カテゴリ:わかりやすい認知行動療法シリーズ
マインドフルネスとは、瞑想(めいそう)の一種です。とはいっても、洞くつにこもったり、滝に打たれながらやるというものではなく、軽く環境を整えて気軽に行えるものです。行動面に働きかけるので、考えなくても効果を期待できる方法です。
もともと認知行動療法は西洋で生まれた技法です。しかし、心理技法においてたった1つの正しい療法(=完ぺきな療法)など存在しません。西洋に対して東洋にも素晴らしい技法が存在します。その点に注目して発展してきた第3の認知行動療法と言われる技術の1つです。 マインドフルネスの基本は ★今、この瞬間の自分を感じ取る。何も考えたり、意識せずに。 です。状況を良くしたいとか、問題を解決したいと考えたりもしないようにします。心理療法に取り組む人の中には、考えたり、自分をみつめる作業などに集中できない人がいるはずです。そうした場合、まずは余計なことを考えずに、自分の感覚だけに集中することが有効なわけです。 【具体的なポイント】 マインドフルネスも技法の1つです。できれば指導を受けたり、練習をしたうえで行う方が効果的です。もしもカウンセラーと一緒に行える場合、最初に基本になるのは「レーズンエクササイズ」になります。 これは口の中にレーズンを一粒入れて、その全てを感じ取るという練習です。 ・口に入れる前のレーズンの見かけを感じ取る。(色、形など) ・入れた後の感触、匂い、味、重さ等。 これらをすべて感じ取りながら、カウンセラーに伝えていきます。するとカウンセラーはどの程度感じられているのかを教えてくれたり、ほめてくれたりするでしょう。 たかがレーズン一粒をありのままに感じることが、意外と難しい ことに気づけることでしょう。 このエクササイズを続けると自力でしっかりと感じられるようになります。(これをセルフモニタリングといいます)あなたが心理療法を受けている場合、自分の気持ち・思考などをありのままに見つめやすくなったわけですから、カウンセリングを継続するとよいでしょう。効果は上がりやすくなります。つまり、自分の考えに気づきやすくなったので、クセを治しやすくなっているわけです。 一方最近増えてきているのは、マインドフルネスを行うことを習慣にして、ストレスマネジメントに役立てたいというケースです。認知行動療法の長所の1つは、健康な人も応用できる技法という側面です。ですので、その場合にも応えて説明しておきたいと思います。 マインドフルネスの種類は2つあります。 1.集中型の呼吸の瞑想 2.感じ取る型の音に耳をすます瞑想 【呼吸の瞑想のやり方】 1.できれば静かな部屋や空間を選ぶ。光も明るすぎないようにします。 2.椅子を用意しておきます。椅子は背もたれが無いものでもOKです。 3.背筋を伸ばして座ります。なるべく背もたれは使わないようにします。 4.体の力は抜けているようにします。目は軽く閉じるか、薄く開けて斜め前(足元の数メートル先)を見ます。 5.自分の呼吸を感じ取ります。決して呼吸の仕方を普段のものから変えてはいけません。深い呼吸や腹式呼吸などに変更するのではなく、自然な呼吸を続けます。(腹式呼吸が自然ならそうします) 6.息を吸うたびに、おなかや胸が膨らむのを感じます。集中しにくい場合は、膨らむ際に「ふくらんで。。。ふくらんで。。。」と実況中継してみるとうまくいきやすい時があります。 7.縮む際も、6と同様です。難しい場合は「ちぢんで。。。」と実況しましょう。 8.それでも最初は特に雑念が浮かんでくることがほとんどです。その場合は「雑念 雑念。。。」と心の中でつぶやき、「戻ります」などと言って再び呼吸に意識を戻します。 9.以上を1日10分程度行います。慣れてくれば時間を伸ばしてもかまいません。 【耳を澄ます瞑想のやり方】 1.自分のいる場所で聞こえてくる音を確認します。(例:エアコンの音、時計の秒針、遠くのテレビの音 ※テレビやPCの音はハッキリとは聞き取れない程度) 2.その中から1つ選んで、その音を1分間、そのまま聞くようにしてみます。この段階はまだ意識を集中するための練習なので、とにかく集中して聞いてください。これを5セットしてみましょう。 3.今度は聞く対象を10秒ぐらいで交換しながら、集中して聞いていきます。例えば、エアコンの音10秒、時計の秒針10秒、遠くのテレビの音10秒、これを繰り返します。これを1分間1セットとして、最大5セット程度行ってみましょう。 4.最後はありのままにすべての音を聞いてみましょう。1分間を3セット程度でよいでしょう。慣れてくれば(+心地よさが増してくれば)、もっと増やしてもかまいません。 ★両方の瞑想に共通することは、最初は効果を感じにくい(特に聞く方)かもしれないということです。 ですが、焦らずに地道に取り組んでみましょう。そもそも「焦る」状態は、マインドフルネスが目指す状態と明らかに真逆なのですから。 【ヨガについて】
ヨガとは元々は、古代のインドに起源をもち、仏教やヒンズー教における修行方法でした。現代では心の安定を一番の目的としたエクササイズとなっています。呼吸と瞑想を基本とし、全身を使ったアーサナ(ポーズ)をとることで、心身を健やかに保ちます。安定した心と健康的な身体で、充実した暮らしを送れるようにするためのものです。ヨガにおいて、魂・心・身体は切り離せないものとされています。ヨガはこの3つを上手く調和させ、バランスを調える為のエクササイズです。 私もかつて実践しました。十分な効果も体感できました。ただし大きな欠点もありました。それはケガをするリスクがあるということです。 全身を使ったポーズをとるわけですが、WEBで初心者のポーズだと紹介された内容でも、意外ときつかったり、関節を痛めるリスクがありました。残念ながら私は関節を痛めてしまいました。ただし関節を痛めるまでの数日間は、良い効果をハッキリと感じることができました。ですからケガに十分注意できる場合は、ヨガはおすすめの方法と言えましょう。 もしもケガのリスクを減らして、ヨガに近い効果を得たいならば、腹式呼吸を行いながらストレッチを行う方法がおすすめです。私見ですが、ストレッチの方が安全です。なぜなら、関節可動域の範囲内で行える動作が多く、動く範囲をある程度自分で選ぶことができるからです。 余計なことを考えずに、呼吸と伸ばす部位に意識を集中させます。そして3秒程度で息を吸い続け、7~8秒かけてゆっくりと吐き出し続ける腹式呼吸を行いながら、ストレッチを行っていきます。 さらに効果を高めたいならば、数をカウントするのをやめて、上記の呼吸を感覚的に行いながらストレッチします。さらに余計なことを考えづらくなることでしょう。 次「シリーズ18」へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.10.26 14:27:59
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