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テーマ:ゲーム日記(30973)
カテゴリ:社会人のゲーム事情
近作の『タイトーメモリーズ2』等に代表される、エミュレーター系復刻ソフトのプチ ブームは、細々ながら続いているように見受けられます。 その他『カプコンクラシックス コレクション』や『ゲーセンUSA』などの”ひと山 いくら”的なものが主流を占める中、単一タイトルに様々な付加価値を乗せてリリース する特異なケースもあります。 それが今回ご紹介する「オレたちゲーセン族」シリーズであります。 表題の話に入る前に、このシリーズについて若干の説明をさせていただきます。 当シリーズを販売するのは「ハムスター」というあまり耳慣れない名前の会社。 過去シリーズタイトルを重ね、最新の表題作が第17弾となっている。 企画コンセプトは、80年代の所謂アーケード作品に限定し、メーカーからライセンス を受け、1本あたり\2000に価格統一をして販売しているものである。 デキはともかく、曲がりなりにもオリジナル作品の「シンプル」シリーズと同額であり、 ベスト版ならそれよりも安いソフトもあるという市場にあって、上記の”ひと山いくら” 的コンセプトの作品と比べると、コストパフォーマンスは極端に悪い印象を受ける。 これに対し、本シリーズが差別化を図っているのは様々な”付加価値”を乗せる点にある。 即ち、ゲーム本編とは別に、特典映像を収録したDVD、ゲームミュージックCDや インストカード等、”自称”豪華7点セットを謳っているわけである。 私はと言えば、本編以外のモノにあまり興味がないのと、これまで発売されてきた タイトル群が魅力的でなかったこともあって、本シリーズはほとんど購入していなかった ものでありますが、新作カレンダーの中に信じられない名前を発見したものであります。 『トリオ・ザ・パンチ』 1989年の発売ですから、20代の方はリアルタイムではご存知ないと思います。 ・・・って偉そうなこと言ってる私も、この時期、最もゲームから遠ざかっていたことも あって、現役で稼動しているのを見た記憶はありません。 仮に頻繁にゲーセンに出入りしていたとしても、多分一瞬のうちに撤去されていたでしょう から、どのみち見られなかった可能性もあります。 ともかく、このゲームが一部で非常に有名になった背景には、某雑誌の1コーナーにて、 ヘンちくりんなゲームばかり紹介する記事で紹介されたことがきっかけなのではないかと 思います。 その異常な世界観は、今まで写真と文章から推し量るしかなかったわけですが、今回の復刻 を機に、サブカル通を自称する私めは早速購入してプレイしましたよ・・・。 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・。 いきなり断定口調で申し訳ないですけど、これ作った人、絶対頭がおかしいです。 天才と狂気は紙一重、という俗諺もありますが、ゲーム内容の劇的なツマらなさから、 それもあり得ないだろうなと。 ひたすらいい加減なゲーム内容と、適当なビジュアルに、手を抜きまくった延々と流れる たったひとつのBGMと、およそゲームとして褒められる部分はまったくないと言っても 言い過ぎではありません。 残念ながら、凡庸以下の私めの文章力では、このゲームの内容を的確に表す術はありません。 (あまり意味があるとは思えないが)難易度設定もありますし、エミュレーター系らしく 無限コンティニューも使えますので、全35面という長丁場に耐えられる精神力があれば、 ゲームの腕前は関係なく、誰でも最後まではプレイできると思います。 単なる興味だけで\2000という価格は安いとは言えないし、プレイしてみたところで何も 得るものはないと思いますけど、ゲーム如きに夢を抱いているような世間知らずの若者 には是非一度最初から最後まで無理矢理にでもプレイしていただき、理想のゲームとか、 そんな甘っちょろい感傷を脳天の先から粉々に破壊されることを強く望みます。 これ以上の異様な世界観を、素で超えるぐらいのクリエイティブ性を備えているという 自信のある方は、挑戦してみるとよいでしょう。 そしてその度、このゲームの前に跪くことしかできない己の無力さを悟ることでしょう。 ある意味、本作を超える作品は現れないだろう現在に、この作品が当時の状態のままで 甦ったことには、ひょっとしたら私のような凡夫には想像し得ない、何か崇高な意思が あるのかも知れません。 本作以降に登場したヘンちくりんなゲームの代表格である『超兄貴』や『暴れん坊天狗』など、これに比べたらゲームとしてちゃんと成立している分、まったく普通の作品に見えて しまうところが最強です。 真面目に作っているつもりでも技術力のなさや妙なセンスのせいで、そこはかとない バカゲーに仕上がるケースはままありますが、最初からいい加減に作って、それが単なる 笑えない悪ふざけのレベルを通り越し、徹頭徹尾異様な世界観を構築してそれを世に 出してしまうことなど、もはや奇跡としか思えません。 勿論家庭用機には初移植となる本作。 ゲームの歴史の中の取るに足らない爪痕とも言えますが、その傷は決して癒えることは なく、いつまでもじゅくじゅくと痛み続ける破傷風のような、そんなゲームです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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