カテゴリ:ガキの頃
昔、小学校の入学式は桜の木とともにあった。 桜並木の下を母に連れられて小学校の正門をくぐったものだ。 桜の花が次から次へと散っていたのを思い出す。 それが今、全校登校日、つまり先生とのお別れ式の時に桜が咲く。 この五十年足らずのうちに、桜の開花が一週間以上も早まったのだ。 「地球温暖化」と嘆く前に、人間のおろかな行為を反省しなければならない。 そう母は着物を着ていた。母親はみんな着物を着ていた。 小学校一年生は学生服を着ていた。 うん、半分が兄弟からのお古だった。 お古で間に合わせる、それが普通だった。 学生服だけではない。ランドセルもお古のヤツが多かった。 それにね、皮のランドセルの子供は数えるほどだる ほとんどが布のランドセルだった。 ふふふ、胸には白いハンカチをつけていたね。 自分の名前を書いていた、 白いハンカチがやけに白かったね。 「君たちは」今日から小学生です。 この学校でともに仲良く大いに学びましょう」 校長先生が言っていたのを思い出す。 担当のオナゴ先生がにこやかに笑っていた。 入学式を終えると、みんな、それぞれの教室に行く。 整列をして渡り廊下を歩く。 桜の花びらがひらひらと舞ってきた。 オナゴ先生が瞳を細めて眺めた。 私たちもみんな瞳を細めて桜の舞を見た。 美しい。 そう思った。 先日、その小学校の前を通った。 校門に続く桜並木はなかった。 想い出がひとひとつ消えていく……サビシイ。 人気blogランキングへ←良かったらランクアップのためにクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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