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曹操閣下の食卓

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曹操閣下の食卓

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2009.02.23
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カテゴリ:芸術

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 経営学者として面白く思うのは、ボンボリーニ村長のリーダーシップだ。

 もちろん、これはそもそもフィクションなのだから脚色もある。

 偶然に村長になった居酒屋の酔いどれ親父ボンボリーニは何をやっていいのかサッパリわからない。

 息子のファビオはトリノ大学の大学生だったので、悩む父親に一冊の本を手渡す。
 それがニコロ・マキャベリの【君主論】。

 ボンボリーニは一晩でこの本をわからないなりに、すべて丸暗記してしまった。
 そこで村長諮問委員会を立ち上げ、村の名士たちを専門の閣僚に任命して、村長の事務作業をみんな彼らに丸投げして代行させるというアイデアを実行する。
 そこでボンボリーニは村役場の前の噴水で、あいかわらず村人たちと気楽におしゃべりをつづけるという日常生活。

 ボンボリーニはイタリア軍の前線から脱走して故郷に逃げてきた将校トゥファをかくまうが、これも人徳なのか。

職業軍人として組織の統治に慣れている彼が参謀役となり、ワインを古代ローマのトンネル遺跡に埋蔵する計画が実行される。

 このときのボンボリーニの態度が面白い。
 トゥファに「お前、オレの代わりに村長をやってくんねえか」と気弱そうに頼み込むのである。
 脱走将校にそれはムリだという前に、トゥファは理解していた。

 ボンボリーニは村人みんなから愛されている。

 村人みんな老若男女が、下手なラッパを合図に、雨の中も、カンカン照りの暑さにも耐えて、バケツ・リレー方式で、ベルト・コンベアーのようにワインのビンを一本一本手渡しをしていく。
 その数は百万本以上。

 この連続シーンは感動的だ。
 何度みても飽きない。


 全員が文句一ついわずに働き、ワインをドイツ軍の強奪から守ろうとしている。
 ワインに対する愛情と、村(コミュニティー)に対する誇りが満ち満ちている。

 人間は愛と自己犠牲によって、こんなにも強くなれるのか、不可能を可能にできるのかと考えさせられる。

 この映画を見なかったら、おそらくはフィリピン革命軍に空手を教えにジャングルに行くことはなかっただろう。

 東京大学法学部卒、日本興業銀行勤務の後、父親の選挙区を世襲して、財務大臣までのぼりつめた男の不名誉な転落と、イタロ・ボンボリーニ村長の輝かしい物語は比較にならない。








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Last updated  2009.02.24 20:02:00


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