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2006年08月29日
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カテゴリ:Pに思うこと
 ネットをさまよっていて、びっくりしました。
「文部科学省と厚生労働省は、来年度から全国すべての公立小学校で、放課後も児童を預かることを決めた」というYomiuri Onlineのニュース(これ)。

 ホントですかぁ? そのような動きについては聞いたことがありますが(横浜とか、もうやってるよね)、来年度から全公立小学校で実施? いくらなんでも拙速でしょう。
 1000億規模の事業ってことだけど、全小学校にコーディネーターを配置とか、「学び」を教員OBや教職を目指す大学生による「学習アドバイザー」が指導する(いずれも有償)とか、そんな金額じゃできっこないじゃん。全国2万2千の公立小学校、1000億まるまる現場に投入しても、一校あたり500万円弱だよ? いくら放課後だけの時間賃金にしても、子どもたちの安全にまでしっかり責任持つ体制がこれで取れると思う? 一ケタ足りないでしょう。

 少なくとも児童40人にひとりぐらいは大人の指導員を配置しなきゃいけないだろうけれど、たとえばウチだったら、毎日3時間から5時間、年間200日以上、20人以上の無償ボランティアを確保しなきゃいけない。半年後にその体制を整えろって? 無理。まったく無理。

 たぶん読売さんが“抜いた”記事だと思うけれど、さすがにこれは誤報のたぐいだと思うなぁ。このあいだの「学校に通信簿」の記事といい(これだって、まだまだ議論の段階でしょう)、このところ読売さん飛ばしすぎなんじゃない?

* * * * * * * * * * *

 さてさて、しつこく水谷修さんの講演中止について考えてみたいと思います。なんでか? 他人ごとじゃないんだもん。わたしだって、規模は違えど講演や研修会を企画運営する立場。もしわたしが日本PTA全国大会を運営する立場だったとして、なにせ素人ですから、同じような事態に陥る可能性はじゅうぶんにあるわけで。
 わたしはこの大会のインサイダーではありませんし、限られた情報の断片だけからあれこれ推測を重ねても不毛な気もするのですが、自分の中で一応の折り合いをつけたいので。

 まず、サテライト会場への中継について。

 主催者側が、当初から複数会場に講演を中継する予定だったことは間違いありません。
 募集案内や参加証に複数会場が記されています。常識的に考えて、複数会場の聴衆に、同時に直接語りかけることなんてできっこありません。
 ただ、それが水谷修氏に伝わっていたかどうかは疑問です。主催者側は「何度もFAXなどで告知した」と言っていましたが、それが大会要項などのパンフレットを送りつけたことを指すのであれば(わたしが主催者だと、そんな手法を取ってしまいそうです)、確実に「伝えた」とは言えないでしょう。

 ただし、水谷修氏の側から、事前に「モニター中継を行わないように」などの条件が提示されていた可能性はほとんどないと思っています。
 水谷修氏が以前にも講演を中止した経歴を持つこと、厳しい条件を提示してくることなどは衆知の事実であり、いくらなんでも主催者側がそうした条件を無視したり反故にすることはありえない。
 もし中継禁止の条件が提示されていたら、講師を変更するだけのことです。8000人を集めること、全体会は複数会場で行うことは数年前から決まっていた(日P全国大会は、おおむね、開始の5年前から準備がスタートします)動かせない条件なのですから。

 というわけで、モニターでの中継については、

・主催者側は伝えたつもりでいた
・水谷氏は聞いていなかった。ただし、禁止するとも言っていなかった

ということになるのではないでしょうか。水谷氏は年間に200件も講演を行ったいた時期もある(現在どれぐらいかは分かりません)ほど多忙な方。確認を取らなかった主催者側のミスでしょう。

 けれど、こんなことが講演中止の理由だとは、わたしには思えません。いまどき、大スクリーンに映像を映し出すことや、会場の外にモニターを置くことはごく普通。水谷氏がそれを嫌うとしても、事前に条件としていなかったのであれば、講演中止の理由にはなりません。

 水谷氏は、「水谷は、ウソは、嫌いです」と言いました(報道によれば「わたしは嘘つきは嫌いです」)。
 複数会場での講演になることを明確に伝えるのを怠ったことは「ウソ」でしょうか? 違いますよね。「8000人を前に、直接語っていただきます」と言えば嘘になるけれど、主催者側がそんなことを言うはずもない。
 だから、別会場に中継をすることそのものは、講演中止の理由じゃないとわたしは思っています。

 では、なぜ?
 水谷氏は「昨夜、参加者のひとりから、『講演を生で聞けると思っていたのに、そうでなくて残念』との話を耳にした」旨の発言をしています。正確なコトバを覚えていないのですが、一部報道では、その参加者が水谷氏に対して「嘘つき」と言ったとの表現もあります。

 神戸から参加したわたしは、特に会場を指定されるでもなく、本会場に入ることができました。
 この“参加者のひとり”は、サテライト会場に行くよう事前に指示されたことになりますから、おそらく地元宮崎県、あるいは九州ブロックからの参加者だったのでしょう(主催者側がそのような案内を行うだろうことは――地元の方々には申し訳ないけれど――やむをえないことだと思います)。

 この「嘘つき」というコトバは、誰に向けられたものなのでしょう? 

 主催者側? ありえます。
 たとえば神戸で全国大会を行うとしたら、おそらく各単位PTAに10人は動員がかかるでしょう。会長であるわたしは、役員のどなたかに、「二日間、どうかお手伝いお願いします。あとで埋め合わせするからさ。そうそう、記念講演のときには仕事ないはずだから、水谷先生の話が聞けるよ」とか言うでしょう。それを聞いた人は、直接聞けるものだと思うはずです。参加証が届き、記念講演はサテライト会場で聞くように指示されていた。「会長の嘘つき~!」です。

 水谷修氏? ありえます。
 大会初日の夜に水谷氏と話をしているのですから、かねてよりの知人なのでしょう。それ以前にも話をする機会があり、「おう、今度PTAの大会で宮崎行くんだよ。聞きにおいで」とか言うこともあるでしょう。そして、サテライト会場に案内されたその人が、「生で聞けると思ってたのに。センセの嘘つき~!」と言う可能性はある。

 このどちらか。それが、水谷氏に講演を中止させた決定的な理由なのだと思います。

 前者であれば、主催者側にとっては「なんじゃそりゃ!」です。
 参加者全員が生で聞けるなんて言ったことは一度もない。サテライト会場に案内されることもあるのは何度となく告知済み。それで「嘘つき」呼ばわりされたんじゃたまりません。というか、嘘なんてついていません。「ちゃんと案内読まずに勝手に思い込んだだけじゃろ!」です。

 でも、水谷氏ほどのビッグネームとなれば、生でそのお姿を見ることができるかどうか、天と地ほどの差だ、と感じる人がいるのも当然。これはやはり、「複数会場です」だけじゃなくて、それぞれの参加者が講演をどのような形で聞くことになるか、事前にはっきり伝えておく必要があったんでしょう。

 後者であれば、主催者側にとっては「水谷氏の思い込み、誤解」ということになります。
 水谷氏にとっては「ちゃんと詳細を伝えてこなかったから、わたしが嘘つきにさせられた」ということで、水谷氏のようなキャラクターの持ち主には我慢できないできごとでしょう。
 なんにせよ、しっかり講演の詳細を伝えておこうね、というごく当たり前の教訓が導き出されるだけではありますが。

* * * * * * * * * * *

 長々と書いてきましたが、「これが正解!」だと思っているわけではありません。なにせ舞台裏が見えませんから。
 それでも、これから講演会などを企画する場合は、とにかく講師との綿密な打ち合わせと、参加者への正確な告知を欠かすなかれ、な結論が出てきたのでよしとしましょう(当たり前だけどね)。

 記念講演は残念だったけれど、その他の点では混乱もなく、また地元の方々の暖かい歓迎に触れることができた大会でした。
 運営に携わったすべての方に「ありがとうございました。お疲れさまです!」と謝意を表して、この大会についての記述は終わりにしようと思います。





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最終更新日  2006年08月30日 01時01分52秒
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