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影男の屋根裏部屋

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Mar 6, 2007
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カテゴリ:特撮趣味


本編に収録されているエピソードより、奇星伝にまつわるものが登場します。

 何トカの末裔である主人公が、自らの出自と宿命を負って戦う・・・という典型的な
 ヒロイックファンタジーのプロットは、今でこそ珍しくもなんともありませんが、放映
 当時の1983年においては、まだ一般的に市民権を得ているとは言い難い状況でありました。

 この手の王道と言えばコンピュータRPGに代表されると思いますが、我が国における
 元祖である初代「ドラクエ」の発売が、この後3年を待たなければならないことからも
 いかに当時において斬新な設定であったかが窺えると思います。

 自然溢れる幻想的な島に、イガクリスタルとそれを守る伊賀獅子の剣、島長と共に秘密
 を守る親衛隊少女のビジュアルセンスは、当時の大きいお友達を虜にはしましたが、
 本来のターゲットである低年齢層から受け入れられることはありませんでした。

 普通なら途中でテコ入れと称する路線変更が、物語の全体をもグダグダにするのが
 一般的なのですが、後に称されるメタルヒーロー物のパイオニアである前作の勢いを
 そのままに、最後までテンションを維持してやり通したことは賞賛に値すると思われます。

 あまりにもチャチい小道具等、現代の目線で観賞すると少々キツい部分があるのもまた
 事実ですが、1回30分の子供番組で、壮大なストーリーを表現しようとした意気込み
 は評価したいと個人的には思うのです。

 では以下、個々のエピソードをご紹介いたします。
 

#16「美少女歌手が歌う危険なヒットソング」

→人気アイドル歌手の林田佐世子は、一週間前に突如声が出なくなるという謎の病気に
 罹り、妹と一緒に海岸で悲嘆に暮れていた。
 ところへ、突如空中に浮かび上がる魔王サイコのイメージが、何事かを囁き、その声に
 導かれるまま、妹の制止も振り切って佐世子は沖へと進んでいく。

 そこを通りがかった伊賀電に助けを求めるも、既に佐世子の姿は海の底へと消えて
 しまった。

 暫くして、奇跡的に謎の生還を遂げた佐世子は、それまでのアイドル路線から一転、
 ミステリアスなブルース歌手として復活。新曲の「まぼろしブルース」は空前の大ヒット
 となる。

 ところが、彼女の歌を聴いた子供達が学校や家庭で突然暴れだすという事件が相次ぐ。
 死んだはずの佐世子の登場と事件の影にマドーが関係していると断定した伊賀電は、
 早速捜査を開始する・・・。

 人気歌手を使って人間を洗脳する類の作戦は定番と言え、大抵は事件解決後にすべて
 元通りで大団円・・・というパターンなのだが、本編では既に林田佐世子は死んでおり、
 彼女が死んだ海岸で妹と伊賀電が佇むというヘビーな演出でしめている。

 前作でもそうだが、都合よく大団円に持っていかないあたりの演出は特筆に価するだろう。

 妹を狙うマドーから救い、正体を明かして妹を説得する佐世子は、この世ならぬ者と
 なって操られている悲劇をよく表している。
 ちなみにこのシーンで登場した佐世子の鉄仮面は、「太陽戦隊サンバルカン」の敵
 サイボーグ「ダークQ」のそれに似ているが、そのものかも知れない。


#17「新型二階だてバスのふしぎな異次元旅行」

→伊東温泉郷へと繋がる”四次元トンネル”にて怪事件が続発していた。
 トンネルを通行した車が突如あらぬ場所へと現れたり、行方不明者が出たりしている。

 事件にマドーの動きを感じた伊賀電は、リリィと共に現場に乗り込むが、事前に察知
 していたドクターポルターにかわされ、中々尻尾を掴めずにいた。

 マドーは伊東温泉郷の地下深くに眠るウラン鉱脈を発見し、人知れずこれを取り出す為
 に人を遠ざけていたのだ。

 一見子供番組とは場違いな温泉地とのタイアップは、前作に続き、実は東映特撮では
 お家芸である。

 伊豆の温泉地の地下にウランがあるとは相当苦しい設定だが、これは深く突っ込むべき
 ではないと思われる。

 これもタイアップである観光会社の二階建てバスは、サブタイトルにもある通り、繰返し
 クドいぐらい登場し、力の入れようが窺えます。

 また、今回登場するマグマビーストのデザインは中々秀逸であります。
 バスの乗客役で、声優の川村万梨阿が出演しているのだが、劇中ではまったく分りません
 でした。

 エンディングにおいて、タイアップ先の旅館にて平和なシーンの最後、例の海坊主が登場
 し、一気に不穏な演出に転換するのは緊張感があって非常にウマい。
 またこれが次回の伏線となっているのも見逃せません。


#18「夏だ! 海だ! 伊豆半島を襲うメテオの群」

→前回に引き続き、伊豆ロケ編です。
 前回、伊豆温泉郷の地下深くにあるウラン鉱脈を、人払いをしてこっそり掘り出そうと
 した作戦がシャリバンによって阻止されたマドー。

 今回は一転、宇宙の小惑星をミサイルに仕立て、一気に大穴を開けようという豪快な
 作戦に路線変更する。っつーか極端すぎw

 で、シャリバンの目を逸らす為に千秋を含む妙齢の女性ばかりを誘拐するという作戦を
 行います。

 どうもシャリバンこと伊賀電は、前回のエピソードにてマドーの真の目的には気付いて
 いなかった感じであります。

 タイアップ故やむをえない部分はあるが、実の姉を攫われて悲嘆に暮れているチエと明
 に対し、ホテルのイベントである”川良太鼓”を無理やり見せるシーンがあるのだが、
 機械的に実演する太鼓にテンション最低の子役の対比が、何となくシュールな感じで
 面白かったです。

 前回もそうだが、人目を避けたいはずなのにかえって目立つとしか思えない作戦を展開
 するのは如何なものかと思います。


#19「魔境岬に一人立つ神秘の少女」

→いよいよ奇星伝エピソードの第一章です。
 
 東京の人混みの中、ドクターポルターらしき女性から札束らしいものを手渡される一人
 の青年。ところへ、ビルの屋上から監視する謎の仮面、青年が口を開こうとした刹那、
 謎の仮面が投げた手裏剣が突き刺さった。

 逃げるドクターポルター。瀕死の青年は「イガクリスタル」という謎の言葉を残し、
 パトロール中であった伊賀電の目の前で絶命する。

 死んだ青年の名は伊賀幸一。奥伊賀島の出身で、シャリバンこと伊賀電と同郷であった。
 「イガクリスタル」の謎を調査すべく奥伊賀島に渡った伊賀電であったが、神秘的な
 女学生と島長と呼ばれる老人に、早く島を出るよう言い渡される。

 銀河連邦警察のコム長官は、2000年の昔に滅んだイガ星のこと、シャリバンがそのイガ
 星人の末裔であることを告げ、「イガクリスタル」の所在を突き止めるよう指示する。

 再び奥伊賀島に向かうシャリバンであったが・・・。

 島長と共に「イガクリスタル」の秘密を守る少女は一人ではないのですが、明らかに
 柿崎澄子演じるみゆきとその仲間という扱いであるのは、表題からも明らかであります。

 柿崎澄子と言えば子役時代の「透明ドリちゃん」なんて言うタイトルがすらすら出て
 くる時点で相当なツワモノですが、当時はまだその概念も言葉も存在していない所謂
 オタク属性のコンテンツ以外にも、大林宣彦の尾道三部作に出演したりと、一般の
 知名度もある程度有するキャスティングでありました。

 本エピソードは2部構成であり、本編では島長とみゆき達との邂逅と「イガクリスタル」
 を巡る自らの出生の秘密と使命について知るという形になっています。

 「イガクリスタル」の秘密をマドーに売り渡そうとした伊賀幸一は、島長が扮した仮面
 の戦士に殺された。
 突如島に現れた伊賀電もまた、マドーの手先と疑っていた島長と少女達だったが、彼が
 宇宙刑事となり、マドーと戦う姿を見て、イガ星を再興する伝説の勇者であることを
 確信する。

 マドーのカタリベビーストと戦い、傷ついた島長は、シャリバンとみゆき達に後を託し、
 この世を去ってしまう・・・。

 「イガクリスタル」は何処にあるのか?まだ多くの謎を残したまま、次回に続きます。


#20「荒波が呼ぶ七色水晶の孤島」

→島長が残した地図を唯一の手がかりとして「イガクリスタル」の捜索に奔走する伊賀電。
 みゆき達ですら立ち入ることを禁じられた島の奥深くに「イガクリスタル」があること
 を確信した伊賀電は、みゆき達を残し、危険を省みず奥へと進む。

 そこに居合わせた植物学者に伊賀獅子の像の在処を尋ねると、地図にある滝に案内され
 る。滝の中にあった伊賀獅子の像を発見した伊賀電であったが、植物学者はカタリベ
 ビーストであった!滝に突き落とされ、瀕死の重傷を負う伊賀電。その隙に伊賀獅子の
 剣を発見し、抜こうと試みるマドーであったが、滝に突き刺さった剣はどうしても抜く
 ことができない。あまつさえ、剣が放つ謎の光で、マドー一味は粉砕されてしまった。

 
 ヒロイックファンタジーの王道である伝説の剣に、選ばれた者しか抜くことができない
 ガジェットも、今こんなシナリオを書いたら一笑に付されるのがオチですが、前回にも
 述べたように「ドラクエ」すら存在しない20年以上前の作品であることを念頭に置く
 必要があります。

 前回に引き続いて登場したカタリベビーストですが、人間態を異なる役者が演じている
 という非常に珍しいケースですので言及しておきます。
 因みに前回は神父の格好をしたバラバラマンこと斉藤晴彦が、今回は前作にもゲスト
 出演をした実績があるうえだ峻が植物学者に扮して演じた。

 
 伊賀獅子の剣を抜き、「イガクリスタル」が収められた洞窟に入り、謎の守護者からも
 公式に伝説の勇者認定を受けたシャリバンであったが、執拗に後を追うマドーの侵入を
 許してしまった。

 そこへみゆき達も駆けつけ、「イガクリスタル」を奪おうとするマドーとの戦闘になる
 が、突如輝きだした「イガクリスタル」は、みゆき達もろとも、異次元の彼方へ姿を
 消してしまう。

 カタリベビーストを倒し、マドーを退けることに成功したシャリバンであったが、
 「イガクリスタル」とみゆき達の行方は杳として知れなかった・・・。
 

※次回『宇宙刑事シャリバンVol.3』(DISC-5 #21~#25)に続く






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Last updated  Apr 14, 2012 08:50:27 PM
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