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カテゴリ:仕事
日本の大学で教鞭をとっている友達がいるのだが「高校生向けの講演会があって、あなたの話をネタとして使わせてもらったわ。」と報告された。
「ドイツに長年住んでいる友人によるとドイツでは・・・だそうです。」と話したらしいのだが、私が話した日常生活の愚痴や近況が「ドイツではこうです」と断定されるのはなんだかちょっと怖いと思った。友人は「一番うけたのは、«そんなドイツ通の彼女ですが、なんと松潤のファンでドイツでも欠かさず嵐の番組をチェックしているそうです»と言った時だったわ。」と教えてくれた。 私は面白いなーと思ってこの話を恵子にしたら「それは残念だったね。」と言われた。つまり、講演会の本来の内容とは全く関係ないところが一番受けたというのは、悲しいことだと恵子は思ったようだ。それは確かにそうだけど、高校生に親近感をもってもらおうと彼女もわざわざ付け足したわけで、彼女にとっては計算通りだったのではないかと思う。 ドイツに長年住んでいて税理士事務所で働いているというと、日本にいる友達は勝手に「ドイツに詳しい人」と勘違いしてしまう。 でも実際は、ドイツ語もあまりできないし、ドイツのことにも詳しくない。 事務所では私と話す時はみんな標準語でゆっくり話してくれる。 同僚同士が話している会話のスピードは早すぎて私には聞き取れない。 聞き取れても話に加わることはできない。 昨日Kさんが電話を切った後「今の電話、信じられない!」といって、興奮気味にまくし立てた。Kさんが一通り話し終わった後、Nさんが私に「Kの言っていることわかった?」と聞いた。私は「全くわかりませんでした。」というと「やっぱりね。Kの話すスピードは早いし、内容があちこちに飛ぶから私達でさえ理解が難しい。」とフォローしてくれた。 私の今の仕事は基本的な簿記で、正確に入力することが求められるが、深い専門知識やドイツ語は必要ない。私が入力したあと、必ず誰かがチェックして間違いがあった場合は指摘してくれる。 私はわからないことがあった場合、まず自分でとことん調べて、それでもわからない場合は保留にして、保留がいくつか溜まったら、Nさんや他の担当者に聞くようにしている。「今、ちょっと聞いてもいいですか?」と前置きをすると「もちろん」とみんな言ってくれる。「わからないことがあったら、いつでもすぐに聞いて」と即対応してくれる。私が新人だからというわけではなく、NさんもKさんもわからないことがあると他の同僚に聞いている。この事務所ではお互い助け合うのが当たり前。みんなそれぞれ自分の担当をたくさん抱えているのに「忙しいから後にして」と言われたことは一度もない。 前の事務所では「今、時間がない」「わからないことは書き出しておきなさい」といつも言われていた。しかし書き出してもフィードバックをもらえたことはなかった。18ヶ月の研修中よりこの3週間のほうがよほど勉強になっている。 税理士事務所で働くには簿記ができることは大前提。「税理関係事務員」の職業訓練を受けた人がほとんど。3年以上の実務経験があるとその一つ上の資格試験を受けることができる。 12月にその試験があり、OさんとRさんがその試験を受けるそうだ。そのためOさんとRさんは毎週土曜日と隔週金曜日にStuttgartの学校に通っている。 私の面倒を見てくれるKさんは来年から一つ上の資格を目指して学校に通うそうだ。毎週水曜日の夕方と土曜日の午前中に授業があり、期間は2年半。現在週40時間働いているが、来年3月から週35時間に減らしてもらうよう社長にも交渉済だと言っていた。Kさんは20代前半。3年後に資格試験を受け、受かったらお給料もあがるわけで、そうしたら結婚して子供を産んで産休に入る、とすでに人生設計を建てている。ドイツでは産後1年間育児休暇手当がもらえる。その後無給にはなるが子供が3歳になるまでは育休をとれる。Kさんはみんなの前で堂々と自分の人生設計を話している。日本で職場でこんなこと話していたら総スカンをくらいそう。でもドイツでは当たり前の権利で、批判する人なんて誰もいない。少なくとも私の職場の人はみんなKさんを応援している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年09月23日 02時37分36秒
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