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カテゴリ:芸術
サントリー美術館は赤坂見附の交差点からサントリー財団とともに移転して、いまは六本木の東京ミッドタウンの中核施設になっている。 もとよりアルコールの会社だから、ガラス器の名品、エミール・ガレの国際的な蒐集・収蔵は群を抜いたものである。。。と、まあ思って、ガレの展示を見に行った。 驚いたのだが展示内容は、ガレの習作(北斎や広重のコピー)が多く、ガレとは名前だけの駄作ばかりであった。 その中で目を引いたのが、この蓋付きのゴブレットである。 サントリー美術館では何の解説もなかったのだが。 これは奈良時代の「合子・ごうす」という仏具である。 正倉院の御物にもある。 おそらく、ガレは奈良の寺院から持ち出された仏具に感興を得て、同じデザインを採用したのだろう。 というのも、この「合子」は東大寺や各国分寺など、奈良仏教に特有の仏具であり、もちろん、その系譜はメソポタミア文明に行き着くものである。 したがって、同じオリエント文明から、アレクサンダー大王の軍団や、初期十字軍の騎士団が持ち帰ったゴブレット(聖杯)と非常に共通性があるということだ。 ガレは天才だった。 この一品にして二千年のユーラシア文明を超越したのだ。 それをきちんと解説しないサントリー美術館の連中は 凡才の盆栽である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.17 21:50:52
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