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カテゴリ:医学
魚介類に寄生するアニサキス 食中毒発症の恐れ
日本人の食卓に欠かせない〝海の幸〟ですが、寄生虫の「アニサキス」には注意が必要です。アニサスキが規制した魚などを食べると、食中毒を発症する恐れがあります。症状の特徴と予防対策を国立感染症研究所の杉山広客員研究員に解説してもらいました。
胃腸に刺さり激痛 起こす
サバやサンマ、サケ、カツオ、イカなど日本人になじみ深い魚介類には、アニサキスの幼虫が寄生している場合があります。体長約2~3㌢で糸くずのような形をしていますが、生きたまま人間の体内に入ると、胃や腸などに刺さって激しい痛みや嘔吐といった食中毒症状を引き起こします。これは、アニキサスが寄生した刺身やすしを加熱や冷凍が不十分なままで食べることが原因です。
十分な加熱・冷凍の予防処理を アニサキスが侵入しても痛みを感じない無症状のケースもありますが、まずは魚介類をおいしく安全に食べるためにも、きちんと予防することが重要です。十分な加熱、あるいは冷凍処理でアニサキスを死滅させてください。加熱の場合、60度で1分以上焼いたり煮たりすれば死滅します。冷凍はマイナス20度で24時間以上が目安です。 アニサキスの多くは魚の内臓に寄生するといわれ、死んだ後に魚の内臓から身に移動します。できるだけ新鮮な魚を買うか、自分で釣った魚はすぐに内臓を除去し、内臓を生で食べるのもやめてください。もし、魚を食べて数時間ほどで腹痛を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
国立感染症研究所客員研究員 杉山 広氏 厚生労働省によると、アニサキス食中毒の患者数はここ数年、年間約400人で推移していますが、私が独自の方法で調査したところ、実態は年に約2万人に上ることが判明しました。厚生労働省の統計の約50倍です。過去にも同様の調査を実施した際は7000人だったので、患者数は年々増加していると推測されます。
患者数年間2万人も
増加理由として流通技術の発達に伴い、生で食べられる魚の種類が拡大したことが挙げられます。例えばサンマの刺身です。かつては漁獲された地域でしか食べられませんでしたが、現在では都内の飲食店でも気軽に注文できます。 海洋環境の変化も見逃せません。アニサキスには種類があり、主に太平洋側の魚に多き寄生する「S型」と日本海側の「P型」に分かれます。S型の場合、内臓にとどまらず身にも移動することが判明しています。 このため、S型が食中毒の主な原因になりますが、最近では日本海の魚からもS型が発見されるようになりました。地域に限らず、基本的な予防対策を実施することが重要です。
【健康プラザ】公明新聞2023.2.28 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 20, 2024 05:37:43 AM
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