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カテゴリ:仕事
うちの事務所は退職する時は3ヶ月前に通告しなければならないと契約書に明記されている。
3月末で二人が退職するのだが、彼女たちはすでに年末に辞表を出していたことになる。やめる二人とは私は余り接点がなく、やめるということも同室のKさんから聞いた。彼女たちが何故やめるのか理由は聞かなかったが、それぞれ4月から新しい事務所で働くそうだ。よりいい労働条件のところに移ったのだろう。 今日は少しの間コピー室で作業をしていて部屋に戻ったら、Kさんが泣きはらした顔をしていた。KさんはNさんに愚痴をこぼしていた。なにか辛いことがあったのかな、と思ったが、私は二人が話しているのを聞き流しながら仕事を続けた。Kさんは「この社長のもとではこれ以上働けない。」というような話をしていた。Kさんが私に顔をむけて、「今日辞表を出したの。」と言った。すごく驚いた。今年一番のショック。 「えー、すごく残念。」というのが精一杯だった。Kさんは「でもここをやめることが私にとってベストなの。」と言った。Kさんは向上心があって、この3月から一つ上の資格をとるため、夜間学校に通い始めた。週40時間勤務から週35時間に減らしてもらうように社長にお願いして許可ももらっていた。しかし最近になって社長から勤務時間を減らすことはできない、と一方的に約束を反故されたらしい。Kさんは頑張り屋で、残業も厭わないし、たくさん仕事が振られることについても「いろいろなことが学べてすごく嬉しい」といつもポジティブ。明るくて、人当たりがよくて、誰もが彼女のことを好きになると思う。一方社長も気さくな人で、いろいろと気にかけてくれて、豪快かつ繊細な人というイメージ。そんな二人が衝突するなんて私には想像できない。 Kさんは「私はこの部屋が好きだったし、3人で楽しかったから、すごく悩んだよ。でも先週の金曜日に決定的な出来事があって、決断したの。新しい職場は家からも近いし、何よりも私の勉強もサポートしてくれるのが嬉しい。新しい資格を取るための勉強はそれだけで私にとってハードルが高いのに、大変さを理解してもらえないのはつらい。」と泣いていた。 Nさんと二人になった時に「あなたは大丈夫?不満はない?なにか不満があったら、爆発させる前に相談してね。」と言われた。Nさんは「Kちゃんの気持ちもわかるけどKちゃんはわたしが教えた最初の研修生だったから悲しいわ。社長もKちゃんも裏表がなくて、ある意味似たもの同士だったからうまく行かなかったのかもしれない。今までも衝突する事はあったけど、まさかそこまでKちゃんが思いつめていたなんて知らなかった。」とすごく残念がった。 私は「研修先がひどすぎたので、私にとってここはパラダイスです。ただ私のせいで顧客の信頼を失ってしまうのではないかという心配はしています。」と正直に答えた。実は3日前に社長からあるミスについて「絶対にあってはならないこと。気をつけるように」と注意されたばかりだった。だから私からやめることはなくてもクビになることはあるかもしれないと思っていた。Nさんは「そんなミスはありがちだから気にすることはない。そんなことで顧客の信頼は失わないし、クビになることはないよ。何よりもあなたにやめられたら困るよ。」と言ってくれて、少し肩の荷が下りた。 それにしてもKさんの退職は本当にショック。パラダイスのような職場だと思っていたのに、なんとなく闇を垣間見た気分になった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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