カテゴリ:ガキの頃
男の子は、肥後守をいつもポケットに入れていたよね。 そうそう、どんな場合でも、何にでも使っていたよね。 山の中に入って、秋の果実をもぐ際にも使ったね。 柿などは手でもいでとれるのに、わざわざ肥後守を取りだしたね。 「手でもぐと木を傷めるからな」 蘊蓄らしきことを言いながら肥後守を取りだしてね。 親指で、凸部を押して、パチンと刃を出して、果実の頭部に刃を当てて切る。 うん、木そのものを傷めながらね。ああ。 そして、下で待っている下級生に放り投げてやる。 うん、上級生という意識を強く感じたね。 肥後守を使ったというところが、プライドをくすぐったのだろうね。 チャンバラをしようとなったら藪の中に入り、 適当な木を選び肥後守で切ったね。 そうそう、ノコギリ歯のついた肥後守もあったんだ。 大きくなってスイスのアミーナイフを見た時 私しゃあ、肥後守の真似をしていると思ったね。 ふふふ、肥後守の方が真似をしたかもしれないね。 木の枝を刀の長さに切ってね 皮の部分を一部残して削るんだ。 それで刀の完成だ。 ゴム銃、紙鉄砲、ツリ竿なども、肥後守が一丁あればすぐにできたもんだ。 ただね、悪ガキが、肥後守を喧嘩道具に使っていたね。 兵隊帰りの先生が悪ガキをひっぱたたいてことを思い出す。 「殴り合いならなんぼでもしろ。 しかしな、肥後守や木刀はいかん。 傷つけたら喧嘩ではなくなる。殺し合いになる」 先生は悪ガキの頬を何度でも叩いたね。 叩きながら、叩きながら、先生は泣いていたね。 肥後守は、私にいろんなことを思い出させてくれる。(つづく) 人気blogランキングへ←良かったらランクアップのためにクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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