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キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

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キータン.

キータン.

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2008.03.23
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カテゴリ:ガキの頃


     机-1.jpg


昔も、今も、私は鉛筆を最後まで使った想い出がない。
いつも途中でなくしてしまうか、囓ってきたなくなる。

そうそう、使って短くなった鉛筆で彫刻をするヤツがいたよな。

うん、肥後守を使って、器用に彫るんだ。
モアイ象のような何ともしれないものを彫ったり
仏像をきれいに彫ったりしていたね。

それも次第にエスカレートしてくる。

版画用の彫刻刀を使って花や犬などを彫る。
美しいの可愛いの何の……女の子が欲しがっていたな。

ヤツは、一躍、女の子の人気者になったね。

ただ、鉛筆はそう簡単に短くはならない。

ふふふ、そうすると長い鉛筆を短く切って彫る。

すると、先生の怒鳴り声が落ちてくる。

「鉛筆を粗末にするなあーーーーーあっ」

ああ、芸術を理解しない先生のおかげで、ヤツの芸術センスはつぶれる。

うん、つぶれはしなかったけれど、ヤツはそれだけだったね。

「あの、鉛筆の彫刻のアイツ、アイツ、どうしてる」

同窓会では今でもそんな噂が飛び交う。

うん、小さなヤツだった。おとなしいヤツだったよな。
うん、鉛筆彫刻に生き甲斐を持っていたのだろうな。

微笑みの薄いヤツだった。

会ってみたい。

時が過ぎた……五十年……あまりにも長い時が過ぎた。(つづく)


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Last updated  2008.03.23 09:39:05
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