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カテゴリ:読書
【楽天ブックスならいつでも送料無料】屋根屋 [ 村田喜代子 ] ≪内容紹介より≫ 雨漏りのする屋根の修繕にやってきた工務店の男は永瀬といった。木訥な大男で、仕事ぶりは堅実。彼は妻の死から神経を病み、その治療のとして夢日記を付けている。永瀬屋根屋によれば、トレーニングによって、誰でも自在に夢を見ることができるという。「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所に案内ばしましょう」。以来、二人は夢の中で、法隆寺やフランスの大聖堂へと出かけるのだった。 九州訛りの木訥な屋根屋と、中年主婦の夢の邂逅は、不思議な官能をたたえながら、ファンタジーの世界へと飛翔する。 内容紹介にもあるとおり、大人のファンタジーなのでしょう。 官能ともありますが、それとはちょっと違うと感じます。 現実の世界でお互いを必要として求め合っているかと言えば、そうでもなく、 肉体的な交わりがあるわけでもない。 夢の中で、通常では上ることの出来ないような塔の高みや屋根の上から共に眺める。 官能的というより、背徳的な雰囲気がずっと漂っているといったほうが、よく合うと思います。 激しい感情の高ぶりを文章で表現する場面は、ほとんどなく 淡々と話が進んでいるようでいて、ねちっこいというか、纏わりつく感じがあります。 じわじわと面白いと感じて、嫌いじゃないです。 この話のもう一つの面白さは、建築物への興味を沸かせるところ。 五重塔とか見ても、どういう観点で見ると面白いのかとか、 どこがどんなふうに凄いのかなんて全くわからないし、興味がありませんでしたが、 屋根の張り出し具合や反り具合、塔全体のバランスのとり方 海外の大聖堂と建築の意義や造りの違い等、 今度そういう物を見学する際には、これまでとは違った見方が出来そうです。 この著者の本は初めて読みました。 全く知らない方でしたが、芥川賞も受賞されていて、 現在ではいくつもの文学賞の選考委員もされているベテラン作家さんなのですね。 芥川賞の『鍋の中』は黒澤明監督が映画化した『八月の狂詩曲』の原作なのだそうです。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】八つの小鍋 [ 村田喜代子 ] 収録作品 。「鍋の中」(芥川賞)、「百のトイレ」「白い山」(女流文学賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞)、「蟹女」(紫式部文学賞)、「望潮」(川端康成文学賞) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.07.20 21:05:18
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