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テーマ:ニュース(100220)
カテゴリ:ニュースも時々
何やらやたらと話題に上っていたので、今まではあまり気にしていなかったものの、早速、各紙を見てみることにする。
産経新聞 毎日新聞 朝日新聞 読売新聞 ということで。 記事の内容をまとめると論点は三つ。 一、表現の自由 二、助成金充当の妥当性 三、助成金そのものの妥当性 当然、この三つは論点が異なるので分けて考えるべきものである。 しかし、これらは意図的、無意識を問わず混同され、混乱を招き、的外れな議論に始終し、口当たりの良い主張だけが繰り返している紙面も目に付く。 もはや見慣れた光景ではある。 さて、一つ一つの論点を順を追ってみていくと、 表現の自由に関しては、報道機関ということもあり、どこも表現の自由を尊重すべきだとしている。 これは形骸化したものでなければ、異論の余地なく正しい。 次に、助成金については、「文化庁所管の独立行政法人から750万円が助成され」ているが、「振興会は(1)政治的、宗教的宣伝意図がない(2)日本映画であること-を助成条件として」いるので、この妥当性が問題となっている。 作品自体は未見なので、読売社説からその問題点を抜粋すると、 「日本兵が日本刀で中国人を斬首(ざんしゅ)しようとしている写真なども映し出される。日本の研究者が中国側が宣伝用に準備した「ニセ写真」と指摘しているものだ。」 ということになる。 一方、そもそも助成条件の「政治的宣伝意図」が何を指しているのかが曖昧なうえ、イデオロギーに左右されないドキュメンタリーがありえるのかという議論もあるだろう。 何者にも左右されない「真実」を捉えたドキュメンタリーがあると仮定しても、その資料性に疑問の余地があるものを使うのは確かに問題がある。特にそれが政治的なものを含んでいれば尚更。 しかし、「政治的宣伝意図」が何を指しているのかが具体的に示されていない以上、今回のような件は致し方なしといえる。 また、助成条件と助成金そのものの妥当性のは切り離して考えるのが難しく、今回の件そのものとは分けて考えるべきだ。 読売の社説から引けば「公的助成が妥当か否かの問題と、映画の上映とは、全く別問題である。」となる。 では何故この問題が大きく取り上げられることになったのだろうか? 一つには、「表現の自由」が関わってくるからだろう。 「表現の自由」といえば、その内実はどうあれ、優先的かつ絶対的に主張されるべきものとされる。 しかし、実際のところ、読売の社説にもあるように「かつて、ジャーナリストの櫻井よしこさんの講演が、「慰安婦」についての発言を問題視する団体の要求で中止になった。」という事件があったり、伊藤俊也監督による東絛英機を主役に据えた国際軍事裁判の映画化『プライド 運命の瞬間』(映画的にあまり良いデキとは思わないけれど)をA級戦犯を主役にした危険な映画と観る前から断じて、上映中止運動に与していた朝日・毎日だとか、プリンスホテルでの日教組の集会への会場貸し出しキャンセル事件など、要するに、その度に右左の攻防に使われる程度の「表現の自由」でしかなかった。 また、「靖国」という右左をくすぐる政治的題材であったことも、今回の報道の加熱を招いたのだろうと推測できる。 「表現の自由」というイデオロギーを左右双方が弄び、自分たちがいかに「文明的か」を競う、今回も相も変らぬ小競り合いの領域を一歩も出ていないとしか感じないのであった。 まぁ、それでもこれだけ話題になったのだから『靖国』は近所でやるかもしれないし(名古屋市千種区の映画館「名古屋シネマテーク」は上映を先送り、上映未定ということのようですが)、DVD化は間違いないんじゃないかなぁ。 観る前にグダグダ言っているのは確かに楽しいけれど、やっぱり観ないと始まりませんからね。 <付記> これらは分かりやすい対立を生んだため、良しにつけ悪につけ注目を浴び、議論の場に立っただけでも幸いといえるかもしれない。 スポンサーという事実上の検閲者をもつマスコミにあってはその途に就くことすら困難な場合もある。そして、もっと悪質な自主規制も。 ドリフ世代は、ドリフメンバーとともに、舞台狭しと駆け回る小人プロレスの人たちを覚えているだろう。 テレビの銀幕を飾った彼らも、「良心」という名の投書にあっさりと屈した局側の自主規制の前で姿を消さざるを得なくなった。曰く「見世物にされている可哀想な小人」として。 かくして、彼らの体型は放送禁止となった。 「ただ俺たちがリングに突っ立っていたって誰も笑うもんか。それを俺たちは笑わせているんだよ。」という声は「良識」の大合唱の前ではあまりにも小さくか細かった。そして今や他人をバカにして笑いをとるのが支流となった。これが「良識」の望んだことだったのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年04月04日 07時54分53秒
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