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キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

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キータン.

キータン.

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2008.03.25
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カテゴリ:ガキの頃

      肥後守-5.jpg

男の子は、肥後守をいつもポケットに入れていたよね。
そうそう、どんな場合でも、何にでも使っていたよね。

山の中に入って、秋の果実をもぐ際にも使ったね。
柿などは手でもいでとれるのに、わざわざ肥後守を取りだしたね。

「手でもぐと木を傷めるからな」

蘊蓄らしきことを言いながら肥後守を取りだしてね。
親指で、凸部を押して、パチンと刃を出して、果実の頭部に刃を当てて切る。
うん、木そのものを傷めながらね。ああ。

そして、下で待っている下級生に放り投げてやる。
うん、上級生という意識を強く感じたね。
肥後守を使ったというところが、プライドをくすぐったのだろうね。

チャンバラをしようとなったら藪の中に入り、
適当な木を選び肥後守で切ったね。
そうそう、ノコギリ歯のついた肥後守もあったんだ。

大きくなってスイスのアミーナイフを見た時
私しゃあ、肥後守の真似をしていると思ったね。
ふふふ、肥後守の方が真似をしたかもしれないね。

木の枝を刀の長さに切ってね
皮の部分を一部残して削るんだ。
それで刀の完成だ。

ゴム銃、紙鉄砲、ツリ竿なども、肥後守が一丁あればすぐにできたもんだ。

ただね、悪ガキが、肥後守を喧嘩道具に使っていたね。
兵隊帰りの先生が悪ガキをひっぱたたいてことを思い出す。

「殴り合いならなんぼでもしろ。
 しかしな、肥後守や木刀はいかん。
 傷つけたら喧嘩ではなくなる。殺し合いになる」

先生は悪ガキの頬を何度でも叩いたね。
叩きながら、叩きながら、先生は泣いていたね。

肥後守は、私にいろんなことを思い出させてくれる。(つづく)


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Last updated  2008.03.26 07:17:09
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