カテゴリ:ガキの頃
ここ四、五日、身体の調子が悪くベッドに寝続けている。 寝続けているというより、気力がないのでベッドに倒れている。 抗ガン剤の影響がじわじわと効いてきているようだ。 折角の花時というのに、花見さえも行けない。 ベッドに座り小さな窓から外を眺めている。 隣の玄関口にあるサクラが満開だ。 「春だよな。今年の春が過ぎて行くよな」 そう思いながらふと思った。 今の若者には、「桜坂」「サライ」「桜」などのサクラの歌が多い。 私の若い頃にサクラの歌があつただろうか。 そう思いながら口ずさんでいる自分に気づいてはっとした。 ♪桜、桜、弥生の空は見渡す限り、 霞か雲か匂いぞいずる、 いざや、いざや、見にゆかん 完璧に一番を歌い終わうことができた。 今、こうやって、唄うと驚きである。 この歌を小学校の時に唄ったのだ。 「霞か雲か匂いぞいずる」 匂いぞいずる、当時の小学生に意味がわかったのであろうか。 「いざや、いざや、見にいかん」 私を含め小学生が列をなして唄っていたのである。 うん、いざや、いざやと叫びながらね。 花見の会場では呑んだくだれたおやじさんの誰かが きっとこの歌を口ずさんでいるはずである。 戦後、白い桜に夢を見たに違いない。 おやじさんは何度かの夢に破れたのであろうか。 夢の破れた数の多い人ほど強くなれる。 嘘だ……そう、ぼやいていた友人がいたよな。ああ。 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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