芸は身を滅ぼす
もう、何年、続けているのでしょう?明日は、お花の支部の新年会です。私は、毎年、毎年、歌の伴奏を頼まれ、いわれるがまま、黙ってしてきました。でも、きょうは、堪忍袋の緒が切れた状態です。はじめの頃は、新年会の費用の中に、ピアノの賃貸料が入っていたので、会場に行って弾くだけでした。ところが、ある年から、たった一曲歌うためにピアノを借りるのはもったいないということになり、私は、自分持ちのキーボードを持って、会場に行っていました。会場のホテルに着いてから、ホテルの方に運んでいただけるなど知らなかったので、毎年、毎年、車を駐車場に置き、エッチラコッチラ、一人でキーボードを運びました。かなりかさばるものなので、私とそのキーボードがエレベーターに乗るともういっぱい。「大きいものを持って乗る人がいるから、私たちが乗れない」などという言葉を同じ新年会に出席する人から浴びせかけられたことも・・・スピーカーにマイクをつけるとどれくらいの音量になるのか試してみないと不安ですし、延長コードが必要かもしれないので、他の人たちよりはやく会場に行って、試奏していると、うるさいと叱られ、次の年は、じゃあ遅く行けばいいんだと思って遅く行くと、今度は、遅いと叱られ、本当にイヤなことばかり。肝心の歌も、出席者が声高らかに歌ってくれるのであれば、数々の失礼を許してあげようという気持ちにもなるけれど、蚊の鳴くような声で、ボソボソ。学校なら「声が小さい!やりなおーし」と怒鳴られるくらいの声。そんなに歌いたくないなら、プログラムから抜けばいいのに・・・さらに、新年会が終わっても誰も手を貸してくれることもなく、キーボードとスタンドを一人で片付け、また駐車場まで。会の出席者たちは、その後、会場を変えて二次会で楽しくおしゃべり。私を待ってくれる人もなく、私が、その二次会の会場にいないことに気づく人もなく・・ということは、私が、伴奏を弾くことで、誰も喜んでいるわけでもなく、助かっているわけでもないということ。まだあります。他の出席者は、駅からすぐの会場ということもあり、電車で来ていましたが、私はいつもいつもとんでもない額の駐車料金を払って、車で会場に行くしかありませんでした。なんで、新年会の費用を安くするために、私が、高い駐車場代を払わなければいけないのでしょう?私が黙っているから、だれも気がつかないのでしょうね。ずっと我慢してきましたが、昨年、もうイヤだと思い、そのキーボードをうちにお稽古にくる子にあげてしまいました。ただ、私にとって、キーボードは不可欠なので、私自身用には、ピアノにより近いキーボードを買いました。新年会の歌の話になり、「今回は、持って行けません」というと、「じゃあ、伴奏を録音してきて」これって、音楽が有形だったら、「あなたのもっているそれ、ちょうだい。自分で買うとお金がかかるから」ということです。それでも、言い返せない私は、先日、休みの日にMDに録音しました。短い曲ですが、自分が納得できないものはイヤなので、半日かかって録音したのです。今時、カセットなんて・・と思いましたが、まさかという気持ちも少しあり、今日の午後になって、明日の会場になっているホテルに電話を入れました。すると、私の不安は的中し、カセットなら、オーディオセット貸し出しの基本料金にはいっているけれど、MDを使う場合は、+\3,000の費用がかかるというのです。このホテルの対応も信じられません。それでもピアノを借りるよりは安いので、せっかく録音したMDなんだから、そのまま持って行こうとはじめは思いました。でも、何か言われたらまたイヤ思いをするのは私なので、念のため、お伺いを立ててみると、「そんなお金はばかばかしい、だったら、カセットに録音して」というお答え。怒りのおさめようがないほどアタマに来ましたが、私は、古いデッキで、カセットに録音し、これでいいかどうか、録音したものを聞いてもらいました。これで、ようやくOKがでて、明日の新年会の歌は、費用がかからず、無事歌えることになりましたが、私の気持ちは、おさまりません。お人好しもいい加減にしろ、何も言わないから、いつまでたってもわかってもらえないんだよと言っている自分と、これこそ「陰徳を積む」ということだから、何も言わず、このまま我慢しなさいと言っている自分がいます。明日は、伴奏を弾かなくていいのですから、せめて、私は、一人で、声高らかに歌おうと思っています。何なら、私が歌うから、みんな黙って聞いてろ!と言いたいくらいです。