には我が国のリアルロボットアニメの金字塔である某機動戦士の有名な ナレーションの一節をそのままパクるという、1980年代ならばいざ知らず、PS2も既に発売 されていた時期の作品とは到底思えないような無邪気さが素敵です。 国家は消滅し、キュリオスという巨大バイオ企業が世界を支配していて、現代とは比較 にならないぐらいの格差社会が生じており、革命軍(笑)は支配される側、貧困層から派生 したものらしいです。 革命軍の切り札は、MD(メガドール)と呼ばれる人型の最新兵器であり、主人公含む 部隊に配備されているのですが、資本力では比ぶべくもない革命軍が何故巨大企業に先ん じられるのか疑問ですが、開発者の息子が革命軍に参加しているという一事ですべて解決 しています。そんな無茶なw ◆ステレオタイプな者たち ケン・・・革命軍の戦士であった両親をキュリオスに殺された過去を持つ17歳の少年。 出自に関してちょっとした伏線を匂わせていたが、結局何も無くて腰砕け。 直情径行熱血タイプ。1970年代に良く見られた主人公タイプである。 ロゴス・・・革命軍ロゴス隊のリーダー。殺されたケンの両親とは戦友であり、孤児となった ケンの親代わり・・・ってオマエ29歳?両親っていくつの時に亡くなったのよ。 何歳の時からケンの親代わりになったのよ?”兄”ぐらいでもよかったんじゃ? 沈着冷静だが激しい一面も持ち合わせる。何でも知っている風もありがち。 アレックス・・・MD開発者の両親をケンと同じくキュリオスに殺され、MDの技術と共に 革命軍に身を投じている。天才肌だがちょっと抜けてるところもある・・・ っつーかコイツ一人で開発、メンテナンスの全てやってるっぽいw 更にパイロットも兼任。ひょっとしてコイツが一番凄いんじゃ? ジル・・・男勝りな女戦士。アカデミーを首席で卒業後、MDのパイロットとして革命軍に 参加。革命軍って貧困層からの出なのに士官学校まであるのか・・・。 シナリオに直接関る部分少なし。4人の中で最も設定が適当のような気がする。 アザレア・・・ケンが戦いの中で出会った不思議な少女。某機動戦士シリーズ、あるいは 某装甲騎兵なんかをよく知っている人ならすぐにピンとくるであろう位置付け。 レヴィナス・・・キュリオス軍の戦士。これも某装甲騎兵におけるライバルキャラ的なアレ。 制服はジークジオンっぽく、髪型は昔の吉川晃司みたい。どうでもいいが。 各キャラクターの設定も相当なアレなのだが、幕間のデモにマップ上のやりとり、攻撃時 のカットイン等、安モン(失礼!)のゲームにしては割と多めにセリフが収録されています。 その声をあてている方が何者なのかはいちいち調べていないですけれど、これまた相当な アレで、本人にヤル気がないのかただのシロウトなのかは判然としませんが、感情表現 能力が極端に欠如しているものですから、ただでさえピンクチラシ並みに価値の無い テキストに拍車をかける格好となっております。 シナリオに関して、ここから少々ネタバレしますので、念のため反転しておきますね。 敵ライバルキャラであるレヴィナスと、謎の少女アザレアは、キュリオスが創りだした 戦闘用の改造人間であり、ラスボス曰く”アスピス(一般の改造人間のこと)とは違う” らしいのだが、その辺の明確な説明はありませんでした。 人工的に創りだされる、というところまでは百歩譲るとして、死んでしまっても姿形は おろか記憶までも引き継いで何事もなかったかのように復活するのは既に バイオテクノロジーの域を超えていると思うのですがどうか。 しかもラスト、ロゴス隊に撃破されたラスボス、キュプソスは、零計画と称して衛星軌道 から人類を一掃する遺伝子攻撃を行い、自然の摂理に従わせるという最早本末転倒どころ か何をしたかったのか理解できない最終手段を持ち出して地球を滅ぼそうとするのだが、 そこに前のシナリオでケンに撃たれ、一枚絵まで使って盛り上げて死んでいったはずの アザレアと、既に2回ケンに殺されているレヴィナスが現れ、 「私の命を使ってアザレアを助けたから私はもう復活できない」とか何とか、ゾフィー みたいな事まで言い出して、何でもアリの様相を呈してきます。 自分が使い捨ての人形と知り、自嘲的になるレヴィナスに対し、 「お前は最高の強敵だった!」と北斗の拳モドキの少年ジャンプなセリフもケンから 飛び出して、おいおいオマエ何の躊躇いもなくしかも2回も殺しておいてよく言えるなと 突っ込んでいると、例によってロゴス隊長が衛星攻撃を阻止すべく、 「ここは俺に任せて脱出しろ」みたいな展開になって、一応の決着がつきました。 ・・・で、数年後、キュリオスが崩壊して新しい国家を建設した革命軍であったが、親玉を 失って狂ったアスピスの残党を掃討すべく、相も変わらず戦いの日々を送っているケン 一行。予想外の残党の多さに徐々に追い詰められ、絶体絶命のピンチ・・・に突如崖の上に 現れた謎のMD。 そこには地球を滅ぼす衛星攻撃を身をもって阻止し、死んだはずのロゴスが・・・ ・・・・・・。 最後まで付き合っておいて何なのですが、緊迫感の欠片もない極めて低レベルなシナリオ に、終始脱力しっ放しでした。 全19話という中途半端な数も去ることながら、序盤の敵は戦車とヘリが中心であっと 言う間に終わってしまうので、ヒマな御仁が集中してプレイすればそれこそ2~3時間程度 でエンディングまで辿り着くと思います。 本作が「フロントミッション」の質の悪い模倣であることは間違いないのですが、シナリオ 自体は「機動戦士ガンダム」に「装甲騎兵ボトムズ」の影響が強いように見受けられます。 ◆いい加減なゲームバランス システムはHEXを採用しておらず、ZOC(ゾーン・オブ・コントロール)の概念も ないのに何故か包囲効果があり、射線に障害物があると通常攻撃はできないのにミサイル 攻撃は可能というのが、ちぐはぐな印象を受けます。 高低および地形効果も特に無く、せいぜい消費移動力が変わってくる程度です。 で、攻略のポイントなんですが、これはもう包囲効果ただ一点にあると断言して差し支え ないと思います。 包囲効果とは、敵ユニットに自軍ユニットを複数隣接させることによって、防御力を低下 させるというもので、対角線上で包囲した場合(縦横斜め可)、最大で40%も防御力を 下げることができるというものです。 実際、耐久力2000以上のボス級でも、四方を囲んでしまえば二撃程度で秒殺できるという バランスの悪さなので、自軍が4機になった時点でこの事に気付けば、攻略は異様に簡単 になります。 とにかく自軍は孤立して囲まれないよう細心の注意を払うことと、時には囮を使いつつ敵を 囲んでしまえばいいと。 そうするとセッティングにも自ずと答えが見えてきます。 資金はステージ開始時(一部例外あり)に一定額しか貰えませんので、強化するポイント は、バックパック(長距離ミサイル)には大してお金をかける必要がなく、通常武器も ライフル、格闘の単発攻撃しかできない武器は効率が悪いので、マシンガン乃至 ショットガンで統一してしまって問題はないでしょう。 機体は移動力高め、耐久力高めに、余裕があれば装甲を強化する。 この手のゲームってキャラクター特性に応じた機体のカスタマイズ云々をウリにする ケースが非常に多いですけれども、大抵システムが個性を活用できるところまで練りこまれ ていなくて、結局同じようなパーツで構成されてしまうってことがままあるのですが、 このゲームもその例に漏れるものではありません。 この問題は本家にも言えることなのですが、例えばステータスを大幅に変えずに微妙な 差異で一長一短つけて何種類か用意するだけでも随分印象が変わるのではないかと思います。 (デザインコンセプトも統一するのではなく、別系統のものを選択できれば、その手の客 の満足度を大幅に充足できると思う) 相手の射程外からチマチマ攻撃を加えるよりも、相手の移動力に合わせた包囲陣形を組み、 近づいてきたところを囲んで一機一機確実に仕留めるのが最も有効な戦術です。 コンピューターの傾向として、先行して距離が近いユニットには優先的に攻撃を仕掛け ますが、すべてのユニットが同じような距離で密集していた場合、平均的に攻撃を仕掛け るというクセがありますので、セオリーさえ守ればまず負けることはないでしょう。 以上書いてきて、正直まったくと言っていいほどいいところが無いように見えますが、 ビジュアルイメージはそこそこの水準を維持していると思います。 尤も、所詮は敬愛する「フロントミッション」シリーズの模倣の域を出るものではない ですが、シナリオ毎のオープニング、エンディングと共に、安モンにしては良くできて いると言えるでしょう。 多分TVシリーズを意識したものと推測しますが、全19の各シナリオが終わる度に 流れるのは流石にやり過ぎ。ま、スキップできるので別にいいんですけどねw 戦闘シーンにおけるMDのSEは某機動戦士のものをそのまま借用している風ですが、 この程度であれば問題ないのでしょうか? 私は本作を特に誰にもオススメはしませんが、将来ゲームのシナリオなんかを手がけたいと 夢見る中学生は、”これだけはやっちゃいけない”サンプルとして参照するのが良いかと 思われます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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