開高健さんが唄った歌
開高健さんの『悠々として急げ』というのビデオの終わりに開高さんがスコットランドのスタッフ達を慰労するパーティーのシーンがある。開高さんがパイプをくゆらしながら言う。「彼らを驚かすために、昔、英語で覚えたスコットランド民謡を唄いました。 すると一行だけ忘れていたが、ほとんどを覚えていました。 昔、覚えたということは、なかなか忘れないものです」そして開高さんの唄うシーンが出る。何の歌なんだろう。興味津々で見た。聴いた。なんと『蛍の光』という歌だった。 ♪Should auld acquaintance be forgot, And never brought to mind? Should auld acquaintance be forgot, And auld lang syne!この歌を聴きながら、日本語の歌詞に想いを馳せた。日本語ではどのような歌詞だったのだろう。一番は思い出せるのだが、二番が思い出せない。この歌、考えてみると、一番しか唄ったことがない。 ♪とまるもゆくも かぎりとて かたみにおもう ちよろずの こころのはしを ひとことに さきくとばかり うたうなり ふむふむ、なるほど唄ったことがあるわいな。思い出したわいな。そして驚いた。三番、四番があった。 ♪筑紫のきわみ、陸の奥、 海山遠く、へだつとも、 その真心は、へだてなく、 ひとつに尽くせ、国のため ♪千島のおくも、沖縄も、 八洲のうちの、守りなり 至らんくにに、いさお しく つとめよ わがせ、つつがなく日本では、『蛍の光』は卒業式をはじめとする学校での別れの時の歌でなかった。日本の国境で防衛の任務につく兵士を見送る歌だったのだ。占領地が広がるにつれて、「千島」が「樺太」に、「沖縄」が「台湾」に変わっている。ふむふむと、私は考えてしまった。そして英語の歌詞の本来の意味をしみじみと振り返った。 ♪懐かしい友を 忘れるだろうか 二度と 思い出さなくなるだろうか 懐かしい友を 忘れるだろうか 遠いあの日のことまでも!やはり、この方がいい。開高さんの笑顔が甦った。人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!