『地下鉄(メトロ)に乗って』・浅田次郎さん
25年ぶりに初めて参加した高校の同窓会。小沼真次は、大企業の社長を父に持っていたが、若い頃家を飛び出し、父とは全く関係の無い仕事や家庭を持っていた。落ちぶれた真次は疲れていた。。。。永田町の地下鉄駅の階段を上ると、そこには30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄を探した。あの時、兄はどういう心境だったのか?どうしていたのか?やっとみつかった。。。後にわかる兄と母との電話での会話。兄を見つけたが・・・駅の出口は現実社会との出口入り口でもあった。現実に戻り・・・更に、駅から戦後の闇市の世界へ。そこには、精力的に商いに挑む一人の男性が。更に過去に行き、満州に出征する父を目撃し、満州での父や高校教師にも出会う。 。 。 。〔以下、解説の吉野仁さんの文を引用〕過去へ戻るたびに甘酸っぱい郷愁のような気持ちでその時代を味わうとともに、苦い現実を知り、皮肉な運命にとまどいさまようばかり。そして、すべての秘密が明かされたとき、過去の悪夢も現実の苦境も反転していく。一面しか見ていなかった世界がラストで急に広がっていくような感じ。地下鉄の暗い構内から地上の出口に出て、まぶしい昼の光を浴びたような瞬間。単純なハッピーエンドとは違う、紆余曲折の末にようやくたどり着いた苦い現実とそれを見据えることで生まれる大いなる希望。どこかすがすがしい思いを抱く。***************************感想は、まったく上記の解説に書いてるような感じです。タイムトリップで親の過去を知り、親自身も時代に翻弄されながら必死で生きていた。こういった作品は多いですが、また浅田さんのは格別です。