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2005年07月17日
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9月からの授業では、「ゲルマン人」が主役になります。「ゲルマン民族の大移動」でおなじみの彼らですが、名前ほどにその実像は知られていないので、自分の授業のためにもちょっとメモ書きしておくことにしました。
前々回のを引きずって、文化人類学っぽい話になりそうです。よかったらお付き合い下さいませ♪


ゲルマン人は北方のバルト海沿岸を原住地としていたが、ケルト人を追いながら南下し、紀元前後には、ローマ帝国と境を接するライン・ドナウの両河まで進出した。(宮崎正勝『早分かり世界史』より)


古代の覇者・ローマ帝国を悩ませたのが、勇猛なゲルマン民族の人々でした。ローマ人たちとはあまりに違う彼らの生態に、やはり相当好奇心がくすぐられたようでして、ローマ人の手によるゲルマン・レポートがいくつか残されています。

カンタンに入手できるのがこちらの二冊です。

ユリウス・カエサル(紀元前100年ころ~紀元前44年)『ガリア戦記』講談社 1994年
(本屋さんでこれを探してもらおうとしたら、「ゲーム本ですか?」と言われた思い出があります。分からんでもないなあ^ ^;)
「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか!」など名台詞を多く残している、ローマを代表する軍人&政治家のカエサルですが(昔はシーザ-って言いましたよね~)、文章家としての才幹も相当なもので、これほど簡潔かつ的確に表現できる作家は少ないのでは…と思います。


タキトゥス(紀元後55年~120年ごろ)『ゲルマニア』岩波文庫
ローマの歴史家タキトゥスのゲルマン人レポート。退廃した同胞に嫌気がさしていた彼は、ゲルマン人を「高貴な野蛮人」ととらえていたらしく、この『ゲルマニア』にもローマ社会への批判が多分に入っていたのではないか…と思われます。といっても、実際に彼自身がゲルマン社会に直撃取材したワケではないよーで、したがって記述もあんまり正確ではないらしいです。ちょっと悲しい……。


まずゲルマン人の外見をピックアップしてみましょう♪
『ゲルマニア』によれば、彼らは「ただ自分みずからだけに似る」種族、つまり身体の特徴がすべて同一ということになります。日本人みたいなものですかね~?
(ひっくり返せば、ローマ人はいろんな外見の集まりだったのかな…って気もしますよね。今で言う多民族国家だったのかなあ?)

タキトゥスはこのコトバのあと、くわしく容貌や体質を語ります。

鋭い空色の眼、髪はブロンド、長大にして、強襲のみに力を発揮する(つまり持久力にとぼしく、戦闘になるとがぜん強くなるタイプだったようです。短距離走者向き?)。
寒気・飢餓にはよく慣れているが、逆に乾きと暑さはてんでダメ。
皮膚は白い。
男女ともにあらい毛織の布または獣皮を外套の代わりにする。裕福な者は内側に衣を着て、下半身も覆うようなズボン?みたいなのもはく。ただし男の場合は、戦時となると裸になるのがフツーだったらしい(そんなんじゃケガしちゃうよ~!!と心配になっちゃいますが、それだけ戦闘に自信があったのかもしれませんね)。


夜も更けてまいりました。ゲルマン人レポートはまた次回。


(7月23日追記)
artaxerxesさんから戦時についてのコメントをいただきました。こちらに引用させていただきます。どうもありがとうございました。

「戦いのときに裸になるのは、ゲルマン人とローマ軍の挟み撃ちにあったケルト人もそうでした。彼らにとっては自分の勇気を誇示するための行為だったようで、中には素っ裸で長剣一本を振るって敵陣に躍り込む者もいたようです。
 戦争をビジネスのように考えていたローマ人(カエサルなどはそうでしょうけど)に、あくまで個人的武勇の発露と考えていたケルト人が敗れたのも仕方ないようです。ゲルマン人は森に潜んでいてローマ軍が得意の戦術を発揮できなかったので撃退できたようです」

 





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最終更新日  2005年07月23日 23時21分20秒
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