今日は朝から妻が知人のサークル活動の手伝いに出かけていたため、一日一人きりでゆっくり過ごすことができました。午後からは休みの日以外には我慢しているスナック、湖池屋のカラムーチョ・スティックタイプをポリポリ齧りながらプロ野球観戦。我が福岡ソフトバンクホークスも苦手のライオンズ相手に、やっとこさカード勝ち越しを決めてくれました。
主砲・松中信彦選手が久々の一発を放ち、助っ人オーティズ選手も1本塁打を含む4安打と爆発!ご贔屓の選手が活躍してくれると最高に気分がいいですね。日本ハムが降雨コールドで負けてくれたので、またしても同率首位に浮上!このまま一気に単独首位に躍り出て欲しいものです。
野球観戦の前には、NHK衛星ハイビジョンで偶々放送されていた「プレミアム8・ワイルドライフ」を観ました。アフリカのナミビア砂漠を疾走するナマクアカメレオン、カラハリ砂漠でエジプトコブラと闘うイタチ科のラーテル、そして天敵に負けず逞しく生きるリス科のケープアラゲジリスの家族。いやー、三者三様の生態を極上の映像美に仕上げた素晴らしい番組でしたねえ。スタッフの労苦と熱意に敬礼しつつ、このような文化的事業の成果が津々浦々に知れ渡るようにと願うばかりでした。次回以降も必ずチェックしておきたく思います。
私が動物好きなのは、亡くなった父の影響です。テレビを余り観ず、口より先に手が出る地震雷火事親父の典型でしたが、TBS系ドキュメンタリー番組「野生の王国」だけは毎週欠かさず観ていましたし、小鳥が大好きで文鳥、ジュウシマツ、カナリアを始め、一時はメジロやキンケイ鳥まで飼育していました。法的な許可を取っていたのか否か最後まで不明でしたが、金魚&熱帯魚、犬&猫、よくもまあ狭い借家であれこれ飼っていたものだ。お陰で私も動物を飼っている知人宅へお邪魔するたびに、小鳥や犬猫に懐かれる人間になりました。今は小鳥すら飼えない共同住宅住まいなので、残念至極です。もっとも妻という猛獣には今も悪戦苦闘中ですが。
その流れでインターネットの野鳥図鑑を眺めていたら、キクイタダキの写真に目が止まりました。頭頂部の黄色い冠羽が菊の花を戴いているように見えることから命名された、日本国内最小の鳥ですね。体長10cm、体重は僅か5g程度で写真から見る姿も実に愛らしく、本物を何時かバード・ウォッチングしてみたいと夢想していますが、川端康成の名品「禽獣」でも登場していた記憶が甦り、手持ちの旺文社文庫を引っ張り出して来ました。
主人公の独身四十男の周辺で動物が次々に死んでいく、儚く無情な小説です。隣人に芥捨場へ無造作に捨てられ死にゆく雲雀の子、ドーベルマンとボストンテリアの死産の回想、自ら飼育していた紅雀、黄セキレイの死、そして二度のキクイタダキのつがいの死。。愛らしい動物達の死に様が淡々と述べられていく過程で、逆に生命の尊さについて考えさせられてしまうという、川端文学の傑作です。作者本人は「読者から嫌われるような作品を意図的に書いた」と晩年まで本作を嫌っていたそうですが、それが今日まで絶賛されている訳ですから何とも皮肉な話ですね。
偶然にも紅雀の存在を思い出したので、今宵のBGMはユーミンの『紅雀』にしてみました。松任谷由実名義での記念すべきファースト・アルバムですが、珍しくも至って地味な楽曲ばかりで固められており、当時のファンは正直拍子抜けしたのではないかと推測します。それでもガット・ギターの響きが切ない「9月には帰らない」「白い朝まで」、フォルクローレ調「ハルジョオン・ヒメジョオン」、サンバ調「私なしでも」「紅雀」、ボサノヴァ調「地中海の感傷」「罪と罰」、穏やかなシャッフルの「出さない手紙」、ブラスを利かせた「LAUNDRY-GATEの想い出」etc、ワールド・ミュージックの隆盛を予見したかのような音楽図鑑的コンセプトはやっぱり秀逸で、格調高いラスト曲「残されたもの」が何時聴いても素晴らしい!イントロのピアノだけで涙腺が決壊しそうになりますねえ。もう一度聴き返してから就寝することにします。それではまた。
| | 川端康成
代表作「禽獣」収録(旺文社文庫は絶版です)! |
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