「家族会」に怒鳴られた川口外務大臣
3月12日、北朝鮮による拉致被害者家族会は川口順子外相と面会し、家族会側が(1)「北朝鮮による拉致は現在進行形のテロ」という認識を持つか(2)米政府がすでに実施しているテロを理由とした北朝鮮への経済制裁を行う準備があるかと正したのに対し、川口外相は「常識的にはテロだと思うが、法的には難しい」、「(経済制裁は)現時点では考えていない」と答え、家族側が「では、今後いったい何をするつもりなのか」と尋ねると、川口外相は「(拉致問題が)解決するまで“経済協力”はしないことと、話し合いをすることだ」と回答をしたため、家族たちが激怒、「ふざけるな」、「外務省はやる気がない」、「無為無策ではないか」、「何もしないのと同じ」、「納得いかない」などと反発の声が相次いだ。そうして、まったく話がかみあわないまま一時間が経過し、川口外相は「次の予定がある」と席を立ち、「こんなんで帰るのかよ」(蓮池透氏)という怒声をあびて、逃げるように部屋を出ていったのである。北朝鮮の拉致犯罪を20年間放置し、そして、これからも何もしないであろう“ブザマな外務省”を象徴する出来事だった。「家族会」は先の訪米で、アーミテージ国務副長官から「あなたがたの活動は、われわれのテロとの戦いとまったく矛盾しない」、「北朝鮮をテロ支援国家に指定している理由に日本人拉致問題も含まれる」と励まされ、フリスト上院院内総務からは「北朝鮮の非人道的な対応、欺瞞と策略に怒りを覚える」「私たちにできることは何か」と手を差し伸べられた。そうした米国の暖かい対応に比べ、誠意なく冷たい小役人的対応に終始した自国の外務大臣に拉致被害者家族が怒りを爆発させたのは当然であろう。北朝鮮が拉致を認めた“9.17”以降、日本政府が唯一したことは、帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に帰さないという決定だけであった。それも、家族会の強い声に押され、渋々行ったもので、田中均アジア大洋州局長、平松賢司北東アジア課長等の外務省幹部たちは拉致被害者5人を北朝鮮に帰すことを強く主張していた。9.17からすでに半年、「外務省はやる気がない」「何もしないのと同じ」ままでは、北朝鮮に拉致された150名といわれる拉致被害者とその家族は立つ瀬がない。「拉致問題はすでに解決済み」とうそぶく北朝鮮に、自らの意思で対抗手段をとれず、所詮”外交ごっこ“をしているにすぎない「無為無策」な外務省に存在意義はないし、そうした外務省は日本国民の侮蔑の対象であり続けるだろう。せめて、国民の代表である国会議員はそうした外務省に替わり、拉致事件解決のための対抗手段として、北朝鮮への送金停止、万景峰号の寄港停止等の経済制裁をいつでも発動できるよう、議員立法を急ぐべきであろう。(日本戦略研究所)