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キャリアコンサルタントひろくん

キャリアコンサルタントひろくん

2024.10.25
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前回のおさらいをしておきましょう。
あなたは死ぬ必要など一切ありませんでしたね。自分なりの幸せをそのうち見つけることができるからでした。その際専門家による支援がとても役立ちます。また認知行動療法の実践がとても有効です。さらに多様な経験を積んで視野を広げることも有効な方法でしたね。​​あなたに合う方法が複数存在する可能性はとても高いのです。

​​​​他の多くの技術と同様に、心理療法もまた進化していきます。認知行動療法も例外ではありません。最初に思考の変化に置かれていた焦点は、やがて行動も注目されるようになり、さらには東洋的な技術も融合されました。
では第1に、行動面に焦点を当てたエクスポージャー療法について解説していきます。

人間の心と体はつながっています。そして行動と思考も互いに影響しあっています。ですから、行動した結果、いつのまにか考え方や感じ方が変わってしまったということがよくありますね。
私の例を話しましょう。広島県に赴任して最初、広島弁が怖くてしかたありませんでした。しかし地元の友達ができると慣れてしまい、ちっとも怖くなくなったという経験をしました。このように慣れにはすごい効果があるわけです。

エクスポージャーとは、「ばくろ(曝露)療法」と言われる技法です。簡単に説明すると次のようになります。
1.計画的に段階を踏んで行います。
2.あえて自分が克服したい状況を経験し続けます。
3.次第に慣れてしまい、問題だと感じていたことが消えてしまいます。

みなさんは「恐ろしいなどの状況を経験するほど、どんどん怖くなったりストレスが高まったりするのでは?」と思いませんか?
確かに一部分は当たっています。人間が何かしら怖いと思える状況に出会うと、不安が高まります。そして​その状況を回避できると、その場面だけちょっと安心できることが多い​からです。
しかし、​恐怖の気持ちは自分の中にとどまり続けます​。しかも恐怖の程度も結構高めです。そして次に同じような状況になると、また不安になります。場合によっては、不安はもっと高まってしまい、日常生活を送るのが困難になってしまう場合もありえます。

そこでエクスポージャーを実施します。わざと不安な状況になる(想像する)のです。そして回避して逃げないで、わざと10~20分間その状況を味わい続けます。すると、少しずつ「慣れ」が生まれてきて、段々と不安の程度が低下していくという仕組みです。

エクスポージャー療法を成功させるコツはいくつかあります。
1.実行した際に出てくる嫌な感覚。逃げたい気持ち。それらをあえて無視します。
2.それらの感覚や気持ちがでてきたら、自分のお気に入りの音楽を口ずさむなどのまぎらわし行動はOKにしておきます。
3.慣れてきて自分でできるようになるまでは、支援者と一緒に行ってもかまいません。また、支援者に具体的に計画してもらい、実行は本人のみでおこなってもかまいません。

ここで回避行動について説明します。後の説明で必要になるからです。
逃げたい気持ちを回避行動といいます。これには2種類あります。1つ目は「受動的回避」と呼ばれるものです。ひきこもりが典型例になります。ですがポイントになるのは2つ目の「能動的回避」とよばれる回避です。たとえば、ひどく清潔さにこだわるようになってしまった場合、手を洗った後にタオルで手をふけばよいところを、「あえて必ずペーパータオルでふくようにしてしまう」行動をしてしまう。これが「能動的回避行動」の例です。

ここまで皆さんは、エクスポージャーとは何か? どんなコツが必要なのか? 回避行動とはどんなものか? それらを学んできました。今度は対応方法について理解していきましょう。あくまで基本は「わざと経験して慣れてしまう」でしたね。そして段階的に行う作戦持続的に行う作戦に大別できます。


では、先ほどのタオルの例で段階的に行う作戦から説明しましょう。
1.どのような方法・スピードで行っていくか、カウンセラーと事前に相談しておきます。
2.タオルは汚れているかもしれない、という不安を持ちながらも、タオルを(できれば気軽な気持ちで)さわりつづけます。
3.最初は30秒間かもしれません。1日に2回程度かもしれません。しかし、その時間と頻度を次第に増やしていくわけです。かなり慣れてきたら、タオルを触った後も手を洗うのを控えるようにしましょう。(そのかわり、タオルは毎日綺麗なものへと交換しておきましょう)
4.一方、ペーパータオルは洗面所から除去しておき、環境も整えていきます。
こうすると、次第にタオルへの嫌悪感が減っていく自分を自覚できることでしょう。実感できるので、自信を持ちやすいといえます。ただし、場合によっては改善スピードがゆっくりで、行動の内容がマンネリしやすい注意点もあります。

一方、持続的なエクスポージャー療法は、強い不安症状(例:PTSD)などに対して行われることが多い技術です。専門家と共に行うようにしてください。この療法の特徴は
1.あなたの理解力が高く、また「克服しよう!」という気持ちが強い場合に向いています。
2.能動的回避を盛んに行っている場合、効果が高い傾向があります。
3.専門家によるカウンセリングを必ず実行する必要があります。
4.事実を思い出すと恐怖が強すぎる場合は、バーチャルロールプレイ(要は、恐怖の場面を演劇します)で最初、慣れていくことも選べます。

念のため一連の流れを簡単に説明しておきます。まずあなたは自分の不安がどれぐらいの強さなのか?を数字に表すことができるようになる必要があります。これは不安階層表の作成に必要です。
例を挙げると、仕事上のミスを苦手な上司に報告するのは、悲しさ100。不可避なトラブルを苦手な上司に報告するのは、悲しさ95。という感じです。

数字化する力は大切で、自分への理解を助けます。そして、エクスポージャー療法を行うと、それらの数字が下がっていくのですが、その効果を実感するときに大切なのです。
カウンセリング自体は1回90分程度。最大15回以内で行われます。カウンセリング内で慣れる体験をするわけですが、カウンセラーから宿題も出されます。(自分でやってみる内容)。これらを自主的に行えるようになってくると、効果はハッキリするようになっていきます。
最終的には特定の不安を生み出す記憶に対して、慣れるわけです。つまり
★確かに大変な体験だった。でも、それはもう過去の話で、今はつらくて不安なわけじゃない。
と、冷静に自分や環境を見つめられるようになるわけです。たまに不意にいやな気持ちが起きかけても、自分の生活の質を高める為に、自主的にエクスポージャー療法を行う(宿題と同じ内容を行い、カウンセラーに指導された内容を参考にして、振り返りも自分で行う。)ことができるわけです。ただし宿題や自主的エクスポージャー療法を行う際の注意点は、寝る前には行わない方がよいとされています。

​​​​​​
まとめ
エクスポージャー療法は、行動面に焦点を当てて、慣れることを活用したスキルです。そしてあなたが行動することによって、問題を解消・緩和していき、自分の努力や工夫で幸せになっていけるものです。
次「​シリーズ17​」へ続く






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Last updated  2024.10.26 13:59:32
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