カテゴリ:わかりやすい認知行動療法シリーズ
前回のおさらいをしておきましょう。
あなたは死ぬ必要など一切ありませんでしたね。自分なりの幸せをそのうち見つけることができるからでした。その際専門家による支援がとても役立ちます。また認知行動療法の実践がとても有効です。さらに多様な経験を積んで視野を広げることも有効な方法でしたね。あなたに合う方法が複数存在する可能性はとても高いのです。 他の多くの技術と同様に、心理療法もまた進化していきます。認知行動療法も例外ではありません。最初に思考の変化に置かれていた焦点は、やがて行動も注目されるようになり、さらには東洋的な技術も融合されました。 では第1に、行動面に焦点を当てたエクスポージャー療法について解説していきます。 人間の心と体はつながっています。そして行動と思考も互いに影響しあっています。ですから、行動した結果、いつのまにか考え方や感じ方が変わってしまったということがよくありますね。 私の例を話しましょう。広島県に赴任して最初、広島弁が怖くてしかたありませんでした。しかし地元の友達ができると慣れてしまい、ちっとも怖くなくなったという経験をしました。このように慣れにはすごい効果があるわけです。 エクスポージャーとは、「ばくろ(曝露)療法」と言われる技法です。簡単に説明すると次のようになります。 1.計画的に段階を踏んで行います。 2.あえて自分が克服したい状況を経験し続けます。 3.次第に慣れてしまい、問題だと感じていたことが消えてしまいます。 みなさんは「恐ろしいなどの状況を経験するほど、どんどん怖くなったりストレスが高まったりするのでは?」と思いませんか? 確かに一部分は当たっています。人間が何かしら怖いと思える状況に出会うと、不安が高まります。そしてその状況を回避できると、その場面だけちょっと安心できることが多いからです。 しかし、恐怖の気持ちは自分の中にとどまり続けます。しかも恐怖の程度も結構高めです。そして次に同じような状況になると、また不安になります。場合によっては、不安はもっと高まってしまい、日常生活を送るのが困難になってしまう場合もありえます。 そこでエクスポージャーを実施します。わざと不安な状況になる(想像する)のです。そして回避して逃げないで、わざと10~20分間その状況を味わい続けます。すると、少しずつ「慣れ」が生まれてきて、段々と不安の程度が低下していくという仕組みです。 エクスポージャー療法を成功させるコツはいくつかあります。 1.実行した際に出てくる嫌な感覚。逃げたい気持ち。それらをあえて無視します。 2.それらの感覚や気持ちがでてきたら、自分のお気に入りの音楽を口ずさむなどのまぎらわし行動はOKにしておきます。 3.慣れてきて自分でできるようになるまでは、支援者と一緒に行ってもかまいません。また、支援者に具体的に計画してもらい、実行は本人のみでおこなってもかまいません。 ここで回避行動について説明します。後の説明で必要になるからです。 逃げたい気持ちを回避行動といいます。これには2種類あります。1つ目は「受動的回避」と呼ばれるものです。ひきこもりが典型例になります。ですがポイントになるのは2つ目の「能動的回避」とよばれる回避です。たとえば、ひどく清潔さにこだわるようになってしまった場合、手を洗った後にタオルで手をふけばよいところを、「あえて必ずペーパータオルでふくようにしてしまう」行動をしてしまう。これが「能動的回避行動」の例です。 ここまで皆さんは、エクスポージャーとは何か? どんなコツが必要なのか? 回避行動とはどんなものか? それらを学んできました。今度は対応方法について理解していきましょう。あくまで基本は「わざと経験して慣れてしまう」でしたね。そして段階的に行う作戦と持続的に行う作戦に大別できます。
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Last updated
2024.10.26 13:59:32
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