急配
昨日の業務終了直前だった。診察室からあがってきたカルテを見て、目がテンになった事務屋。。その前の日が初診だった患者のカルテ。初診時は縫合していた。この日は再診、消毒処置だった。看護師が処置の最中にカルテを事務屋のところに持ってきた。看護師Kさん:「処置のあとに注射して終わりになります。」事務屋:「はい。解かりました。」・・・あれ?注射?ナンの注射するんだろー?不思議に思いながらも、とりあえず返事をして、カルテを受け取った。で、当然会計する為に、レセコンに入力しようとカルテを見た。。。ん?今からこの注射するの?なんで?確かにカルテには院長の字で2本の注射のオーダーがある。んが、明らかにオカシクナイカイ?だって、この注射2本とも、初診時に、投与済みじゃねーのかよ?カルテを裏返して初診時の内容を確認するも、しっかり同じ注射のオーダーがされている。おいら、ちゃんとレセコン入力して会計しているぞっ。診察室を覘くと、看護師が注射棚の前で薬剤を注射筒に詰めているところだった。事務屋:「あの、Kさん(←新人看護師)、それってナニ?」看護師Kさん:「え?この注射?」事務屋:「もしかして、T注と、I注?」看護師Kさん:「そうだけど・・・?」やはり、今あがってきた患者さんのカルテに書かれた注射、T注とI注だ!診察室には、その患者さんも居る。で、当然院長も居る。だからそっとカルテを看護師に見せた。で、この日のオーダーと、その前日のオーダーを見せて、小声で言った。事務屋:「その注射、どちらも初診時に投与してる!」看護師Kさん:「え?」処置を終えた院長が、おいらと看護師Kさんのやりとりに気付いたようで、注射棚にやって来た。事務屋:「先生、あの、T注とI注の指示ですが、どちらも初診時に投与済みですけど、再度投与するんですか?」つまり、普通だったらあり得ないオーダーに疑問を持ったのですが?と事務屋がカルテを見せると、医師:「あれ?そうだった?・・・あ、ほんとだ。書いてるや、わたし・・・。」一応患者にも確認すると、確かに前日、2本の注射を腕にされたと言う。。。おいおい、ちゃんとして下さいよ、もう・・・。T注とI注、2本で、約5,000円もすんだぞっ!いや、金額じゃねーけどさ、でも、むざむざ廃棄だよ、廃棄・・・。あーあ・・。。。で、これが、今日のおいらのストレスを生み出したきっかけだったのだ。。。無残にも廃棄されたT注。。。保冷品の為、冷蔵庫に保管されている。昨日の夕方、卸に医薬品を発注する際は、4管の在庫があった。通常、平日であれば残数が3管になった時点で発注するようになっていた。以前、おいらが在庫管理を担当する前は、2管になったら発注していたようだった。んが、2管ではいざという事態に対応出来ないこともあるかもしれん、と、おいらが勝手に最低残数3管で発注するように変えたのだった。だから、昨日の夕方の時点では、発注を見合わせてしまっていた。んが、その後、このような廃棄があり、残数が3管になってしまった。今朝、業務開始後、すぐに発注業務が出来ず、気付けば10時を回っていた。朝業務開始前に卸に電話をしていたら、多分今日の午前便に乗せてもらえたかもしれない。んが、今朝はそれをしなかった。そう、このときはまだ、午後便でも充分余裕だと思っていた。10時過ぎに、卸に発注しようとした時、残数3管のT注のオーダーが入った。わわっ、残数2管になってもうたっ!!だから、発注の際付け加えた。事務屋:「在庫が少なくなってしまったので、必ず午後便で!早めにお願いします。」卸事務員さん:「承知しました。」通常、この卸の午後便の到着は早い。それでも、念押ししておいたのだ。んが、事態は急変!T注のオーダーが続けざまに。で、ついにT注の在庫はゼロになってしまった。時間は、午前診終了直前。。。すぐさまおいらは、受話器を取っていた。卸に電話をした。事務屋:「通常の午後便で配達をお願いしたT注なんですが、在庫が切れてしまいまして、午後の診療開始までに急配をお願いできませんでしょうか?」事務屋であるおいらにとっては、滅多に使わない、いや使いたくない言葉、急配・・・。でも、仕方なかった。患者は待ってはくれないのだから。もしかしたら、T注を必要とする患者は来ないかもしれない。でも、もし急患があれば、『無い』では済まされないのだ。『困ってる。何とか急配してくれ!』こうお願いすれば、多分、卸の事務員さんからこの時間ならきっと外回りに出ているだろう担当MS(営業)に連絡がいき、担当MSが会社に戻って自己配送で納品してくれる!フットワークの良い担当MSのことだ、午後診開始前には、きっと配達してくれる!そう信じて電話をしたのだ。んが、運の悪いことに、卸の支店に、T注の在庫が全く無かった。。。卸事務員さん:「在庫が支店にありません。センターからの荷の到着が通常●時で、それから配送手配をしますので、早くても、○時になってしまいます。」午後診開始後2時間しないと荷が到着しない・・・。いくらフットワークの軽い担当MSをしても、荷が無いんじゃ、どうしようも無い・・・。。。なんてこったい・・・。。。あとはもう、祈るしかないのか、T注を必要とする患者が受診しないことを。。。そして、午後診が開始され、新患が受診するたびに、ヒヤヒヤするおいらだった。受付をした同僚に新患の主訴を確認し、その度に胸を撫で下ろしていた。合間に、何度も時計を見ているおいらだった。と、待合の時計に目をやったときだった。視界に卸の担当MSさんが飛び込んできた!おいらと目が合うと、MSさんは保冷バッグを持った右手を高く上げた。それを見た瞬間、おいらは印鑑と朱肉を持って、事務室から玄関に向かって走り出していた。卸MSさん:「ゴメン、うちに在庫が無くって。」事務屋:「ううん、すんませんでした。こっちも急配頼んでしまって。でも・・・・。」卸MSさん:「約束よりちょっと早く着けたね。センターから到着したのをそのまま持ってきたから。」事務屋:「ほんとゴメン。ほんと申し訳ない。すいませんでしたっ。」担当MSが自己配送してくれた為、卸の事務員さんが言った時間よりも1時間早い納品となった。センターから到着して40分程しか経っていなかった。卸の会社からここまでは、最低25分~30分は掛かるだろうに・・・。玄関口で、担当MSに深々と頭を下げる事務屋だった。担当MSを見送って、その足で診察室の冷蔵庫に向かった。院長は、診察室のデスクに居た。看護師Kさんが、冷蔵庫のすぐ横に居た。事務屋:「Kさん、今T注届きました!」看護師Kさん:「あー、良かったぁ。」事務屋:「ですねー。なんとかなりましたぁ。」おいらはT注を冷蔵庫に仕舞いながら、思った・・・。ホントだったら、まだ冷蔵庫にはT注が1管残っているはずだったのに・・・。卸の担当MSに、急配なんていう無駄な仕事させなかったのに・・・。おいらもこんな思いしなくて済んだのに・・・。そう、院長が間違ったオーダーさえしなければ!!!今度から、平日でも残数4管でT注の発注をしようっと!!