悲しき天使
♪ 木枯らしの街をゆく ひとりぼっちの私 思い出の広場で 思わず足を止める 思い出すはあの日のこと 暖かい恋の夢 春の風と鳥の歌と やさしいあなたがいた ラララ~ ラ~ララ ………この歌は学生時代にはやった。メリーホプキンというイギリスの女性の歌手が唄っていた。日本では森山良子さんがギターを弾きながら唄っていた。ロシア民謡のメドレーと知って、より好きになった。マンドリンのイントロに哀愁を感じていた。学生がよく行くスナックのジュークボックスで何度も聞いた。聞きながら口ずさみながら、私は六十過ぎの自分を思っていた。自分もいつか年老いてこの街を訪れることがあるのだろうな。このスナックも、友達も、みんないないのだろうな。その時に、この歌をひとり口ずさむのだろうな。三年前、学生時代の街、松山を訪れた。うん、スナックもなかった。友達もいなかった。なんにもなかった。すべてがあっさりと姿を消していた。想い出のかけらなんて見つけることができなかった。ただ、ひとりで口ずさみながら思い出していた。あの日のこと。あの日のお酒。あの日の友。あの日の歌。すべてが懐かしく胸を熱くさせた。学生時代からやがて四十年が過ぎる。四十年という月日に驚く。驚きながら……。もう少し生きていかなくてはと思った。季節は春、今年も花は咲き、小鳥は唄うのだろうな……ああ。 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!