カテゴリ:流されゆく日々
研究室からの帰路、バスに乗った。 一番前の椅子に座った。 真ん前、なかなかのドライブ気分になっていた。 バスが停まる。お爺さん、お婆さんがゆっくりと降りる。 「慌てないでください。ゆっくりと降りてくださいな」 運転手さんの気配りに、私は感心していた。 そうだよな。ご老人が降り口で転ぶと大変だものな。 お爺さん、お婆さん、気をつけてくださいな。 私はまだ若い。私はさっさと降りることができる。 私は優越感を味わっていた。 その時、小学校らしき子供が後部の席から走ってきた。 走ってきて、トントンと階段を跳ねるように下りていった。 それだけではなかった。 なんとスキップしながら、走り去っていく。 ふーうっ。 私はため息を吐いた。これは真似はできない。 やがてバスは、私の降りる停留所に停まった。 私は降りようと立ち上がった。 運転手さんが言った。 「お爺さん、気をつけてくださいな」 ああ、歳だけは隠せない。 ゆっくりとバスを降りた。 私が降りきると、バスはドアを閉めるとさっと出ていった。 私はせめてスキップをしようと思った。 右足?左足?こけかかった。 なかなかできなかった。ああ。 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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